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Re:dead  作者: 加持一樹
4/4

覚醒の序章

4話目です

ゴトゴトとなり、汽車が走っている。

人はわかってはいたが、誰も居ず空席だらけだ。


俺は、今隣街を目指して、汽車に乗っている。


ときにポッポーとかいう音が鳴るが、悪くはない。

むしろ心地いいと感じているのかもしれない。


景色はあまり変わらず、ずっとレンガ造りの家ばっかである。

それにしてはやけに静かであるため、さっきの出来事を振り返ってしまう。

人の死体をあそこまで見るとは…

思い出しただけでも吐き気がする。


「はぁ、俺は一体なんなんだ……」


死体のことを考えないようにとしたら、すぐに自分について考えようと

してしまった。


俺はなぜあんなところにいたのか?


なぜ記憶がないのか?


俺はもう1度ため息をつく。

たった数時間の出来事なのに、もっと時間がたっているような感覚がする。

俺はトランクケースをぎゅっと持った……




「もうすぐ、トラファイロ駅でーす!お降りの際はお荷物を忘れぬ用」


何故か駅員がやってきた。この汽車は車掌がいないのだろう。

それにしても、この駅員、とても若く整った顔立ちで、見るからに好青年である。


「あ、切符を拝見させてもらっていいですか?」


「あ、はい。」


一応、これが目覚めて初めての会話だ。

自分の声はおかしくないか、服装は平気かとついつい気にしてしまう。

馬鹿らしくはあるかもしれないが、体が勝手に動くのだ。

そうしろ、と言ってくるのだ。


俺はかなり几帳面なのかな、と思いつつ駅員に切符を渡す。


駅員は笑顔でそれを受け取り、判子を押してくれた。


「はい、ありがとうございます。」


見ていてわかったが、かなりやりこんでいる手つきであった。

もしかしたら、俺が思っているより、年が上なのではと思う。


俺はトランクケースを持ち、汽車をでようとした。

そう、でようとしたんだ。


「うわぁぁぁっ!」


いきなり出口から、さっきの駅員がやってきたのだ。

いきなりすぎて、びっくりした。


「駅員さん、驚かさないで下さいよ。」


俺はそういい、苦笑いする。


「嘘じゃ、ありません。あなたを殺しに来ました。」


そう言って、駅員は笑い始める。


「何を言ってるんだい?」


ほんとに謎だ。

暑さでやられたのか?


「そうだぞ、お客様になんちゅうことを言ってる!」


汽車の運転をしていた人もそう言って、俺の前に出てきた。

そして、俺に頭を下げ、


「すいません、暑さで気が狂ったようで……」


まぁ、それしか思いつかないよな…


「いえ、別に気にしていませんから、」


ぶっちゃけかなり気にしているが、俺はすぐに次の街に行きたかったのだ。


「ほら、お前もあやま……」


後ろの駅員さんに話している途中だった。


目の前にいた運転手の首がねじ切れ、そして、俺の足元にポトンと落ちた。


「…………うわぁぁぁっ!」


一瞬、理解が追いつかなかった。

多分、理解したくなかった。


「邪魔」


そう聞こえた。

なんだよ……俺に何があるって言うんだ!

もう巻き込まれたくない。


俺は駅員にトランクケースを投げつけた。

油断していたのか、体が倒れる。

俺はその隙に出口を出た。


出口を出ると、狭い路地がいくつかあり、どこを行けばいいのか?と迷ってしまった。

それがいけなかった…

駅員は立ち上がり、体をふらつかせながら、追って来たのだ。


とにかく逃げるしかないと判断した俺は、自分の前の路地に駆け込んだ。










後ろから足音が聞こえる。

俺はひたすら走っていた。恐怖が体中を渦巻いているが逆にそれが力となって、限界以上の力を

発揮している。

だが、そろそろ疲れてきた。


なにせ、10分以上全力で走っているのだ。

疲れてきても不思議ではない。


「はぁはぁ」


徐々に息も上がってきている。



後ろにいる駅員からは足音しか聞こえない。

よほど鍛えているのだろう。

じゃなきゃ、一瞬で首をねじ切ったりすることはできないはずだ。


いや、普通に無理なはずだな…


では……


俺は頭をふった。

考えていると走るスピードが落ちる。

考えるのは、まず駅員を振り切ってからだ。


俺はここが勝負どころだと思い、俺はスピードをあげる。


「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」














「はぁはぁ」


なんとか振り切れたみたいだ。

足が悲鳴をあげ、体中も汗でびっしょりだけど…


それでも、命の危険性はなくなったのだ。

俺は安心で、体が脱力していくのを感じる。


俺は道路に寝転がった。


「俺は、なんで狙われたんだ?」


俺は一番気になっていた疑問を口にした。

確かに、駅員の力について知りたいのは確かだが、それ以上になぜ自分が狙われているかが気になる。

自分のことを気にするのは誰だって当然だろう。


そもそも俺は、今日覚醒したばかりなのだ。

恨まれるようなことはしていない。

ということは、俺の記憶のない部分でやったのだろう…


俺はどれほどのことをしたのだろうか?

