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07

__火の賢者。これは名前からして火魔法の極地に到達しているということか?


これまでこの世界に馴染むために低姿勢だったがもしかしておれが世界で一番強い?


いや、まだだ。


確証が得られるまでは今のままでいるべきだ。



鋼の自制心で高揚する気持ちを抑える。


「……火の、賢者ですか?」


笑い出すのを堪えながら、聞き返す。


「ええ!魔計測の水晶が一色で染まるところなんて初めて見たわ!普通はいろんな色が混ざったりしてぐちゃぐちゃしてるんだけどあなたは真っ赤だもの!これは火魔法に特化している証拠だわ!」


「過去には何人もいたらしいけど今世紀は初じゃないかしら!?」


隣で受付をしてもらっていた冒険者の女性が、興奮した面持ちで話す。


その声は思ったより大きかったようで、隣の酒場の人もその声を聞きつけてぞろぞろとやってきた。


「アイーシャどうしたんだ?お前さんがそんな大きな声を出すなんてよお」


「ルドガー!この人が今世紀初の火の賢者なのよ!」


アイーシャと呼ばれた冒険者は、酒場で演説していた人に野次を飛ばしていた男__ルドガーに声高に言う。


「なんだと!?こんな小僧がか!?すげえなあ、おい!お前さん名前なんて言うんだ!?」


ルドガーはおれの肩を掴み満面の笑顔で尋ねてくる。


「佐藤 (かける)だ」


それを聞いた数人はバタバタとギルドから出ていく。


先程まで受付していたネコミミの女性はなにかを書いているようだ。


「おおー!カケルか!お前さんの名前覚えたぜ!おれはBランクのルドガーだよろしくな!」


肩を掴んでいた手を離し握手を求めてきたのでそれに応じた。


それを皮切りに周りから見ていた酒場にいた人たちが、次々と自己紹介と握手を求めてくる。




「わしは夜の翼のフーヌじゃ」


最後の一人で如何にも魔法使いといったローブを着た年寄りに握手した時、チクリとした痛みを感じた


「痛っ!」


「爺さんのささくれに賢者様もやられたみたいだぞ!」


それを見ていた冒険者の一人がそんなことを言う。


すぐに手を見ると彼の手はたしかに荒れており、自身の手から少しだけ血が滲んでいた。


「おお、すまんのう。ヒール」


そう言うとフーヌの手から出た青白い光で怪我を癒した。


「しかし、フーヌの魔法は何度見ても気味が悪いよな。なんで白じゃなくて青白いんだよ」


「お主にはもう掛けないでおこうかのう」


冗談だってー、と冒険者は嘆き周りは笑いに包まれた。

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