偏差値2 転生(後半)
ザァーーーーーーーーーーーー。カッ ピッシャーン! ビュオォォォ!
鈍い黄色の雷が轟き、上下左右全方向から打ち付ける雨、どこに飛ばそうとしているのかわからない風が吹く。
嵐だ。 ガチの嵐だ。パンドラと世界の狭間を抜けたらしいが、嵐の中に出てしまったようだ。魂の状態なので見えるだけで感じない。時々雷光で周囲の状況がわかるだけだ。
パ「いやー、たまたま嵐の中に出てしまったみたいだね。」
軽い……
ソ「神様ならもっと普通の天気の時に出られないんですか? 」
管理神と名乗っていたのだ。できないはずはない。
するとパンドラは俺を抱き抱えた状態(ちょっと嬉しい)で苦笑いすると、
パ「できる神もいるけど、私は管轄外なんだよ。私は今2世界の管理をしているんだから。管理しているだけで全部把握しているわけじゃないんだ」
ソ「はぁ、で、転生ってどうやってするんですか?漫画みたいに光に包まれていつの間にか生まれ変わるんですか? 」
パ「そんな便利な感じじゃないよ!私の場合はねぇ、魂をつかんで、投げて、女の人のお腹に当てる!赤ちゃんになる!終了! 」
え
ソ「雑っ!!!てか手作業?!なんか、魔法陣的なものが出て転生! みたいな感じじゃないんですか!」
パ「だーかーらぁ!私は転生の神とかじゃなくて管理神なんだから!神様だったら誰だって転生させることぐらいはできるんだよ! でもやり方はそれぞれの方法でするの! 」
ソ「へぇー、神様にも得意不得意があるってことですか」
パ「そうだよ!じゃあ転生先の女の人を探すよ!」
ソ「え、決めてなかったんですか? 」
パ「いやー、アハハ。あなたの場合別に転生先の女性は誰でもいいんだよ♪体力よりも魔力重視だから肉体はどんなのでもいいんだよ!だから適当でも大丈夫! 」
いいの!?
ソ「そ、そうですか・・・」
そして空からパンドラと俺は女の人を探したが、なんせ嵐なので出歩いている人はいない。日本でいうと超大型台風直撃レベルだからな。早く見つけて転生して魔法で大活躍してみたいなー。
誰かいな・・・
パ「あ!いた! 」
パンドラが指さした先に嵐の中、なぜか剣の素振りしている少年。
とそれを止めに来たのであろう母親らしき人がいた。夜で見えないだろうに、今にも消えそうな松明を手にして少年に近づこうとしている。
パ「じゃああのひとにするね~ いってらっしゃ~い♪ っえいっ! 」
えっ!心の準備があぁぁぁぁぁ!!
ソ「って結構荒っぽい!うおぉぉぉぉ! 」
ふりかぶって野球の玉のように投げられた。
魂なので嵐の影響は受けない。まっすぐ俺の体は飛んでいく。
パンドラに投げられて、まさに母親らしき人に当たる瞬間。
俺とその人をつなぐ直線上、手前にいた、少年と俺に雷が落ちた。
ドン、という重い衝撃と共に目の前がパッと光る。
ソ(あ、死んだ?あ、もう死んでたわ、俺。)
目の前が真っ白になった。
その様子を見ていた管理神パンドラ。
パ「あーあ、まさか転生する前に雷に当たるなんて。あれじゃー衝撃で魂が吹っ飛んじゃったかな?
……ん?あの男の子の体に転生したのか。ふんふん。まあいいか。
ソウタくん転生成功だね! じゃあ目覚めたらまたお話しようかな♪ これから面白くなるな~♫・・・見てろよゼウス達ぃ~!!」
満足そうにケラケラと笑ったあと、パンドラは光に包まれて消えた。
続く。
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