ニューゲーム
意識が朦朧として思考が上手く働かない。
視界がぼやけてはっきりとは解らないが、腕と脚がある事から死ねた事は間違いないか。
「おぉ!やっと起きたか!」
……この声は……確か魔王だったか?何故彼女の声が聞こえるのだろうか……
解らない事を考えても仕方ないので起き上がると、魔王らしき人影が背を支えてくれた。
「えっと……ここは……?」
辺りを見回すと少女の部屋の様に見えるが、死後の世界と言うのはこんなものなのだろうか?
「ここは妾の部屋じゃよ。汝には悪いが、妾ですら汝を殺す事が出来なくての……どうせ死ねぬならと体を洗ったついでに義肢を取り付けさせて貰ったのじゃが……」
「そう……ですか……」
死ねていなかった……でも手足は戻ってきたから自由に動ける…偽物の手足と言えども、感覚があってしっかり動けると言うのは嬉しい…かな?
右腕をゆっくりと動かして動作を確認し、少女の方へ視線を向ける。
「えっと……私……スカーレット・バレンタインです…名前をお聞きしても…?」
「む、人間界でも妾の名は知られていると思っていたのじゃが……スカーレット・バレンタイン、二代目魔王じゃ。それにしても、全く同じ名前とは奇遇じゃな」
同姓同名の別人……か。
私は茜色の髪色なのに対して彼女は鮮血のように赤黒い髪色をしていて、瞳も私は赤みがかった白なのに対して深いワインレッド……私もこんな綺麗な姿に育ちたかったものだ。
「スカーレットさん……何か、私に出来る事って無いですか?」
「襲い来る勇者は討伐したし……妾の部下の故郷も取り戻した……そうじゃな、妾の嫁になって欲しい……なんて、我が儘かの?」
……この魔王様は何を言っているのだろうか?
ベッドへ上がってくるのを止めようとしたのだが強い力で拘束されて身動きが取れず、私より小さい体躯の少女に押し倒される。
「私は……数えるのも嫌になる程、男の人と夜を共にした身ですよ……?それに、女同士ですし……」
「妾はそのような事は気にせぬぞ?噓じゃと思うのなら相手をしてやってもよいが……」
……つまり、今シたいと言うことだろうか?
「貴方が臨むなら……私は受け入れますよ……?」
肩の辺りに置いて否定の意を示していた腕を背中に回して頬を撫でると、ゴクリと喉を鳴らして頬を紅潮させた。
「わ、妾を誘惑するとは、どういう事か解っておろうな……!」
「ええ、気が済むまで私をお使い下さい……」
鼻息を荒らげるスカーレットさんを抱き寄せ、近付いた唇を食む。
「他の男に汚された私を……貴女で塗り替えて……?」
誤字脱字等ありましたら申し訳ございません