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36.結婚式三日前の出来事

オパール公爵家に届いたサミエルからの手紙に、ランドルもルージュも驚いていた。


手紙には、明日サミエルがオパール公爵邸へと訪問すると記載してあった。

訪問理由は、ダース男爵親子への処分についてだと記載されていた。


「わざわざ…殿下がこちらへお越しになるのか…こういう場合はこちらこら王宮へと足を運ぶべきなのだが…」


ランドルは、手紙の内容に驚きを隠せぬ様言った。


「ラン様の仰る通りですわ…何故、わざわざこちらへ訪問なさるのかしら…一体殿下は何を考えてらっしゃるのか…」


ルージュも、サミエルの手紙の内容の意図が見られず目を細める様な表情で言った。


(何故、殿下がわざわざここに来られるのかしら…確かに、ナール様は殿下とご婚約する事になっていたけれど…とはえい…普通はこういう場合は、処分の内容を聞きにはこちらから王宮に伺うものよね…一体殿下は何を考えているのかしら…前世の記憶もこういう時にまったくアテにならないのよね……)


ルージュは、ランドルとサミエルからの手紙を読みながら考えていた。


「一先ず、明日殿下が来られる事は決定事項の様だ。それまでに結婚式の準備を進めれるだけ進めておいた方が良さそうだな…」


ランドルは、少し悩む様な表情でルージュへと言った。


「そうですね…明日は結婚式の三日前ですのですしね。殿下の訪問中はラン様と私は身動きが取れませんものね…」


ルージュも、悩む様な表情で応えた。


「完成したドレスは、今日届くのだったな?」


ランドルが思い出した様にルージュへ尋ねた。


「はい。その予定です。そろそろドレスが運ばれてくる時間なのですが…」


ルージュがランドルへ応えると、グレイがそこへやって来た。


「旦那様、奥様。ドレスの方が今届けられました。」


グレイが、ドレスが届けられた事を報告しに来てくれた。


「グレイさん、ありがとうございます。では…私の部屋へと運んでいただけますか?」


ルージュは、笑顔でグレイにお礼を言い尋ねた。


「承知致しました。」


グレイが応えた。

そして、その場を離れドレスをルージュの部屋へと運ぶ手はずをしたのだった。


ランドルとルージュは、完成したドレスを確認した。


「これは…何とも素晴らしい出来栄えだな…」


ランドルは、ドレスを見て驚き感動した表情でルージュへと言った。


「はい…本当に…とても素晴らしいドレスに仕上がってすね。キャシーさん達の腕は本当に素晴らしいです。こんな素敵なドレスを着ることが出来るなんて嬉しいです。ラン様があの日、私の提案を快くいいと言って頂いたお陰です。ありがとうございます。」


ルージュは、とても嬉しそうな笑みを浮かべながらランドルへお礼を言った。


「お礼を言うのは私の方だ。あの時、ルーが提案してくれなければ我が領地の町の人々がこの様な素晴らしい物を作る事が出来るなど知らないままだったからな…ルーのお陰で知ることができたよ。ありがとう…」


ランドルは、優しい笑みを浮かべた柄ルージュへとお礼を言った。


「ふふ…それは良かったですわ。キャシーさん達にはうんとお礼を言わないといけませんね。当日着るのが楽しみです。」


ルージュは、クスクスと微笑みながら言った。


「あぁ…本当に楽しみだな。」


ランドルも、笑みを浮かべながら言った。




そして、翌日……


予定通り、オパール公爵邸へとサミエルがやって来た。


ランドルとルージュは、サミエルを二人で出迎えた。


「殿下…本日はわざわざご足労頂きありがとうございます。」


ランドルがサミエルへと挨拶をした。

横にいたルージュも、ランドルに合わせてサミエルへカーテシーをした。


「あぁ…出迎え感謝する。」


サミエルは、ランドルとルージュへと言った。


そして、二人はサミエルを応接室へと案内した。


応接室へと着いた三人は、椅子へと腰掛けた。


「今日は、急な訪問になってしまった…急な申し出の対応感謝する…」


サミエルが、二人へと言った。


「殿下の方こそ、お忙しい中こちらまでお越し頂きありがとうございます…」


ランドルが、サミエルへと丁寧に言った。


「あぁ…ルージュの体調も懸念した上で王宮まで足を運んで貰うのは忍びないと思ったのでな…それで今日こちらへ伺ったのは他でもない…ダース男爵親子についてだ…」


サミエルは、ルージュの方を見ながら言った。


(あれ……何だろう…この違和感…殿下の言葉に凄く違和感を感じるのは何故なのかしら…)