決定付けるのはよくはないが、つい俺が何をしたのか気になってしまう。

まぁ、思い出すことはできないのだがな……


そんなことを考えていると、少しずつだが、回復してきた。

歩くくらいならできるだろう。


俺は感覚で、同じ道を通らず駅に戻る道をたどった。


かなり難しいが、やればできるものである。

数十分かかりはしたが、なんとか駅に戻ることができた。

俺が置いていったトランクケースも無事ある。


「ほっ」


駅員もいないし、トランクケースはあるし、安心感で体が包み込まれる。


その瞬間だった。


何かが飛び出してきたのだ、俺は反射神経でとっさに避けた。

頬に痛みがはしる。

完璧に避けることはできなかったようだ。


こんなことができるのは、俺の知っている限り一人しかいない…


「駅員さんか!」


「せいか〜い、いやぁよく避けたね」


そうにこやかに言う。


俺の頬から、血がたれてきた。それで、俺の何かが壊れた。


何が面白いんだ?


何を笑っているんだ?


ふざけるな!!


自分でもわからないどす黒い感情が体中をうずめく。

俺は目をつぶった。無意識にだ。










そこは暗い空間だった。

この空間にいるのは俺と……そいつだった。


そいつは俺に近ずいて囁いた。


「俺を使え、そうすれば一瞬だ……」


何を言いたいのか、どうすればいいのかは全くわからない

だが、なぜか…


「使うぞ!お前の力!」


俺はそう答えていたんだ。


そいつはにこっと俺の方に向かって微笑み、


「まぁ、頑張れや!」


そう言って消えた。

そして、視界が色を取り戻してきて……


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」



俺の体から、黒いオーラが出現した。

黒いオーラは俺の体を包み込んでいる。


「なんだ!それはバカバカしい! 死ね!」


駅員はそう言って俺に向かって突っ込んでくる。

さっきは目で捉えられなかったが、今は違う。

まるで、時が止まったかのように見える。


俺は、右に一歩跳び、駅員が俺がさっきまで居た場所にきた瞬間、

思いっきり、左足蹴りをくらわせた。


メキメキと骨が軋む音が聞こえた。


「ぐわっ!」


勢いよく、駅員は路地の壁に激突した。

口からは血がたれてきている。


俺は、ゆっくりと駅員に近ずいて行った。


ゆっくり、ゆっくりと……


「ああああああ、やめて、殺さないでくれぇぇぇ」


俺に向かって駅員はそう言う。俺との圧倒的実力差に気づいたのだろう。


俺は駅員の頭を掴んで、思いっきり力をいれた。

アイアンクローというものだ。


「あぁ、頭が割れるぅぅ」


「質問に答えたら、やめてあげるよ。」


「答える、答えるから、やめてくれぇ」


俺は、頭から手を離した。

駅員は頭を抑え、痛がっているがそれを無視し、質問する。


「お前は誰からの指示で、俺を殺そうとした…」


俺は、まず知りたかった。

首謀者を……

そいつに聞けば、俺の過去がわかるかもしれない、死者の蘇生もわかるかもしれない


すべてに繋がる可能性があった。

だが、駅員は…


「言えない、それだけは絶対に……」


「なぜだ?」


駅員は体を震わせ、恐怖していた。


「いえば、俺が死ぬからだ。」


「そうか、死ぬのか…じゃあ、もういいや。」


「うあああああ」


そう言って駅員は逃げた。

全速力で……


違うよ……

俺が言ったのはそういう意味じゃないんだよ。

再び、俺の黒いオーラが色濃く出現する。



「死ね」














「ふぅ、手間かけさせやがって!」


そう言って俺が手に持っているのは、駅員の首。

いまだに首から血が流れているが、気にしないようにしよう。


服には、返り血がついていて見ていて、綺麗ではなかった。


「着替えるか…」


俺は駅員の首をそこら辺に投げ、着替え始めた。


「ふぅ」


俺は、一息ついた。

命の危険から逃れた、安心感にしばし浸る。


「あれ、俺は人を殺したのか?」



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