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偏差値70は最強じゃない!  作者: 鮫の歯
序章 始まりの村
19/56

偏差値17 岩山で2  竜人ラコン

5200文字あります。ご注意ください。

 「・・・の!・・・殿!ソウタ殿!」

・・・ん?

「・・・うわっ!」

「気づかれましたか!ソウタ殿!」

「えっ誰?」

「嫌だなあ。ソウタ殿。ゲルドでございますよ。竜の。」


え。・・・ゲルドに膝枕してもらっていたのか。恥ずかしい。

(そうですよ!意識を失ってたのはソウタだけだったのにゲルドさんが膝枕したいって聞かなくて。めっちゃ恥ずかしかったです!マインは超笑ってたし。)

(ホントだ。あっち向いて笑いをこらえてる・・・ごめんな。)


「ああ。変身したんだっけ?」

女性(メスだったんだ・・・

「そうでございます!でも魔力が足りなくて倒れていたのをソウタ殿の魔力を使わせていただいて復活いたしました!」

え!?

「魔力を使った?どういうことだ?」

「変身したあと、我の体には魔力が殆どありませんでした。それで動けなくなってしまいましたので、ソウタ殿から魔力を分けてもらったのでございます!」


「え?どゆこと?わからないんだけど。」

「つまり、ソウタくん。変身後のゲルドに触ることで君の魔力の三分の一がゲルドに移った。魔力量が減ったんだ。魔力量を減らすことには成功したんだけど、大量の魔力を奪われたから気絶したんだね。」

あ、カグツチさんだけだ。他の人達は戻ったんだな。

「それで気絶してたんですね。ゲルドに触ったら力が抜けて、意識がなくなったんだ。」


「すみません。ソウタ殿。我にも予想外でございまして、まさか人間になるのがこんなに大変だとは。しかも少し失敗しまして、『竜人』になってしまったのでございます。」

「竜人?」

「竜の性質を持った人間、『亜人』の一種だ。人間と竜の両方の良さを持つ希少な亜人だよ。」


「え?別にいいんじゃないの?人間より強いんじゃないの?」

「いいとこと悪いとこがあってね。ソウタくん。・・・なぜ人間がこのモンスターがたくさんいる世界で繁栄していられるかわかるかい?」


「? わからないです。」


「モンスターは魔力を回復するのには魔力を持つものを食べて回復するんだ。他のモンスターや植物とかな。だが人間だけは時間経過で魔力を回復するんだ。自分で魔力を作り出せるってわけだ。それに一体あたりの魔力量もそこら辺のモンスターよりある。」

「へえ!」


「だが「亜人」の場合、純粋な人間に比べたら回復速度が落ちるんだ。だから『人間』のほうが強いとされているんだ。」

そんな仕組みが。確かに竜であるゲルドはめっちゃ強かったから普通に考えれば人間なんて滅ぼされるな。



「そうでございます。『人間』になりたかったのに、『竜人』なんて。竜の力は散々使ってきたので『人間』を楽しみたかったでございますう~!」

「え?でも魔力関係以外だったら強いんだろ?」

「はい。単純な力や運動能力、寿命は人間よりいいんですが、半分モンスターな感じなので、嫌でございますね。」


「・・・・・・言うの遅くなったけど、口調全然ちがくね?」

「あ、こっちが素でございます。竜の時は威厳というか尊厳というかございましたのであのような話し方をしておりました。普段はこっちですよ?」


「そ、そうなんだ・・・いやに丁寧な話し方だなあって。」

「そうでございますか?昔から我はこう話しておりますのでそう思いませんが。 あ、ソウタ殿。」

「何?」


「我はソウタ殿に付き従いたいと思うのですが、ソウタ殿を「主」とお呼びしてもよろしいでしょうか?」

付き従いたいなんて・・・そんなに気に入ってくれたのか。


「主?・・・他にない?」

「嫌でございますか?・・・・・・『ご主人様』?」

(プッ。ご主人様、ですか?)

(笑うなケイ)


