プロローグ2
「それでどんなチートをくれるんだ!?」
ついさっきまでの混乱はどこかに行ってしまい、興奮した様子で姿の見えない何者かに聞く。
「まず異世界でも苦労しないように読み書きの能力を、多少ではありますが身体能力の高く細菌などで病気にならない健康でいられる能力を差し上げます」
たしかに読み書きができなければ生活する上で困難になるだろうし、異世界の食事事情なんて見当もつかないから食中毒にならないのは必要だろう。
「……なにやら不満そうですね。他に欲しい能力でもあるのですか?追加で二つまで特別に付与してあげますよ」
「ほんとか!?」
その言葉を聞いてすぐに最近読んだ小説や漫画、アニメから使いたい能力を思い出す。
「決まりましたら声をかけてくださいね。それまで用事を済ませてますので」
まるで時間が掛かる事を知っているような様子であったが気にもならない。
口に出すとチート能力を貰えなくなるかもしれない。
それに何かの小説で口にした言葉通りの能力にするという、鬼畜の所業をした作品があったのを思い出したので、頭の中で手に入れるスキルを吟味することにした。
やはり異世界といえば剣と魔法だろう。
しかも過酷な世界と言っていたから魔物がいるのだろうか。
しかし、違う可能性もあるが過酷な世界と言っていたし凡そは間違っていないはずだ。
となると王道の剣と魔法か。
魔法は闇系統が最強なのはお約束だから決まりだろうか……
しかし小説や漫画通りの主人公になりたいわけじゃないから……
あぁ!メモを取って整理したい!
考え始めて三十分程経った頃、うまく整理することが出来ず段々とイライラしてきたので考えるのをやめた。
とりあえず異世界の宗教とかの関係で闇魔法が嫌われるというのもあるし、ゲームで愛用する火魔法にしよう。
そう結論を出して彼を呼んだ。
「能力は剣と火魔法で頼む。」
「随分早いですね。今後変更することは出来ませんがそれでいいですか?」
「大丈夫だ。問題ない」
「わかりました。ではそのようにしますね。あとは歳は十六で人族として転生させていただきますね」
その言葉を聞き終わるや否や再び身体を圧迫感が支配し意識が暗転した。