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こんばんは。
18:00に投稿する予定でしたが、大幅に遅れてしまい大変申し訳ありませんでした。
噴水の周りにはナニかが常に蠢き、飛び出しているところだった。
いくつか人骨のようなものもあり、その殆どは欠片なので何人分かは定かではない。
「酷すぎるだろ……」
「ここにいるのだけでも何とかできたらこの街に住めなくもない。一番強力な魔法を使ってみて」
いま知ってるのはファイアとフレイル、それとフォルテにやられたエクリプス·クリムゾン·ファイアだけ。
しかもエクリプス·クリムゾン·ファイアはフォルテが詠唱していた気もするが、内容が分からん。
どうしようか、取り敢えずエクリプス·クリムゾン·ファイアと唱えてみて不発だったらファイアを使うか。
「……分かった。やってみる」
噴水が蒸発することを強く念じる。
「エクリプス·クリムゾン·ファイア」
唱えた途端に噴水の周りを囲むように勢いよく火柱が立ち、音を立てながら徐々に蒸発していく。
数分後、火柱は消えると、そこには水がなくなり、石でできた底が見える。
所々に黒い影が見えたので、まだナニかがいるのかと思い注意深く見ると、小石だったり、ガラクタだった。
ひとまず上手くいったことに安堵のため息をついた。
「君の魔法は何度見てもすごい。あんなに魔力を消費する魔法を使って顔色一つ変えないなんて……」
あおは何度も自身の魔法を間近で見ていたにも関わらず、関心していた。
「まだ魔力に余裕があるなら次はギルドを中心にやる」
エクリプス·クリムゾン·ファイアもファイアと同じように発動できることがわかった今、魔法の強弱や範囲も自在に変えられると確信した。
「いや、次は街全体に向けてやる」
あおは一時驚いたが、少しの間何かを思案すると、一人納得した。
「……分かった。早く街の外に移動する」
街の外には、先程の青年たちのように自身に向けて刃を向けてくる可能性も捨てきれなかったので、心の内ではかなりビクビクしながらも、ポーカーフェイスを保ってあおの後について行った。
「……街全体を見渡せそうな所はないか?」
街から出ると、テントや屋台がかなりの数立っていた。
まるで、街に帰れると思っているかのように考えていることが、表情から伺える。
昼間から酒盛りをしているものがいれば、ナンパしているもの、賭け事に興じているものと様々だ。
「……そんな場所はない。ここら辺は原っぱが広がってるだけ……いつもレイス退治に行ってるんだから知ってるはず」
「まあ、そうなんだけどさ。んー、街全体を視界に収める方法って何かない?」
「……私が君を打ちあげれば視界に収めることが出来ると思う」
あおは言いにくそうにしながらも答えてくれる。
たしかに青鬼だなんて呼ばれるぐらいなのだから、種族的に力が強いことは想像に難くない。
また、打ち上げてもらうとなれば確実に逆バンジーよりも怖いだろう。
なにせ命綱がないのだから。
そこまでの恐怖を感じてまで、街を焼くことは果たして正しい選択なのだろうかと熟考した。