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「……そんなこと言われたの初めてで、つい嬉しくて……こんな時に、すみません」


目だけじゃなく顔全体を真っ赤にしている。それは宛らりんごのようだ。


「気にしなくていいよ、それよりリザードマン退治の依頼、どうなるんだ?」


「アルフォンのアイテムボックスに入っているのでもう少ししたら出てくると思います。ミリーの分も回収したら火葬するので近くに連れてきますね」


「おれがやるからいいよ。ミリーの方は損壊具合がひどいからあまり見ない方がいいと思うから待ってて」


「短い間だったけど苦楽ともにした仲間だから最後まで見届けます」


キュレルと共に二人の遺品を回収し火葬した。その間ずっとキュレルは涙が枯れるかと思うほど泣き続けていた。


泣き止むまでの間、アルフォンが使っていた鋸刃の鎌を使って倒したばかりのリザードマンと少し前に倒したリザードマンの尻尾を切り取った。__悪戦苦闘しながらも切り取ったそれらは断面がガタガタで見栄えが悪いが、どちらも尻尾だし問題ないだろう。


キュレルに尻尾を渡そうとした時に自前のアイテムボックスに入れていいと言われたが使ったことがないと伝えると驚かれたが、簡単だからと使い方を教わった。


しかし、小一時間程練習したが一度も上手くいかず、異世界の代名詞とも言えるアイテムボックスの取得を断念した。


「賢者様でも出来ないことってあるんですね」


キュレルはクスクスと笑っている。さっきまで散々泣いていたが、少しでも元気になってもらえたのならアイテムボックス使えなくてもいいか__とは思わなかった。


アイテムボックスはこの世界では万国共通で自我を確立した子供から誰でもできるというのである。


それを自身ができないという異世界の壁を感じ大いに嘆く。「なんで出来ないんだよ。火の魔法なら賢者クラスなんだぞ」__この悲しみは海よりも深い。




日が沈む前までに帰らなければならないので、滞在していられるギリギリまで粘ったが結局できなかった。キュレルに遺品と尻尾を全て持ってもらいラームの街へ帰った。その道中でこの世界の魔法の常識について聞くと、悲しみを忘れるためだろう、キュレルがマシンガントークをしてきたので相槌を打ち続けた。

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