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34.もう一度この手に…〜sideサミエル〜

私は、ハミエルが代わってくれていた公務を再開していた。


その日の公務は、予定より早く済んだ為に早めに王宮へと戻ってきていた。


私は、父上に公務での報告をした後に自室へと戻ろうとしていた。

その時、ハミエルが血相を変えて王宮に戻ってきたところでばったりとあった。


私は、ハミエルが血相を変えていたので何かあったのかと心配になりハミエルへと尋ねた。


しかし、ハミエルの口から出た言葉で私の頭の中は真っ白になった…


なんと、ルージュがオパール公爵家の領地にて何者かに攫われたとの事だった。


ハミエルは、軍の出動要請をしに王宮へと戻ってきた様だった。


私は、ハミエルの言葉を聞きルージュにもしもの事があったらと考えると体から血の気が引き恐怖にかられたのだった。


私は、まだ話をしているハミエルを無視して急いで自室へと戻り着替えを済ませて、ルージュを探しに行こうと思った。


自室へと戻り、扉を開けようとした時に部屋の中から人の声した。

私は、腰の剣に手をかけ中にいる者が何かを話しているのに耳を傾けた。


すると、驚く事に中の居たのはダース男爵令嬢のナール嬢と侍女らしき女性だった。


(何故、ナール嬢が私の部屋にいるのだ?不法侵入ではないか。王宮の護衛の者は何をしていたのだ?!しかし…あの女あれだけ私の前に現れるなと言ったのにも関わらずこんな犯罪まがいの事をするなど何を考えているのだ?!)


私は、そんな事を思いながら呆れ今度こそガツンと言ってやろうと思い扉を開けようとした時だった。


ナール嬢達が話している内容に、扉にかけた手を止めた…


何と…ルージュを誘拐させたのはナール嬢の様だった。

しかも、ナール嬢はルージュを殺せとも連れ去った者に指示している様だった。


それに加えて、ナール嬢は私の水差しに媚薬を入れて私との既成事実を作ろうと企んでいたのだ…


私は、ナール嬢達の会話を聞いて殺意すら覚えたほど頭に血がのぼった…


私は、これ以上我慢が出来ず扉思い切り蹴り開けた。


中にいた、ナール嬢と侍女は私の姿を見て驚き怯えた様子だった。


しかし、そんな事など関係なかった。


私は、ナール嬢にルージュの居場所を吐かせた。

私は、今にもナール嬢を殺してしまいたい程憎かった…

元々、令嬢であるにも関わらず下品で低脳だと思っていたがここまでとは思わなかった…


しかし、一番憎いのは自分自身だった。


私が、あの日ルージュの気持ちを確かめたいが為にナール嬢に協力してもらい婚約破棄の演技をしたせいでルージュはこんな事に巻き込まれた様なものだと思った。


自分が、ルージュにきちんと向き合っていたらルージュがオパール公爵などと結婚する事もなくこんな事に巻き込まれ危険な目に遭うことなどなかったかもしれない…


そう思うと自分自身を恨まずにはいられなかった…


だが、一刻を争うこの状況で今は自分自身の行いを悔いている場合ではなかった。


ナール嬢に、ルージュの居場所を吐かせたので今は一秒でも早くその場所へルージュを救いに行かなければと思った。


ナール嬢のやった事を罰するのは、ルージュを助け出してからだと思った。


丁度そこへアインがやってきたので、軽く事情を話してナール嬢達をアインに任せて私は急いで厩舎へと向かった。


厩舎へ向かう途中にハミエルに声をかけられたので、ハミエルは詳しい事はアインに聞いてくれと言い私は急ぎ厩舎へと行き、馬に乗り急いでナール嬢が言っていた山の方へと向かった。


(ルージュ…頼むからどうか無事でいてくれ…私は君に謝ることすら出来ていないのだ…)


私は、そんな事を思いながらとにかく馬を走らせたのだった…


ようやく山へと到着し、急いで山を登った…


そして、走っていると小屋が見えちかくから煙があがっていた…


私は、嫌な予感がした…

煙があがっているという事はそこで火が燃えているからだ…


(まさか…ルージュは…もう…そんな……)


私は、最悪な状況を想像してしまった…


だが、まだ手遅れかどうかなど確認していないのだからと思い直し私は馬から降りて小屋の方へと走って向かった。


そして…ようやく小屋へとたどり着いた…

小屋の中へと向かおうとしたその時…


私は、想像もしていなかった状況が目に入ったのだ…


小屋の外で、ルージュとオパール公爵が抱き合っている姿が目の前にあったのだ…


どうやら、オパール公爵の方が先に小屋へと到着していた様だった…


私が、何より驚いたのはオパール公爵が先に助けに来ていた事より、二人が抱きしめ合っている事に加えてルージュがとても優しい表情で微笑んでいたのだ…


(あんな表情…私との婚約が決まって一度も見せてくれた事などなかったのに…)


私は、そんな事を思った。


段々と、その光景を見ているのが辛くなり私はそっと馬の方へと戻った。

そして、馬に乗り王宮へと戻ったのだった。


帰りは、心にぽかんと穴が空いたような気持ちになった。


そして、気づけば王宮へと着いていた。

王宮へ着くと、私は自室へと向かった。


(何故…ルージュはオパール公爵に対してあの様な優しそうな笑みを浮かべていたのだ…オパール公爵との結婚も私の時と変わらない形上、政略的なものではないか…なのに…どうして…)


私は、そんな事ばかりを考えていた。


そして、段々とオパール公爵に対して黒い気持ちが込み上げてきたのがわかった。

そして、改めて自分がルージュを愛している…

ルージュをもう一度自分のものにしたいという気持ちが強くなったのだ…


(どうしたらルージュをもう一度自分のものに出来るかを考える必要があるな…)


私は、そんな事を考えていた…


だが、その前に私にはやるべき事があるのだ…

ダース男爵親子の処分だった…

あの親子を許すわけにはいかないからだ…

私の大切なルージュに手を出した事を思う存分後悔させてやる……

ご覧頂きありがとうございます☆


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