表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したものの・・・。  作者: ジヌ
13/15

13

セロイはとても気さくな男だった。

彼のする商売は非道ではあるが、人望の厚い男であるのはわかる。

現に、彼の宝貝道具であるはずの女性たちからは、慕われており、何度か彼女たちに呼ばれ近くにあるという店の方へ出向く場面がしばしばあった。

そんな男だからこそ、私とノアの間に存在する薄いガラスの壁には、気づいているのだろう。

しばらく話したのち、彼はにこやかに私たちを送ってくれた。


屋敷に戻り、ノアは私の部屋まで送ろうとしたが、玄関までで断った。

もう、日がくれる。夕日が玄関前の私たちを綺麗に写した。


「今日は、ありがとう。」


「あぁ。」


ノアは、ふっと笑う。


「少し、考える時間が欲しいので、寄宿舎へ入るまでは時間が欲しいです」


私はノアと向かい合うように立つ。

ノアは柔らかな表情を崩さず、私を見つめる。


「僕を避けてる?それとも、マリアの話が・・・」


「いえ。マリアという人の話が気にならないわけではないけど、私は、必要な距離をとっているだけ。」


彼が、スラムの話をしたのも、信頼があっての訳ではない。私と「取引」のための信頼だ。めんどくさい考え方だとは思っている。ただ、心を許したわけではない彼に溺れてしまうのではないかと、私は怖かった。


「そう。」


彼は、それ以上私を追求するでもな、帰っていく。立ち去る彼をしばらく見つめる。「マリア」という女性はどのような女性だったのだろう。どのように彼の前からさっていったのだろう。

小さく乾いた笑いが漏れた。

馬鹿馬鹿しい。傷つき心細かった状態でそばにあんな男がいたら、気にならない方がおかしいだろう。


「吊り橋効果みたいなもんだね・・・」


誰にいうわけでもなく、私自身に呟き、部屋に戻る。

私には、もう一つ、やるべきことがある。


部屋に戻り、使用人を呼ぶ。

シーアという私つきの使用人がきた。すらっと高く、温厚そうな顔つきをしている。


「あの、男性が着られる服を可能であれば明日の昼ごろまでに用意していただきたいんです。それと、仕立てをシエくださる人も読んでいただけると嬉しいです。男性の服っというのは、農民から貴族まで今はもちろん10年前までのトレンドを合わせて持ってきて欲しいです。」


「と・・・トレンド?」


「あ、流行ったものです。今はダサい・・・かっこ悪いとか時代遅れとか言われていても構いません」


「かしこまりました。手配いたします。」


もう一つの問題。それは、私のきている服だ。リサのドレスは豪華で女性らしく可愛らしいものが多い。今日まで、我慢したもののやはり、自分の好みまで相手に合わせていたくはない。服とは一種のアイデンティティである。そもそも、スカートを身につけることのない私は、この格好か非常に落ち着かなかった。ドレスという概念を崩さず、パンツを取り入れる格好を考えた際に閃いたのだ。ワイドパンツを作り上げてしまおうと。カーゴパンツやスラックスを作ってしまい、上に着るものは男性の服を取り入れることで、中性的でかつスッとした女性像が作りあげられるのだはと考えたのだ。パンツを作成する際はこの、有り余るほどのドレス生地が役に立つはずである。

 身につけるもの。そこから、私という人格を確立させる。切りそろえてもらった髪を耳にかける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