「いや、いいよ。『主』で。」

「では主と呼ばせていただきます。それと、名前が欲しいんですが。」

「名前?あるだろ。ゲルドって。」


「もう我は竜ではございません、竜人でございます! それに人間を襲った竜と同じ名前だと今後支障があると思うのですが。」

確かに。


「なるほど。・・・え?俺が決めるの?」

「主に決めてほしいです。」

「う~ん。急に決めてと言われてもな。・・・・・・元竜で、・・・・・・ラコンとかどう?」


「ラコン、ですか?」

「ああ、俺が転生する前の世界で竜は別名「ドラゴン」って言ってな、語源がギリシャ語の「ドラコン」なんだ。そこからラコン。」


「主の世界にも竜はいるのでございますか?」

「いないよ。想像上の動物として知られている。」


「語源ってなんでございますか?」

「ん~その言葉の元の言葉かな。大元ってことだ。」

「竜の大元ってことでございますか?」


「そういうことだ。」

「いい名前でございますね!我の名は「ラコン」!決めました!」

「気に入ってくれて嬉しいよ。」

「大元ってのは間違っていませんけどね・・・」

「どういうこ・・・」



俺が聞き返した瞬間。



「危ない!」

俺に飛んできた二本のナイフをラコンが腕で弾いた。

「大丈夫かい!」

「な、何だ?」

「主にナイフが飛んできました。誰かいるようでございますね。おい!出てこい!」

ラコンがナイフが飛んできた方向に叫ぶと、


「ちっ」

岩陰から二人の男が出てきた。大柄な男と小柄な男だ。

「・・・まさか防がれるとはな。何者だ?どうして素手でナイフを弾けた?」

小柄な方が言う。

「我は竜人のラコンだ。我の腕にはこのとおり竜の鱗がある。ナイフごとき訳はない。」

本当だ。硬そうな鱗が両手首についている。


「チッ亜人かよ。厄介だな。」

小柄なほうは痰を地面に吐きつけた。


「何で我らにナイフを投げた?何が目的だ?」

「簡単に言うとな、そこにいられると邪魔なんだよ。俺達はそこに用がある。だがお前らなかなかどかねえからな。ちょっとイライラしてついナイフを投げちまった。」


「ほう、あのままナイフがあたったら主は死んでいたぞ。イライラで済むか!」

いやいやいや、あんた昔イライラして国滅ぼしたんでしょう?あんたのほうが悪い事してるよ。

(同感です。)


「うっせーな。殺す気で投げたに決まってんだろ?ナイフを投げたことは謝るからさ。な? どいてくんない?用があんだよ。」


「何の用だ?」

「言うわけねえだろ?どかねえってんなら全員殺るまでだ。」

「マイン、私の後ろに隠れなさい。危険だ。」

カグツチさんはマインが狙われないようそっとマインを避難させた。


「ユヤ兄貴。人数が多いよ。俺達二人で勝てるかな?ここは逃げようよ。」

「おいポンズ。弱気なこと言ってんじゃねーよ。俺達は顔を見られちまってんだ。殺るしかねーだろ。」

おいおい。名前言っちゃってるよ。顔見られるの嫌なら顔を隠しておけよ。名前も言うなよ。馬鹿なのか?


「ユヤ・・・もしかして『風のユヤ』かい?」

カグツチさんが口を開いた。

「カグツチさん?」

「な、なんで俺のあだ名を。」

違うって言っとけよ。隠したいんだろ?


「私は王都に住んでたことがあってね。聞いたことがある。盗賊の『風のユヤ』だろう?ナイフと風魔法で荒稼ぎしてるって聞いたよ。ポンズくんの方は知らないけどね。」

「うう。ひどいよ。」

ひどくはない。


「おっさん、ものしりだな。知られていた・・・仕方ねえ、バレちまってんなら殺るぞ、ポンズ!」

「わかったよ 兄貴。岩魔法『ランダムロック』!」


「うおう!」

地面から学校にある椅子ぐらいの大きさの岩がたくさん出てきた。これじゃ動きづらいな。

「こっちも『ファイ・・・」

「主、ここは我にお任せください。主人を守るのは従者の役目でございます。」

フッ決まった。とでも言うようにドヤ顔で言ってくる。お前竜だろ?さてはこんなの憧れてたな。・・・乗らんぞ。


「え・・・任せちゃっていいの?カグツチさん?」

「ん~。いいんじゃない?ラコンの力を見てみよう。」


「お前一人で俺達の相手をするのか? いけ!ポンズ!」

「うおおおお!」

短剣を持って岩の上を走って一直線に突っ込んできた。 こっちは岩があって動きづらい。

「甘い!」

ラコンは腕で短剣をガードした。


「言っただろう。我には竜のうろこがあると。そのような剣では貫けぬ!」

そのままポンズの腕を掴んで5メートルほど投げ飛ばした。力が強いって言ってたけど本当だな。その後飛んできたユヤのナイフも叩き落とした。


「うう!」

「大丈夫か!ポンズ!やはり亜人相手に一筋縄ではいかないか。これならどうだ!風魔法『ブロウ』!」

「岩魔法『ロックサンド』!」

二人が同時に魔法を唱える。


ユヤの近くにあった岩が砂になって風に乗って来た。目くらましか。

「これでナイフは防げないだろう!」

やること言っちゃったよ。黙ってやりなよ。


「ふう。面倒くさいでございますなあ! 竜魔法『赤色吐息』『ファイヤーブレス』!」

え?竜魔法?なにそれ!


