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普通の魔法使いとはどのような存在なのか。
彼らは呪文を唱え、それに見合う分の魔力を強制的に消費させられて発動している。
つまり応用が一切効かないのだ。
それに対し、ごく一部の魔法使いは生まれつき特殊な能力を持っていることや、精霊と契約することで、魔法に強弱を付けることができるようになる。
これができるのは歴史上でも10人もいない。
これだけで自身の能力が圧倒的に優れていることが分かるというものだ。
これをアルフォンたちが狩ってきたうさぎを昼飯として食べている間、延々とキュレルに説かれた。
「カケルさんはほんとに賢者様だったんですね。これまで戦ったことがないなんて言ってましたけど頼りにさせてもらいますね」
「戦いのいろはも知らないひよっこに過度な期待はしないでくれよ」
アルフォンがにこやかな笑顔を浮かべているのに対し、キュレルは尊敬の念の篭もった眼差しでこちらを見ている。
とりあえずいちいち構っていたらキリがないので触れずに無視を決め込んだ。
昼食を摂り終わり少し歩くと、そろそろ目的地の湖に着くということで緊張してきた。
風景もこれまでは草原しか見えなかったがちらほらと背の高い木が視界に収まるようになってきた。
生態系も多少変わってきたようで、これまで鳥を見かけることがなかったが、群れで飛んでいる姿を度々目に入るようになってきた。
「今回のリザードマン退治はぼくとミリーが前衛で注意を引きつけるので、キュレルとカケルさんはどんどん魔法を浴びせてください。最低でも10匹倒せばいいので、それぐらいを目処に頑張りましょう。あと、討伐部位は尻尾なので極力傷つけないように気をつけてください」
では、気を引き締めて頑張りましょう! とアルフォンが活を入れる。
そこから湖に向かう前の最終確認が始まる。
各々が使う武器や道具類に不備がないかや、どの位置に何があるのか、装備品は大丈夫かを慣れた手つきでテキパキと確認している。
自身には武器はないし道具も金貨と銅貨しか持っていないので確認したところで意味が無いと感じ、周りをキョロキョロして戦うのを今か今かと待っていた。
この世界の魔物の強さはどれぐらいかな?