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08

「あの、これがカケルさんの冒険者証となります」


ネコミミの女性が免許証のようなカードをへりくだった様子で差し出してきた。


それを受け取ると左上に「サトウカケル」と表記され、その下には「赤」の一文字しか書かれていない。


右側にはSABCDと並びDの所に丸がされているが、その下は空白でかなり見た目が悪い。


「この空白には何を書くのですか?」


「そこにはこれまでの実績が表記されます。カケルさんはまだ何も依頼を達成されていないのでそのような形になってます」


「いまから依頼を受けたいのですが討伐系で何かありますか?」


この場にいたらいつまで経っても稼ぐことが出来ず、路頭に迷いそうなので当初の目的である戦闘ができる依頼を聞いてみた。


「そうですね、日帰りだと厳しいですが、ここから西へ行ったところにある村周辺のゴブリン退治か、東へ行ったところにある湖周辺のリザードマン退治ですかね。討伐系以外でしたら落し物やペットを探すもの、仕事のお手伝いがありますね。カケルさんは火の魔法が使えるので鍛冶工房のお仕事もありますよ」



おそらく討伐系の依頼は外泊することになるのだろうが、その装備を買う金は足りないだろうし……明日早く起きて行くことにしよう。



「じゃあ鍛冶工房の仕事でお願いします」


「わかりました。これがここから工房までの地図です。頑張ってくださいね」


かなり見やすいメモを渡される。


ここからそう遠くはないようなのですぐ着くだろう。


「ありがとう、頑張ってくるよ」


周りから注目を浴びながらギルドから出た。


そこには噴水が正面にあった。


ここに来るまでに起きたおぞましい光景が鮮明に思い出され、肌が粟立つ。


今度こそ完全に忘れるために、全力で工房まで走った。




人通りが多くなって来たのでスピードを落とす。


ついでにメモに目を通すとかなり近くまで来たようだ。



「火力が足りん!!」



大きな怒声が一つの家から響き渡りビクッと背筋を伸ばした。


周りの人達はいつもの事と言わんばかりに気にした様子が微塵もない。


メモでは先程の声が聞こえた場所が目的地のようで「ドゥームの工房」と看板が掲げられている。


意を決して憂鬱な気持ちも入り交じった緊張した面持ちでドアを開き中へと入っていった。

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