04
朝食を済ませラーレライを出ると、昨日通った大通りは昨日のような活気のある声に、美味しそうな匂いが漂っている。
昨晩食べた焼き鳥を思い出した。
美味しかったし食べようかと思い、腰にぶら下げている袋の中を見ると、手持ちがほんの少ししかないことに気づいた。
たしか一泊銀貨一枚だったから……とりあえず冒険者ギルドみたいな、働ける場所が無いか探してからでも、能力を使って戦うのは遅くないはずだ。
しかし、何処にあるのか分からないため、もう一度ラーレライの受付で所在地を聞いてくるのであった。
「ここから街の中に入って、噴水の近くにギルドがあるみたいだし行ってみるか」
善は急げと言わんばかりに、人の波に分け入ってギルドを目指した。
その道中に、昨日の焼き鳥を売っていたおっちゃんが今日も売っていたが、視界の外に追い出し先に進んで行った。
数十分程だろうか歩き続けると、建物が途端に無くなり大きな広場に出た。
中央に大きな噴水があり鯨の潮吹きのように大量の水を周りに撒き散らしている。
そのおかげか、噴水を囲むように虹が円を作っているようで、とても幻想的な光景を描いている。
「……すげぇ、めっちゃ綺麗__ベチャッ!!
…………は?
現世では見ることの出来ない光景に目を奪われ、心まで奪われそうになっていた時噴水の中から、ナニかが勢いよく足元に落ちてきた。
視線を落とすとコケのような綺麗な緑とカビの綺麗な黒が、見事に組み合わさったようなもので、見ているだけで悪寒が走り鳥肌が止まらない。
まさに、布団の上で黒光りするアイツと目が合ったような感覚である。
さらに生ゴミのような匂いも漂い始めており、先程までの感動が台無しだ。
呆気に取られソレを見ていると、もぞもぞと蠢き出し、飛び出してきた時に飛び散った一部が集まりだして、一つの球体になろうとしている。
その様子を見ていると鳥肌が身体中を駆け巡り、全力で目的地であるギルドへと向かった。
一刻も早く先程の光景を忘れるために__
しかし、目的地は噴水から近かったようで、すぐに着いてしまった。
先程のおぞましい光景を忘れることは出来なかった。