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偏差値70は最強じゃない!  作者: 鮫の歯
第一章 華炎の国
49/56

偏差値37 ペラグラ 1

ーーーーーーーふう。



ハアクに襲撃されて数時間。

俺達は触手の粘液による神経毒から回復し、出発することにした。


ラ「主は軽い運動ができるほどかいふくしたのでございますね?」


マ「そうね。腰の痛みは治ったのかしら?」


うっ……気づいてやがる。


クレーネは知らん顔して外の景色を見ている。事後はクレーネが水で洗って証拠を隠滅したが。気づかれるよな。


ラ「我たちはクレーネに助けてもらったわけですし、別に構いませんが、ねぇ?」


マ「ええ。私たちのことを忘れられるとちょっと、ねぇ?」


うぅ、返す言葉がない。ラコンが怒るのは当たり前だがマインが怒っているのは俺を、というよりこのケイの体に対して、だ。

俺とケイは体を共有していて、マインはケイを。ラコンとクレーネは俺を好きなのだが、体は同じなので…………ややこしくなる。



ケ(ほんとなんでパンドラ様はこんなややこしくしたのですかねぇ?もうちょっと考えてほしかったです)


ソ(そうだねぇ…そもそもケイと俺が体を共有しなくちゃいけなくなったから……)


ま、いくら愚痴を言ったってしょうがない。なってしまったものはなるようにしかならないのだから。




ラ・マ「…………………………」


ラコンとマインは俺の膝の上に座って満足そうにしているクレーネをにらんでいる。

クレーネはクレーネで勝ち誇ったようにマインとラコンを見下している。


なんでラコンに浮気だと怒られないか、それはこの国、いや、宗教に一夫多妻が認められているからだ。


その宗教の名前はラプシール教。

仏教ならぬ神教とでも訳されるのか。


キリスト教のように一神教ではなく、多神教。

驚くことに出てくる神はほとんどが現代に伝わる神話の神々なのだ。

北欧、ケルト、ギリシャ、ローマ、エジプト、メソポタミア、日本、中国、インド、メキシコ、等々どこかで聞いたことのある神々ばかりなのだ。


それに、ラプシール教の聖書、バイブルもそれぞれの神話がミックスしたものだ。ある程度筋道は通っている。


その中でも特に北欧やギリシャ辺りは拝めている人々が多く、パンドラ様やプロメテウス様はそれに含まれる。


パンドラは雷神ゼウスによって作られた最初の人間の女性、と現代ではこうなっているが

こっちの世界ではゼウスによって産み出された女神で人類を見守る優しい神

となっている。本当か?


右手にはあらゆるものをしまうことができる穴が空いており、人々を困らせる災害をしまいこみ、良い者には幸福を、悪者には災害を与える、とある。


これが俺の「パンドラボックス」と同じだとしてセルト村に受け入れられたきっかけになった。


話を戻そう。


一夫多妻制とは、お気づきの通りゼウスのせい(おかげ)なのである。

神話で最高神であるゼウスは浮気者で正妻ヘラがいるのにもかかわらず多くの女神や女性と交わった。


うらやま…けしからん神だがこっちだと大いなる愛を多くの女性に与え、人類を発展させた神として認識されている。ヘラの存在はごまかされ、ゼウスにならって一夫多妻は認められているのである。


