2.前世の記憶通りの展開
ルージュには………
父に、パトリック辺境伯のディーン。
長兄に、軍の少佐を務めている時期辺境伯のカイル。
次兄に、主にパトリック辺境伯家の領地の管理を任されているアイル。
がいる。
母である、アンジュはルージュを出産後体調が急変しかえらぬ人となった…
ルージュの命と引き換えに、この世を去ったアンジュにディーンもカイルもアイルもとても悲しんだ…
しかし、三人は決してルージュを責めることなどなく三人はアンジュの分までルージュに愛情を沢山注いで育てたのだった。
ディーンは、ルージュが生まれた当時は辺境伯でありながら軍人として国王軍に所属もしていたが、幼いルージュの事を思い軍からは遠いたのだった…
その後、ルージュはアンジュによく似たとても美しい少女へと成長していった。
この頃ルージュは、前世の記憶を思い出していた。
聡明な子でありながら元・軍人である父のディーンに無理を言い、剣術や護身術なども身につけていた。
今後の平凡ライフを送った際も、自分の身は自分で守れる様にだ。
パトリック辺境伯家は、王国では公爵家に匹敵する程の貢献をしてきていた。
ルージュも幼いながらに、パトリック辺境伯家の一員として力を注いでいたといっても過言ではなかった。
前世の記憶を思い出してからは尚更だ…
皇帝陛下からすれば、味方につければ怖いものなしだが敵には回したくないのが正直なところであった…
そして、前世の小説通りルージュが十四歳になった年に皇太子であるサミエルとの婚約の話が皇帝陛下と皇后陛下直々に持ち上がったのだった。
それまで、ルージュがサミエルと対面した事があったのはたった一度挨拶をした程度だった。
(そもそも、何故…私が選ばれたのかしら…その辺りの内容は杏理から聞いてなかったわね…本当に私、皇太子殿下には一度しか会ったことがないと言うのに…)
どうして、自分が婚約に選ばれたのかそこだけは前世の記憶があれど全くわからずそんな風に思っていた。
ルージュ同様にパトリック辺境伯家は、何故ルージュが選ばれたのか不思議に思っていた。
確かに、ルージュは皇太子妃としては申し分ない子だったが、皇太子妃候補と言われていた令嬢の中にルージュは入っていなかったからだ。
ディーンは、辺境伯家はそれなりに成果を上げていた為わざわざルージュを皇太子妃に立候補させる事など考えていなかったからだった。
自分の娘を、皇太子妃にするという事は個々だけの問題ではない。
皇太子妃になる令嬢の家全体にも関わってくる問題だった。
ディーンは、娘を皇太子妃候補に立候補させなくともそれなりの権力を保持していたのだ。
皇太子妃になるという事は=次期皇后になると言うことだ。
皇太子妃になれば、皇后教育も行わなければならない。
ディーンは、あえてルージュにその様な大変な思いはして欲しくなかったのだ。
しかし、ルージュは前世の記憶がある為自分が婚約してその後破棄されると知っているので、あえて婚約を了承したのだった。
(あと二年後の婚約破棄後の平凡ライフの事を思うと、婚約するのを了承する変わりにいくつかの条件を陛下達に飲んでもらわないといけないわね…)
ルージュは婚約破棄後、自分にとってもパトリック辺境伯家にとっても都合のいい条件を上手く、陛下達に出そうと考えていた。
そして、父であるディーンづてに陛下達に条件を伝え了承を得ていたのだった。
ルージュは、しっかりと二年後の婚約破棄後の為に動いていたのだった…
ルージュとサミエルの婚約が正式に極まると、ルージュは早速皇后教育を始める事となった。
皇后教育は、想像していたよりも大変だったがルージュは弱音を吐くことなくこなしていたのだった。
ルージュは、たとえ婚約破棄されるとしても皇妃教育もやっていて損な事はないと思うと乗り越えることが出来たのだった。
皇后教育は、大変ながらもこなしていっていたが婚約者であるサミエルとの関係はよく分からないものだった。
ルージュも、二年後の未来が分かっていたとはいえその二年間は婚約者としてサミエルとの関係も良好でいようと思ったものの、結局サミエルとの関係性がよくわからないでいた…
(本当に、どうして皇太子殿下は私と婚約をしたのかしら…陛下達が望まれていて仕方なくという感じだったのかもしれないわね…でなければ、私にだけあんな不機嫌な様な素っ気ない様な態度とらないものね…私、嫌われてるのかもしれないわね…婚約破棄したくなるのもわかるわ…)
ルージュは、自分で思いながら自分で納得していたのだった…
そして、婚約してから二年が経った………
※
そして、今この状況に至るだ…
(本当に見事に、二年後だったわね…二年後あっという間だったわ。この日をどれだけ待ち望んだ事か…さぁ、後はお父様に例の陛下達に出していた条件の件を話してもらって、正式な破棄をしてもらったらいいわね。)
ルージュは、未だ俯いたまま心の中では喜びを隠せなかったのだった…
俯いたまま、歓喜に浸っていたルージュは気づいていなかった…
婚約破棄を、叩きつけた皇太子サミエルがルージュを見つめる表情を………
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