二十六戒:新人祭り(3)
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ありがとうございます。今見ている皆様に感謝の言葉を。届けばと……。
僕は一人空を行く。魔物を飛び越え、魔物を足蹴にし、ゴールを目指す。
卑怯? 否、これは正しい方法なのだ。魔物を倒すことが本来の目的でなく、ビーチフラグが本来の目的であるが故、僕はその点では有利な位置にいる。そう、時を少しだけ操れるからである。
『おぉっと、全体を見渡しても1コースの少年が、突出している。っと、名前はラジェルタ。ラジェルタ選手が一位です』
魔方陣音声が僕の有利を告げる。
進むにつれて、陣は多くなり、敵も増える。自分の数メートル前に陣を敷き、魔物が出現した瞬間に発動、道を開けろと指示するが如く、僕は魔法を発動させる。
「おい兄ちゃん、見に来たぞ〜」
観客席におっさんの集団が、さきほど僕に食料をわけてくれた優しき人だとすぐに気づく。
僕は再開に感動し、立ち止まり手を振って対応するが、立ち止まるなんてバカ同然だった。
「バ〜カお前、来てっぞ! 」
後ろを見ると、僕を追い越していく長髪の男、目は死んだ魚のようなやる気の無い目をしている。
平行移動しながら相手を観察する。どうやら傭兵らしい、身のこなしが団体戦というよりかは、個人戦で大人数を相手にしている人間の身のこなしをしている。
僕は神の力を行使し、少しずつ間を空けていく。
『第2コースは少女が独走、第3コースは大男と青年が並走中、第1コースのラジェルタ君は、パフォーマンスの余裕を見せながらも一位、その後ろに男が迫るが、この五人は二回戦進出決定か? 』
放送の内容からして、スコーン仲間は順調に歩みを進めているらしく、安心しながらリズムよく、敵の頭を超えていく。
だが、このまま終わるわけが無い。最後の関門が待ち受けているのだ。
大きな陣が発光し、目が眩みそうになるが、光を腕で遮って全身を続ける。
出現したのは大きな魔物、身の丈人の三倍にして、役六メートル弱。
思考、判断。殺るっきゃない。
体にみなぎる魔力を感じ、まだ戦えると判断すると、魔物の腕が降ってきた。一度後退し、その腕から肩に昇り、頭から地面に落下、同時に陣を高速展開。
出来るだけ魔力を押さえ、この魔物を倒すには、全体的な衝撃による圧迫、広い背中全てを覆うような陣を展開、自分でも驚きながらも、魔力を放つ。
僕の後ろを着いてきた男は、僕から見て左の肩から飛んでやってきて、僕は追いつかれまいと走り出す。
「ギャーーー! 」
誰かが下敷きになったようだが気にしない。僕は一番でフラッグを奪取。
続いて長髪の男、疲れきっている目つきの悪い男と、1コースの三つの旗はこの三人に握られた。
『さてさて、続いて二回戦、二回戦は一回戦の敗者が誰か一人、コイツに負けたのは気に入らないやつを一人決定、つまり、準決勝に進めるのは六名だ。時間は一時間だ〜』
ん、どういうことだろう、僕たちは何をやれば良いのかわからない。
そうだ、少しだけ魔力を消費してしまったため、回復をしておこう。何もやらないよりかはましだ。
魔力は掛け算で、陣の二重展開により、魔力を回復することが可能なのだ。
かといって、一時間もかかるわけでもない、すぐ終わってしまいまた暇になる。
すると、この戦いの真意を知ったかのように、目つきの悪い男が僕に襲い掛かる。つまり、潰せばいいという単純な考えなのだろう。
が、僕は逆のこれを利用しようと思う。こちらからは攻撃をせずに、神の力を使い、単純に回避を続ける。
道化のような動きを踏まえ、観客を盛り上げることをしていると、笑いが起こる。男は余計に機嫌が悪くなる。
結果、僕と、何もしていない長髪の男が準決勝に進出。が、長髪の男は僕のペースにつられ、一回戦ではしゃぎすぎたと棄権していき、僕は更に暇になった。
『さてさて、いよいよ決勝戦です。1コースから、ラジェルタ・ハイデンツァ〜。2コースからブレッド・サーゼス』
スコーン仲間のブレッドさんだ。身長は小さめながらも、僕より一つ年上のようで、僕はさんをつけるようにしている。
『3コースから、ザムール・フォルトナー、この三人で決勝戦です! 』
衝撃だった。ラグロスさんが、倒された?
やってきたザムールと呼ばれた男は、今朝僕が倒す宣言をした南の国の男だ。
ラグロスさんは弱くなかったはずだ。三十手前だったけど、軍警察第四課、雑魚の入れないとかセムさんから聞いていたが、あいつはそんなにも強いのかと、少し恐怖を覚える。
が、何故だろう、今朝感じだ何かに近いものを、体の中に感じる。みなぎってくる何かが、僕は勝てるよ、って囁いているのだ。
「お手柔らかにお願いします」
「あ、こちらからもよろしくお願いしますブレッドさん」
ザムールは、一人不適に笑っている。
『さてさて、いよいよ、待ちに待った、決勝戦の始まりだ〜』