といっても普通そんなモテないので一夫一妻だが。


不倫や浮気で騒ぐことが少ないのはいいことなのかもしれない。


よく言われる、一夫多妻のせいで(背景に)女性蔑視があるかと言うと、そうでもない。


理由は、女性が強いからだ。


男性のほうが力が強いし、商人や村長などでは男性が多いのは事実だ。

しかし、魔術師、錬金術師など魔力関係は女性の比率がかなり高い。

なぜなら、女性の方が魔力を操るのが上手な傾向があるからだ。


魔力の質も、魔法の質も、女性の方が男性より上なのである。


ケイのように、魔力量が少なく、魔法が使えないという男性も少なくない。


逆にマインのように簡単に魔法が使える女性も多い。

まぁ、マインはスキルが魔法より物理向けなので補助にしか使わないが。


なので、ケンカになると魔法を連発する女性が勝つことも多い。

よってかかあ天下の家が多いようで。

俺も実質男一人対女二人だからなぁ。今は三人か。俺も尻にしかれるのかなぁ………


女性差別が少ないことを示すいい例がこの指輪だ。


今俺がはめているのはタルタロスの黒い指輪。そのうちクレーネ、マイン、ラコンが指輪を渡してくるだろう。


結婚のプロポーズは女性からが圧倒的に多い。男からするのは不粋、というイメージがある。あるらしい。

ムリヤリ嫁にした!という感じがあるのだそう。女性からでも同じなような……


女性が指輪をわたし、男性が受け取ったら告白成功!ということだ。

俺は何も知らずタルタロスから受け取ってしまったが。


だから一夫多妻も男がモテない限りムリなわけで。大抵お金持ちか、すごいイケメンか、俺のように強い魔法使い、だそう。



さて、と。

召喚士ハアクに襲われてそのしびれをとるため、かなり時間を使ってしまった。予定よりそこまで遅れていないが、竜馬がビックリして調子が出ず、目的の町よりひとつ前、山の中の村に到着した。

道中マインとラコン、クレーネの喧嘩を落ち着かせるのは苦労した。撫でてあげたり、くっついてみたり、誉めてあげたり、ケイと相談しながら一生懸命機嫌をとった。

喧嘩といってもただにらみあうだけなのだが、いくらご褒美とはいえクレーネと俺が……したのが気にくわないらしい。

後日クレーネ抜きで、とは言えない。なんとか仲直りさせたが、今後は気を付けないと。





その村は、山の麓にあり、クルト村と言う。

「~ルト」は「山のふもと」を表し、セルト村も山の麓にあるからだ。


小さな村で50人ほどしかいなかった。セルト村の半分弱だ。

その中で馬舎が空いている家に泊まらせてもらった。お礼にラコンの手首にある鱗と竜馬の鱗を渡したらとても喜んでくれた。魔除けになるからだ。


宿屋ではない普通の家だが部屋が余っているのでそこにとまらせてもらう。

家の人達は優しく、疲れている俺たちをもてなしてくれた。


ひととおり支度をして食事になった。

なかなか泊まる旅人がいないようで、(ただの農村だから)喜んで料理を振る舞ってくれた。


シチューと野菜とコーンの炒めたもの、コーンの粉でつくったパン、チーズとコーンの粉をビールで練り、カリッカリに焼いたおかず。どれも美味しすぎる。


なんか……乳製品ととうもろこしが多いな。小麦は?


「小麦がないのを不思議に思われてますね?そう思われるのも当然でしょう」


この家の息子さん、シャルさんが教えてくれた。

シャ「この村は名前の通り山の麓にあるのですが、この山を越えるとクシナ村、畜産が有名な村があります。村といっても家はポツリポツリとしかないのですがね。その家畜の餌としてコーンを作っておるのです」

ほう。


シャ「最初は小麦を作っていたのですがコーン、こちらの方が肉の甘味がでて肉も柔らかくなる、と。今は小麦はほとんどつくっておりません」


ケイはコーンたっぷりのシチューを食べながら言った。

ケ「こんなに甘くおいしいコーンなら、さぞいい肉ができるのでしょうね。皆さんも普段コーンを?」


シャ「ええ。この土地はなぜか小麦が育ちにくく、たぶん寒いからなのでしょうが。食べ物が少なく、貧しかったのです。ですが、コーンに変えると途端によく育ちまして。おかげで小さいですが豊かな村になりました」


ふーん。

小麦よりコーンのほうか単純な栄養価は高い。保存もきく。マインの家でも牛や馬に仕事をさせるときはコーンを食べさせていた。

そういやメンデルさんがコーンの品種改良をしていたっけ。


だが。………………。

ケ(ソウタ?)

ソ(…………。いや、何でもない)




夕食を食べ終わったあと、マインたちには水浴びにいってもらい、俺はシャルさんに尋ねた。


ソ「突然で失礼ですが、何か、お悩みがあるのではないでしょうか?」


シャ「…!!?」



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