ルージュは、サミエルの言葉に何かを違和感を感じ思っていた。


「殿下…おひさしぶりにございます。殿下のお心遣い感謝致します…それで…ダース男爵親子のお話というのは今回の件についての処分がお決まりになったということですよね?」


ルージュは、サミエルへと挨拶をした後に本題について尋ねた。


「……。あぁ。久しぶりであるな…思ったよりも元気そうで何よりだ…この度の件は私にも否があった事だ…ナール嬢は色々と誤解をしていた様でな。私がきちんと話をしていたらこの様な事態にはならなかったかもしれないからな…私からも謝らせてくれ…すまなかった…」


サミエルは、申し訳なさそうな表情でルージュへと頭を下げて謝った。

 

「殿下!頭をお上げください…確かに今回の件に関しましてはナール様が何か思い違いをしていた様ですが、それはあくまでダース男爵親子が単独に起こした事態です。殿下が謝られる様な事はありません…それに、ラン様…いえ、公爵様が助けて下さったお陰で大きな怪我もなく終わりた。ですので…」


ルージュは、サミエルが頭を下げたので慌てて説明した。


(殿下が謝られるなんて調子狂いますわね…)


ルージュは、思った。


「ありがとう…そう言ってくれて…しかし…本当に無事で何よりだったな…オパール公爵のお陰だな…さすが軍でも大佐になっただけの事はある男だよ…」


サミエルは、ランドルの方を見ながらどことなく違和感のある表情で言った。


「いえ…妻を助けるという当たり前の事をしたまでです。」


ランドルは、サミエルの目を見て言った。


「そうか…妻か…そうだな…では本題だがダース男爵への処分が決定し、既に処分が下された。ダース男爵への処分は爵位の剥奪及び全財産没収。そして本人はカサン島への流刑。ナール嬢にはガイス王国で一番厳格とされる貴族の家へとご奉仕するメイドとして行ってもらう事となった。以上が、二人に下した処分の内容だ。」


サミエルは、ランドルの言葉を聞きどもる様な言い方で呟いた後にダース男爵親子の処分の説明をしたのだった。


「そうですか…その様な処分が下されたのですね…」


ルージュが、真剣な表情で言った。


(カサン島か…あそこには流刑先の中でも群を抜いて一番厳しいとされる場所だわ…それに、ガイス王国の中でも一番厳格とされている貴族の家のメイドとなればナール様には耐え難い事でしょうね…処刑にはならずに済んだとはいえかなり厳しい処分ね…)


ルージュは、二人の処分の内容を聞きそんな事を思っていた。


「結婚式の三日前だというのに、突然の訪問すまなかった。だが、ルージュは被害に遭った当時者でもあるから直接伝えたかったのだ。」


サミエルは、ルージュへと言った。


「いっ…いえ…構いません…殿下は、結婚式の話をどちらで?」


ルージュは、ふとサミエルが自分達の結婚式の日程を知っている事を不思議に思いサミエルに尋ねた。


「ハミエルから聞いたのだ。」


サミエルは応えた。


「そうなのですね…」


ルージュは、納得した様な表情で応えた。


「では…私はそろそろ失礼する。この後、公務が残っているのでな……あっ…オパール公爵…結婚式が終わった数日後の軍の出動参感謝する…」


サミエルは、ルージュに見えない角度でほんの少し冷たい笑みを浮かべてランドルへ言った。


「……。はい。殿下のお気遣い感謝致します…」


ランドルは、サミエルの目をしっかりと見つめて応えた。


そして、サミエルが帰る為ランドルとルージュはサミエルの見送りをした。


「では…失礼する。」


サミエルが、二人へと言った。


「「はい。お気をつけて…」」


ランドルとルージュは、サミエルへそう言うと礼をした。


礼をするのに頭を下げていたルージュは、何やら頭上に視線を感じた。

頭を上げるとサミエルがルージュをじっと見つめていた。


が、サミエルをすぐにくるりとランドルとルージュに背を向けて馬車へと乗り込み帰って行った。


(今、殿下にずっと見られている様な気がしたけど気のせいよね…あぁ…一気に気疲れしましたわ……あっ…ずっと気になってた殿下への違和感…私の事を名前で呼んでいたんだわ。婚約中に名前で呼ばれた事なんてあったかしら…あまりそんな事気にしていなかったから私が気づいていないだけだったのかもしれないけと…)


ルージュは、サミエルを乗せた馬車を見ながら考えていたのだった。


結婚式の三日前のこの日、ランドルとルージュは一気に疲れた一日となった………

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