ラコンは口を開け、口のところに火の玉が出て、ラコンが息を吐くと、大きな火のブレスが出た。

砂は逆にユヤたちの方に行った。

「うわあ!何だ今の炎は!」


「ブレスを吐いただけだが?」

「ブレスって?」

「竜が吐く息だよ。知らんのか?」

「知っている! だがお前は竜じゃないだろ!」

「我は竜人だ。ブレスくらい吐ける。」

ラコンはさも当然と言う。

「竜人でも吐けないって聞いてたぞ!くそっこうなったらやけくそだ!突っ込むぞ!ポンズ!」


二人で岩の上を走って突っ込んできた。単純だな。

「手伝おうか?」

「心配ご無用でございます。我にお任せください!主は我が守ります!」

ノリノリじゃないか。乗らんぞ。


「近くで二人同時なら魔法は当てられないだろ!」

確かに魔法は近くに来られると当てづらい。中距離くらいがちょうどいいんだ。


「単純でございますなあ!竜魔法『赤色吐息』『フレイムブレス』!」

さっきと違うのか。



「ぐわあ! あちち!」

さっきよりも勢いのある大きな炎のブレスだ。

「あちちち!火が!熱い!」

ユヤが投げたナイフがブレスに吹き飛ばされた!二人のほうを見ると、ユヤとポンズが燃えている!


「きゃあ!」

「ちょっと!ラコン!火が燃え移ってるよ!『ウォータ・・・」

「良いのです。こいつらは主を殺そうとしたのでございますよ?死んで当然でございます。燃えて主に対する罪を償うがいい。」

まるで虫ケラを見るような目をしている。


こ、こええー!忠誠心怖え!

「いいよそこまでしなくても!! 早く火を消そう!」

「甘いです主。主を殺そうとしたのでこいつらを生かしておく必要はございません。」


「それにソウタくん。こいつらは盗賊だ。殺したからって罪には問われないよ?」

ひいい~!神を焼き殺した神様の意見怖すぎ!殺すって事もっと大事に考えて!

人が燃えてるんだよ?そりゃ殺されかけたんだからそれなりに仕返しはしたいけどなにも殺さなくても!


俺があたふたしていると、


「水魔法『ウォーターフォール』」

水が降ってきてユヤとポンズの火がジューと音を立てて消えた。

「主?まさか消しました?」

「俺じゃないよ?誰だ?」


「世話がやける。一般人(ザコ)相手に何てこずってんだ!」

急に岩陰から覆面の男が出てきてポンズとユヤを持ち上げた。

「すまないね。うちの輩が迷惑を掛けたようだ。」


「誰だ!」

「秘密だよ。俺はコイツラと違って馬鹿じゃないんでね。迷惑料にこいつらが持ってきたそこの袋の中身をあげるよ。このことは黙っといてね?さらばだ!」

男は少し焼けて気を失っているユヤとポンズを連れて逃げた。

「おい!待て!」


「いいよ、ラコン。追いかけたって無駄だ。」

「しかし主・・・」

「もう仕返しは済んだだろう?もういいんだよ。」

「主がそう言うなら・・・」

いかにも不満げにラコンは従った。




「袋の中身ってなんだろうね?」

「カグツチさん・・・。迷惑料って言ってましたね。何でしょうか・・・あ、ありました。」

岩の陰にサンタクロースが担ぐような大きな袋があった。・・・重いな。

「開けてみようか・・・・・・おお。」

中には大量の金貨、金の腕輪、指輪やネックレスなどがあった。


「これは・・・あの盗賊たちが盗んだものですかね。」

「そうみたいだね・・・!こんな量を見たのは久しぶりだよ。」

さすがのカグツチさんも息を飲む。

「ふおおおぉぉぉ!主!これ全部金ですか!我!金好きでございます!我らがもらってもいいのでしょうか!」

「わあ!お金!一気に大金持ちになれるわよ!」

皆色めき立ってるけど・・・


「盗品だしなあ。持ち主に返したほうが・・・」

「ソウタくん。この量の金貨を見せられたら誰だって欲しがるよ。嘘を吐かれるかもしれない。おそらく王都で盗んだものだろう。返すのは大変だし、もらっときな。」


「いいんですか?ネコババになりません?」

「いいんだよ。パンドラボックスに入れときな。」

いいのかな・・・


「ネコババってなんですか主?」

「落ちてるものとかをそのまま自分のものにしちゃうことだよ。いけないことだけどね。」

「いいじゃないですか!主!さっきの男が上げるって言ったんですから!」

「うーん。じゃあもらっとくか。」



「あの~。主。我その中で一つだけ欲しいものがあるのでございますが。」

「何?いいよ。取りなよ。」

「ありがとうございます!主!太っ腹でございますね!」

太っ腹? 意味あってんのかな?


マインがすすすーっと近づいてきた。

「あのーソウタ?私もほしいのがあるんだけど・・・」

「いいよいいよ。あげるよ。ほら。 ・・・カグツチさんはいいの?」


「私はいらないよ。サーカスでかなり稼いだからね。お金には不自由してないよ。」

「じゃあ教えてもらってる給料分・・・金貨何枚分かわからないけど・・・とりあえずこんだけもらってください。」

「多いよソウタくん!取っときなよ!」

「いや、五人で教えてもらってますし、もらってください。」

「五人分としても多いんだけど・・・じゃぁもらっとくよ。」


「あっ!」

「どうしたんだラコン。」

「思い出しました主!」


「何を?」


続く。

友人に指摘されたのでいいますがラコンは女です。自然界ではオスよりメスのほうが強いからです(謎理論)

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