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24.第二皇子・ハミエル

名前を呼ばれて、ランドルとルージュは二人同時に振り返り後ろを見た。


そこにいたのは………


この国の、第二皇子のハミエル殿下だった。


「ハミエルッ!……ハミエル殿下!」


ルージュは、ハミエルに向かって笑顔で名前を呼び返した。


「ハミエル殿下?!」


ランドルも、ハミエルを見て驚いて言った。


「ハミエル殿下が何故こちらに?」


ルージュは、とても驚いた表情でハミエルへ尋ねた。


「今は兄上の代わりに私が軍の方の仕切りもしているのだよ。今日は、軍の様子を視察しに来たんだが…まさかルージュが居るとは驚いたのよ…」


ハミエルが、笑顔でルージュへと説明した。


「殿下の代わりに…ですか?」


ルージュは、ハミエルの説明を不思議に思い尋ねた。


「あぁ…オパール公爵とルージュが良ければ中で少し話をしないか?」


ハミエルが、何か考える様な表情をした後にルージュとランドルへ尋ねた。


ランドルとルージュは、顔を見合わせて不思議に思ったが了承した。


そして、三人は基地の中にある応接室に入り椅子へと腰掛けた。


「ルージュ…改めてオパール公爵との結婚おめでとう。そして、兄上の事すまなかった…私からも改めて謝罪したいと思っていたのだ…」


ハミエルは、微笑みながらランドルとルージュへ結婚の祝福を言った後に、申し訳なさそうな表情でルージュへと婚約破棄の件を謝罪した。


「ハミエル殿下…頭をお上げ下さい…もう、過ぎたことですし今はこうしてオパール公爵夫人として良くして頂いてますので…」


ルージュは、慌ててハミエルへと言った。


「しかし…」


ハミエルが言いかけると…


「本当に大丈夫ですわ。それよりも王宮の方が大変なのではないですか?婚約破棄後の王宮の様子などは知らないのですが、その後上手く皇太子殿下とナール様のご婚約のお話は進んでいるのですか?ハミエル殿下が皇太子殿下の公務を代わりにやられてるいるということは色々と皇太子殿下はお忙しいのでしょう?」


ルージュは、自分が婚約破棄した後の王宮での様子を全く知らなかったのでハミエルへと心配そうに尋ねた。


「それがだな…その話は全く進んでいないんだよ…」


ハミエルは、呆れた様な表情で言った…


「え?どういう事なの?あっ…どういう事なのですか?」


ルージュは、驚いた様にハミエルへ尋ねた。


「ルージュ、今まで通りの話し方で構わないよ…急にかしこまった言い方されると違和感しかないからな…」


ハミエルは、苦笑いしながらルージュへ言った。


「あっ…ははは…そうね…では、今まで通りに話すわね…もう一度聞くけど殿下がナール様との婚約をしていないってどういう事なの?」


ルージュは、今まで通りの話し方でハミエルへと尋ねた。


「それが私も詳しい事は分からないのだが、どうも兄上がそうしているみたいなんだ…」


ハミエルは、呆れた様な表情でルージュへと言った。


「殿下が……?」


ルージュは、不思議な様な驚いた様な表情で言った。


(どういう事なのかしら…殿下はナール様と婚約する為に私と婚約破棄までしたというのに…そして前世の小説のルージュはその後、一生修道院で過ごしたに…この世界の私は自分自身の行いで小説とは違う方向になってしまったけれど…でも殿下に関しては小説通りに話が進んでいるのに…どうなってるの…私の前世の小説に対する記憶で忘れてる事があるのかしら…杏理の話だとルージュが修道院に入る前には、殿下とナール様は婚約していたはずだけど…)


ルージュは、ハミエルの話を聞き前世の小説についての杏理の話を思い出しながら考えていた…


「あぁ…だから、父上も母上も困っているんだよ…加えてナール嬢が毎日の様に王宮へと足を運ぶものだから更に悩みの種が増えているんだよ…ダース男爵も色々なところで自分の娘が皇太子妃になると言いふらしている様だしな…」


ハミエルは、呆れた様な表情でルージュへ言った。


「でも、ナール様と婚約する為に私との婚約破棄を決められたというのに殿下は一体何をお考えなのかしら…それにしても、ダース男爵もナール様も怖いもの知らずなのね…ナール様が皇太子妃になられるのは少し心配な気もするけど殿下が選ばれた方なのだし大丈夫よね?」


