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27.帰りの馬車の中

ルージュとランドルは、軍の基地からの帰りの馬車の中で話をしていた。


「そうだ…ルー気になっていたんだが、ハミエル殿下とやたらと仲良さそうに話していたが…」


ランドルは、基地でハミエルとルージュが砕けた感じで話をしていた事が気になっていたのだ。


「あぁ…そうですね。ハミエル殿下…ハミエルとは私が皇太子殿下と婚約して王宮での生活をしている際に仲良くさせてもらっていたのです…歳も近い事もありハミエルの方から色々と私の事を気にかけてくれていたのです。話しているうちに、いつの間にかお茶をしながら話をする程の仲になっていました。」


ルージュは、ランドルへと説明した。


「ルーの事を気にかけていたという事は…もしや…ハミエル殿下はルーの事を……」


ランドルは、ルージュの話を聞き不貞腐れた様な表情で言った。


「ふふふ…ラン様、そんな不貞腐れた顔をしないで下さい。」


ルージュは、ランドルの言葉を聞きクスッと笑いながら言った。


「なっ…不貞腐れてなどいない…ただ…」


ランドルは、ルージュに言われると慌てて言った。


それを横で見ていたグレイもクスッと笑った。


「グレイまで笑うな。」


ランドルが、グレイへと言った。


「申し訳ありません…」


グレイは、笑いを堪えながら言った。


「ハミエルは、ラン様が思っておられる事はありませんわ。ハミエルにはきちんとした想い人がいらっしゃいます。今日、ハミエルが結婚式に呼んで欲しいという話をした時に出てきた"カリーナ"という名前を覚えていますか?そのカリーナ様とハミエルはお互いを想っているのです。私は、その二人のキューピット的な存在なのですよ。ハミエルが気にかけてくれていたのは慣れない王宮で皇太子殿下も特に私を気にかけてくれる事がないのを見ての事ですから。それに、ハミエルとお茶をする時はほぼカリーナ様もご一緒でしたから。なのでご安心下さい。」


ルージュは、笑顔でランドルへと説明した。


「そうだったのか…私の勘違いか…はは…だが…安心したよ。」


ランドルは、自分の勘違いの恥ずかしさからか苦笑いしながら言った。


「是非、結婚式にはお二人も来て頂きましょう。あっ…結婚式まではあと二週間となりましたし明後日あたり一度領地へと行きキャシーさんにお願いしておいたドレスの仮縫いに行きたいと思っているのですがラン様のご予定はどうですか?」


ルージュが、笑顔で言うと思い出した様にランドルへと尋ねた。


「明後日か…午後からだと予定を調整出来そうだから、ルーだけ先に行き仮縫いをしてもらうといい。私は、昼からマークと共に町へと向かう事にするさ。」


ランドルは、少し考えてルージュへと応えた。


「そうですか。来ていただけそうなのでしたら良かったです。ラン様にも仮縫いの段階で一度見ておいて頂きたかったので。」


ルージュは、微笑みながらランドルへと言った。


「あぁ…私も見ておきたいからな…デザインは前もってキャシーに伝えてあるのか?」


ランドルは、不思議に思いルージュへと尋ねた。


「はい。先日、領地へと行った際にこっそりとキャシーさんにこの様なデザインがいいと伝えておいたのです。そのデザインは、お母様がお父様と結婚される時に着られたドレスをイメージしているのです。そのドレスがとてもきれいでいつか自分も結婚する時は、お母様の様なドレスが着たいと幼い頃から思っていたのです。」


ルージュは、ニコニコと微笑みながら言った。


(お母様のドレスは本当にシンプルなのにとてもきれいだったのよね…それに…偶然にも前世での私の父と母の結婚式で母が着ていたドレスもお母様のドレスとよく似たデザインだったよね…前世でも、いつか恋をしてその相手と結婚する時に母と同じ様なデザインのドレスを着るのが夢だったのよね…まぁ…極道一家の結婚式となると和装なのだけど…)


ルージュは、ドレスの話をしながらそんな事を考えていたのだった。


「そうなのか?本当にルーは抜け目がないな…はは…本当に感心するよ…」


ランドルは、苦笑いしながら言った。


そして………


「そうだ…私も大事な話があったのだ。邸に戻ってでも良いが丁度結婚式の話をしている今のうちに話しておく。私達の結婚式の二日後に、我々の軍が近隣国との戦いに参加することになったのだ…だから…新婚旅行はその戦いが終わり落ち着いてからになるのだ…すまない…」


ランドルは、申し訳なさそうにしょんぼりとした表情でルージュへと言った。


「それは…構いません。ラン様は大佐ですし、絶対に参戦しなければならないでしょうから…それよりそんなにも急を要する戦いなのですね…」


ルージュは、優しい表情で言うとすぐに少し困った様な表情を浮かべながら言った。


「ルーならそう言ってくれると思っていた。ありがとう…あまり急で大きな戦いではないとは思うが近隣国に近づくまでに崖や斜面が多い道を通るのでその辺りは気をつけねばならぬな…」


ランドルは、少し困った様な表情でルージュへと言った。


「ラン様が、戦いに出られている間は邸の皆さんと共に邸をしっかりお守りしますわね。なので安心して戦って下さい。そして、何より無事に帰って来れるよう毎日祈っていますわ。」


ルージュは、優しそうなどこか凛とした表情でランドルへと言った。


「はは…それは心強いな…」


ランドルは、嬉しそうに優しそうに微笑みながらルージュへと言った。


「まぁ…指揮をとって先陣をきられるのは皇太子殿下だそうなので大丈夫であろう…」


ランドルは、複雑そうな表情で言った。


「殿下が指揮を取られるのですか?そうですか…」


ルージュは言った。


(殿下が指揮を取られるのね…というよりこの戦いって、前世の小説の話には出てきてなどなかった気がするわね…あぁ…思い出そうとしても杏理の話してくれた話が全く役に立ってないのよね…杏理から聞いた話より違う展開が起きてるのかしら…殿下もナール様とご婚約されてないと言っていたし…)


ルージュは、心の中でため息をつきながらそんな事を考えていた。


「とにかく、あまり深く考えすぎるな…」


ランドルは、優しくルージュへと言った。


「はい…」


ルージュは、応えた。


そうこうしていると、馬車はオパール公爵邸へと到着していたのだった。


「話をしているとあっという間でしたね…ですが…ラン様とお話出来て良かったです。」


ルージュが、優しく微笑みながら言った。


「あぁ…私もだよ…さぁ…降りようか?今日は朝からバタバタと作業していて疲れているだろう?ゆっくり休むといいよ。」


ランドルは、優しく微笑みながらルージュと言ったのだ。


こうして、長い1日が終わったのだった………

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