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救済の時来たり

「お父上と何の話をしていたんだ?咲。」

私は、咲とその父が神妙な顔つきで何を話していたのか気になり、咲に問いかける。

「それは、、、今は秘密ですわ。」

咲は何かを隠している雰囲気だ。

「そ、そうか」

そもそも、私は突然現れた身。その上、不幸にも長美に異変が起こった同日に現れたのだ。信用されていないのも無理はない。

「ところで、調べるといっても行く宛はあるのか?」

私はここへ来て日が浅い、調べるといっても、どこへ向かうべきかもわからない。

「とりあえず、教会に行きましょうか。司祭に聞けば何か分かるかもしれないですし。それに、悪魔祓いもしてくれるかもしれないですわ。あ、でも教会にはあいつが、、、あ、いえなんでもないですわ。」

(教会に嫌な人でもいるのだろうか。今は聞かないでおこう。)

「そうだな、私も同意だ。彼女が悪魔かどうかは、わからないが、行ってみる価値はあるだろう。」

「ワタクシは、絶対悪魔だと思いますの。神様も天使もこんなことする訳ないですわ。」

咲は、彼女を悪魔だと信じこんでいるようだが、本当に、悪魔なのだろうか。私は、光を操り、人を異界に飛ばす悪魔など聞いたことがない。悪魔でないとしたら、教会も安全なのだろうか。教会は、悪魔を防げても、他のものは防げるのだろうか。そんな不安を抱きながらも、咲の後追いかけた。


ー教会ー

「・・・神の祝福を受けたものは救われ、天国へ行ける。祝福を受けるには、善行を積み、その身を神のものとせねばならない。・・・」

司祭がミサを執り行っている途中のようだ。多くの者はいつもの説法だと飽きた感じだったが、1人だけ熱心に聞きいる信者がいる。

「見知らぬ方がおられるようですね。ワタシはここの司祭の助手をしておりますアイレーン・ド・ポエです。ここは、聖エレ教会。咲様の一族の祖先を祀る教会になります。」

「ふん、相変わらずクソ真面目で、ウザイ奴、、ですわね。」

(咲が嫌がってたのはこの人か。やりづらいなぁ。)

「相変わらず、信仰心が足りませんね、あなたは。そんなんではいくら聖エレ様の子孫であっても天国へ行けませんよ。」

「それなら、ワタクシは天国へなんて行けなくて結構でしてよ。あんたの理想郷なんて行くぐらいなら、地獄へ行った方がましですわ。」

「だから、何度もワタシは申し上げております。天国はワタシに理想郷ではなく、全て者達の理想郷であると。・・・・」

「あー、もうあんたの説法なんてもう聞きたくないわ。ワタクシ達は、司祭様に用があって来たんですわ。あんたみたいな小童に用はなくてよ。だいたいあんたはいつもそう・・・」

2人の喧嘩に私は終始おどおどして、本題を切り出せずにいた。そんな中、

「相変わらず、仲がよろしいようで、関心じゃな。」

「司祭様!申し訳ございません。ミサ中にも関わらず大声上げてしまい、なんと申し上げてたらいいか、、、」

「ふん、相変わらずの態度ね。イケメン司祭さん。ふん」

「だから、その言い方は辞めて下さいとワタシは何度も、、」

「仲が良いのはいい事じゃが、時と場合を考えるのじゃぞ。」

司祭は落ち着いた様子で諭している。よくあることなのだろうか。

「ミサがちょうど終わったところじゃ、茶でもして行かぬかの。異界の方もどうぞ奥へ。」

「は、はぁ」

どうしてこの方は私が異界から来たものだとわかったのだろうか、そんな疑いを持ちながら、教会の横にある事務所に入った。

「2人はよく頭を冷やしなされ。ところでじゃ、咲お嬢と異界の者はどうしてここへ来たのじゃ?」

司祭は、さっきの落ち着いた感じとは違い、かなり興味津々といった感じでこちらを見つめ問いかけた。

「それはですね、カクカクシカジカで・・・」

咲が宮殿で起こった忌々しい事件のことを詳細に司祭へ話した。

「ふむ、で、その悪魔はなんと名乗ったのだ?」

司祭は問いかけた。

「、、ダ、、キニ、、、」

私は謎の少女の名乗った名を呟いた。すると、司祭は、意味ありげな笑みを浮かべ、

「ふむ、それは、遠い異国の魔物じゃな。本当に真相を確かめたいなら、ここから、ずっと北へ向かい、ターミーの森へ向かいなされ。アイレーンを連れていくといい。」

「司祭様正気ですか!ターミーの森は悪鬼の巣窟ですよ。戦うことも出来そうにない彼らだけで行っても、死体になって帰ってくるだけです。ワタシが付いて行ったところで、、、」

ーズドンー

突然大きな音が響く。教会からだ。

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

低く、鈍い笑い声が教会の敷地中に響く。

「何者ですか!?」

アイレーンが叫びながら、教会へ戻ろうとした。しかし、声の正体に気づいた時彼の顔が急に青ざめた。そして、問いかけた。

「あ、あなたは、ロエドさんですか!?」

私は思い出した。彼は、司祭の説法を唯一熱心に聞いていた信者だ。

「いいや、今は、アシャだ。」

アシャを名乗る信者は、不敵な笑みを浮かべた。

「救済の時は来たり!!!」

私も咲もアイレーンも恐怖に慄いている中、司祭は笑顔でそう叫んだ。












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