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昨日から予定通り投稿できず大変申し訳ありません。
私用が終わる目処が立つまで2回/日投稿していくことに致しました。投稿する時間帯は朝と夕方です。
ご理解の程よろしくお願い致します。
湖の周りには人一人隠れられる太さの木が点々と立っており木陰はかなりひんやりとしていている。
「__こっちに3匹向かってきてるよ」
「わかった、じゃあみんな作戦通りよろしく」
メリーは索敵ができるようで、それから間もなくリザードマンが現れた。
話に聞いていたような風貌でギョロ目、真っ黒な身体と不快感を覚える。
こんなやつらと異世界ものの小説は仲良くしていたのかと思うと尊敬してくるレベルだ。
「来るぞ!」
グルルル、とひと鳴きするとリザードマンたちはこちらに走り寄る。
手には何も持っていないが手を広げて持ち前の鋭い爪がギラギラと光って見える。
アルフォンとメリーは剣を抜き、キュレルは杖を持っていたようでリザードマンの一匹に向けている。
自身は言うまでもなく何も持っていないので、視線でキュレルが狙っている反対側のリザードマンの一匹を追い、頭部が炭になるといいなぁと思いながら、ファイアと唱えた。
轟!と狙っていたリザードマンの頭部から火が上がる。
その勢いは凄まじく肩まで火が飲み込んでいる。
数秒後、酸素を失ったように火が消え、頭部から肩にかけて真っ黒な炭となったリザードマンがドサッと前のめりに倒れた。
その不可思議な現象を戦闘中であったにも関わらず全員の目を奪っていた。
数瞬後、リザードマンたちは仲間が急に焼かれたのを認識すると、脱兎のごとく逃げ出した。
しかし、キュレルがファイアを唱え、杖の先から火の玉が射出され、一匹の背中に命中する。
もう一匹はメリーが鱗の隙間に短剣を突きつけ、背後から押し倒し少なくない血を出させて絶命させた。
こうして異世界初の戦闘は呆気なく終わった。
どこから出したのかアルフォンが鋸刃の鎌で、リザードマンたちの尻尾をゴリゴリと音を立てながら切り取っている。
「賢者様お見事です。まさか魔法を飛ばすのではなく発生させるだなんて」
キュレルはアイドルに会ったファンのように目をキラキラと輝かせている。
そして昼食時が終わってから移動している間に、アルフォンからお叱りを受けていたようで、静かに興奮している。
「私を弟子にしてください。魔法の極地を見させてください、お願いします」
キュレルは深々と頭を下げてくる。
いま弟子を取って育成するつもりは全くない。
だが、この世界の常識に疎いのでその方面を考えると、一緒に行動する人が欲しいのは確かだ。
「私にできることがあれば何でもしますから、どうか」
「……とりあえずこの依頼が終わってからでいいかな?」
この熱意からの何でもするって魔法の言葉だと思った。