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14 やっぱり兄は妹に甘いようです。

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『行こう!』


 ユウの掛け声に、レイとミカは揃って頷く。


 馬車から降りたユウたちは、馬車の前方まで回り込む。

 そして、御者台から降りていたスレンダと合流した三人は状況確認を始めた。


『スレンダさん、モンスターはどの辺に?』


「前方、約二百メートル先からこちらに向かってきています」


 スレンダは冷静に、的確に情報を述べる。

 ユウは前方を確認するように顔を向けて、ある能力を発動させた。


 ユウが発動したのは《弱チート》の一つ、《視力恐化》だ。

 この能力は視力を超人的に強化できる。

 しかし、その代わりに強化中は目が恐ろしいことになる。


「ひぃっ!? め、めが……(バタリ)」


「スレンダさんっ!?」


 ユウの目を見てしまったスレンダは、あまりの恐ろしさに気絶してしまう。

 そんなスレンダをミカが受け止める。

 前にもこんなことがあったような気がしなくもない。


 というよりも、気絶するほど恐ろしい目とは……。


『見えた! あのモンスターは『オーク』だ』


 オークとは豚の顔をしていて、ゴブリンよりひと回り大きいモンスターである。

 強さで言えば、オーク一体に対して新米冒険者三人が相手をするのが基本だ。


『数は……三体! (まずい……僕が一回に相手をできるのは、せいぜい一体程度。どうする)』


 そんな事情を知らぬオークらは進行を緩めることなくユウたちへと近づく。

 最悪な状況は刻一刻と迫っている。


「お兄ちゃんっ! レイも一緒に戦う」


『それは許して上げられないよ、レイ。わざわざレイが危険を冒してまでも戦う必要はないんだ。まだ引き返せる』


 ユウは決して、レイの決意を無下にしたいわけではない。

 心配なのだ。

 大切な、大切な妹が傷つくことが何よりも恐ろしく、堪らないことなのだ。


 それはレイも分かっていた。

 しかし、その瞳は揺るぐことなくジッとユウの瞳の光を見つめている。


「お兄ちゃん。心配してくれてありがとう」


 心からの感謝。

 純粋な愛情を込めた一言。


「でもね、レイは逃げたくない。今逃げちゃったら、前のレイと同じだから」


『それでも……』


 お互いに兄の、妹の気持ちが分かってしまうからこそ、譲れない想いがそこにはあった。


『だからお兄ちゃん。レイを、お兄ちゃんがレイを守って!』


 それはわがまま。

 いつもと変わらぬ笑顔で、兄が大好きで堪らない妹として、ただただ甘える。


 小さい頃から何も変わらないこと。


 そしてユウもまた、変わっていない。

 妹にダダ甘な兄。


「お願い。おにいちゃん」


 うるうるなその瞳で言えば、例えユウ以外の男もレイの言うことを聞いてしまうだろう。

 なら、実の兄はどうなってしまうのか。


『お兄ちゃんに任せて! レイには指一本触れさせないから』


 ほら、この通り。

 そしてトドメに食らわすのは――


「おにいちゃんっ、だーいすき!」


 KO!!


 妹の“大好きアンド抱きつき”による一撃必殺が炸裂!

 妹属性により、三倍のダメージだ。


 まてまて、モンスターを倒す前に兄を倒してどうする!


「ねぇ、終わった? ねぇ、ねぇ、終わりました? もうこの際、何も言わないから早く終わらせて」


 ミカの目は違う意味で恐ろしかった。

 言葉にもどこか、何とも言えない棘が感じ取れる。


『はっ! オークは』


「だ、大丈夫です……まだ、来ていません。ゆ、ユウさん、あのめは、目は大丈夫ですか?」


『目ですか? 僕は大丈夫ですよ?』


「あれ? でも、確かさっき……ひぃっ、思い出しただけで……」


 先ほど目を覚ましたスレンダが視線を下に向けながら、ユウの問いに答える。


 ユウの目が気になっていたスレンダは勇気を振り絞ってユウの顔を見るが、先のことが嘘のようなユウのいつもの顔に対して、逆に驚いてしまう。


 しかし、再び思い出してしまったのか、スレンダは悪夢を見たような表情になってガタガタと震えだす。

 最早、トラウマものだと言える。


『スレンダさんは馬車の中で待っていてください。僕たちはオークを倒してきます!』


「わ、わかりました!」


 スレンダは頷くと震える足を進めて、御者台へと戻っていく。

 それを確認したユウたちは、目視ではっきり姿形が分かってしまう距離まで来ているオークたちの元へ駆けていく。


 ***


 オークはスピードよりもパワーに特化したモンスターだと言われている。

 事実、その速さはゴブリンより数段劣る。


 しかし、ゴブリン同様そこで油断してはいけない。

 オークのパワーは並の冒険者では敵わないほど強く、自分の力を過信していた新米冒険者の頭を一瞬にして吹っ飛ばしたという話もある。

 棍棒のようなものを使うのも、特徴の一つだ。


『二人には僕がオークと戦っているときに、残りのオークを引き付けていて欲しい』


「うん」


「わかったわ」


 ユウの提案に即答する二人。

 ユウを信頼しているからこそ不安など微塵も感じていない。


『でも、絶対に戦わないこと。石を投げつけたりして、逃げ回るだけでいい。オークは足が遅いからね。その間に僕はオークを迅速に倒していく』


「うん、任せてお兄ちゃん」


「それなら私にもできる。任せて」


『レイ、ミカ。ありがとう』


 ユウは二人に感謝してから覚悟を決める。

 モンスターに手加減する必要はない。

 ただ全力で、確実に倒すことこそが冒険者として重要なこと。


「「「グヒィ!」」」


 数は三体。

 ユウたちの戦いが始まる。

 2/5修正(誤字脱字)

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