ルージュは、少し困ったような考え込む様な表情でハミエルへと言った。


「同感だな…いささかナール嬢が皇太子妃というのは心配だな…ルージュが皇太子妃じゃなくなった今、他の貴族達も兄上への反感が増える一方だ…兄上はルージュに婚約破棄を言い渡してすぐに父上に謹慎を言い渡されていたんだよ…それもあり私が兄上の分の公務もこなしてるんだよ…」


ハミエルは、どこか少し疲れた様な表情で言った。


「そうなの?でも、そこに関しては私にはもう関係なくなった事だしね…それにしても陛下はあれから殿下にえらくご立腹だったのね…ハミエルも大変ね…」


ルージュは、苦笑いしながら応えた。


「まぁな…だが、公務を蔑ろには出来ないからな。だが…今日はルージュに会えて良かったよ。私が言うのも何だがオパール公爵と幸せになってくれ…結婚式には是非呼んでくれ。カリーナと共に行くよ。」


ハミエルは、笑顔でルージュへと言った。


「ふふ…ありがとう。私も久々に会えて良かったわ、ハミエル。是非、カリーナ様と来てちょうだいね。」


ルージュも、笑顔でハミエルへと言った。


「あぁ。そうだ…少し軍の事でオパール公爵と話があるからルージュは少し席を外して貰ってもいいかな?」


ハミエルは、ルージュへ言った。


「ええ。構わないわ。では、ラン様…私はグレイさんとカイルお兄様の所へと行ってますね。」


ルージュは、笑顔でハミエルとランドルに言った。


「あぁ。分かった。ハミエル殿下との話が終わったら私も向かうよ。」


ランドルは、微笑みながら言った。


「はい。分かりました。」


ルージュは、笑顔で応えると応接室を後にしてグレイとカイルの元へと向かった。


「それでハミエル殿下…私に話とは…?」


ランドルは、グレイとルージュが行ったのを確認すると不思議そうにハミエルに尋ねた。


「あぁ…まずは軍の任務の話だ。実は、近隣国の軍が我が国にまた攻め込んで来るという情報が入ったのだ…オパール公爵とルージュには申し訳ないが、我が軍の出動が君達の結婚式の二日後になったのだ…新婚旅行には行くのは少し先になってしまうだろう…申し訳ない…」


ハミエルは、申し訳なさそうな表情でランドルへと言った。


「いえ…それは仕方なのない事ですし、彼女もそこは理解してくれると思いますので。近隣国との戦いの先陣は皇太子殿下がとられるのでしょうか?」


ランドルは、真面目な表情でハミエルへと応えた。

そして、尋ねた。


「ありがとう。そう言って貰えるとこちらも救われるよ。戦いにはオパール公爵の存在は欠かせないからな…今のまま行けば予定通りの兄上が指揮をとり先陣をとることになると思う。」


ハミエルは、真剣な表情で応えた。


「左様ですか…承知しました。では、その様に動く様にしておきます。」


ランドルは、ハミエルへと応えた。


「あぁ…頼んだ。それと…これ軍には関係のない話なのだが…兄上の事だ。ルージュには言わなくてもいいと思ったので席を外して貰ったが、どうやら兄上はルージュに会って話をしたがっている様なのだ。理由は私にも分からないのだが…一応、そんな事があったというのをオパール公爵にも伝えておいた方がいいと思ったので今日はこちらへ伺ったのだ。視察も兼ねてだが…ルージュは、兄上によって酷い屈辱を受けた。だから…誰よりもルージュには幸せになって欲しいと願っている。公爵がルージュを見る目で分かるが本当にルージュを大切に思っているのだな…君ならきっとルージュを幸せにしてくれると今日確信したよ。なので、一応…念の為先程言った兄上の件は頭に入れておいて欲しい。」


ハミエルは、真剣な表情でランドルへと言った。


「はい。畏まりました。わざわざこちらへお越し頂きありがとうございました。殿下の件は頭に入れておきます。確かに気になる発言ですので…」


ランドルは、目を少し細めながら何かを考える表情でハミエルへ応えた。


「あぁ…頼んだぞ。」


ハミエルが、ランドルへ言った。


「はい。承知しました。」


ランドルは、ハミエルへ応えた。


そして、話を終えたハミエルは王宮へと戻って行きランドルはルージュの元へと向かったのだった………

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