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戦い始めてから何時間経っただろうか。
倒しても次から次へと湧き出てくる。
今も倒しているレイスには大きく二種類存在しているのを実感した。
あおのように剣をフレイルで薄く纏わせて戦うことも出来るが、時折出てくる大きめのレイスには二回振らなければならず、常に気を張り詰めながら戦わなくてはならない。
初めはそれでも良かったが、ここに来る前に疲れていたこと、常にリュックサックを背負っていることを考えると、いつやられてもおかしくないことに気づいた。
それから広範囲に広がる火を想像しながらファイアを唱えたりしていたが、今では刀身に火を纏わせてその長さを自由に伸長させられるようになった。
また、剣を振ると火の粉を飛ばすことも出来るようにもなった。
あおのように華麗に倒すことは出来ないが、最初の時に比べてかなり安全に倒すことが出来るようになった。
「……そんなに魔力使って大丈夫なの?魔力切れになっても助けられない」
「ああ、大丈夫だ。そっちこそ大丈夫なのか?」
「……あおの心配するのは十年早い」
会話をしているうちに次の標的がやってくる。
今夜はまだまだ続きそうだ。
ひたすら倒し続け、気力も体力も尽きかけてきた頃、空が白んできた。
それと同時にレイスたちは地面に吸い込まれるように戻っていこうとする。
それを逃さず、ラストスパートだと言わんばかりに残っているレイスを消し飛ばす。
視界に映る範囲のレイスを全て霧散させると、地面が陽の光を浴びてキラキラ光っているのが見える。
手に取ると、透明でありながら、手触りは布っぽく、しっかりとしている。
「……おつかれ。正直あんなに魔法を使い続けて耐えきれるとは思わなかった。その手に持ってるのが依頼証明の物品だから」
そういうと自身とは真逆の方向へ行き布を集めに行った。
たしかに依頼証明の品が透明なら明るくならないと見つからないわけだ。
踏みつけてしまったのか、穴が空いていたり、切り込みが入っているものもあったが、とりあえず全て集めることにした。
選別は街に帰ってからでもできるからな。
「だいたい光で照らされたのは集めきったけどそっちはどうだ?」
「こっちももう少しで終わる。出発まで何か食べてて」
「……申し訳ないんだが今回食料を持ってきていなくて、悪いんだが譲ってくれないか?」
「……はあ、仕方ない。これ貸してあげる。譲るんじゃなくて貸しだから」
アイテムボックスから出した干し肉を一枚くれた。
「ああ、わかった。街に着いたら奢らせてもらうよ」
初めての街の外での夜はこうして終わった。