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9 兄は彼女がほっとけないようです。

 アクセス、ブックマークして頂きありがとうございます!!

 烏滸がましいですが感想、ご指摘を頂けると嬉しいです!

 心よりお待ちしております。

 スレンダの父はユウたちがスタシオン村に着く、ひと月前に亡くなった。

 スレンダは一週間は悲しみから立ち直ることが出来ないでいた。


 しかし、スレンダにはまだまだ幼い弟と妹がいる。

 スレンダの母はご飯を食べさせるために、一生懸命に働いていた。

 だが、やはり父のような満足のいく稼ぎは得ることは出来ない。

 もし、母が馬車を走らせることが出来たなら問題にはならなかっただろう。


 それなら私が! スレンダはそう思うようになった。


 馬車の取り付け方、手綱の扱い方、御者としての心構え、それについては小さな頃からスレンダはたくさん聞いてきた。見てきた。

 父の相棒、ストロング。

 これからはスレンダのパートナーだ。


 スレンダはそのか細い手で手綱を取った。

 いざ。


 しかし、現実というものは優しくはなかった。

 ストロングはスレンダの言うことを聞かない。

 父のときはあれほど軽快に走っていたのに、スレンダが手綱を引いてもストロングはピクリとも反応を示さなかった。


 スレンダは諦めなかった。

 次の日も、そのまた次の日もストロングに走ってと指示をだす。

 それでもストロングは走らなかった。


「何でなの? ストロング。あなたはもう、走りたくないと言うの? それとも……やっぱり私ではダメなの?」


 泣き崩れるスレンダ。

 彼女の心は知らず知らずのうちに壁を、ストロングとの壁を作り始めていた。


 ある時だ、「おなかが空いたよ」「そんなこと言っちゃだめだよお兄ちゃん」という弟たちの会話を偶然にもスレンダは耳にしてしまう。

 あんなに小さい弟たちに、育ち盛りの弟たちに、我慢をさせている。

 そんな事実がスレンダの心をきつく締めつけた。


 スレンダはお客さんを乗せればストロングも走ってくれるはず、そんな淡い希望を抱きながら村の停留所に向かった。


 ***


「そう。そんなことが」


『話して頂いてありがとうございます』


「い、いえ! こちらこそ、こんな私の身の上話を聞いてもらってありがとうございます!」


 スレンダは大きく頭を下げる。

 それから再び申し訳なさそうに喋り出す。


「私の勝手な都合で貴重なお時間を取ってしまい、本当にごめんなさい。お詫びと言ったら何ですが、生前父の知り合いだった御者の人をせめて紹介させてください」


「それはありがたい話だけど……」


『ちょっと待って下さい』


「え? な、何か私、失礼なことをしてしまいましたか?」


 ユウの待ったの声に、スレンダはビクッとしてから恐る恐る何故なのか尋ねる。


『スレンダさんのお気持ちは嬉しいです。ですが……身勝手で、余計なお世話かもしれません。それでも、僕はあなたの力になりたい! 僕に、スレンダさんが馬車を走らせられるようになる為のお手伝いさせて下さい』


「ユウさん……」


 スレンダは先ほどまで見せていた不安顔はどこにいったのか、まるで初めて恋をした女の子のような純粋な照れ顔を見せる。

 ユウがスレンダを見つめる。

 スレンダがユウを見つめる。


 そして……


「「ストォオオオップ!!」」


 危険な雰囲気を察知したミカ。

 長話に飽き飽きしていたレイもお兄ちゃんに這い寄る女の影を瞬時に捉え、ミカに加勢。

 今だけは共同戦線を結んだ二人。

 村中に木霊す二人の叫び声は一瞬の静寂を生んだ。


「『……』」


 スレンダとユウはただ固まるしかなかった。

 ミカとレイは無言でハイタッチを交わす。

 今までになく二人が息の合った瞬間だった。


「それで、具体的にはどうするの? ユウ」


 何事もなかったのようにミカはユウに喋りかける。

 ユウは少し対応が遅れるも、しっかりと答える。


『僕が考えたのは二つ。一つ目はストロングに問題があるということ』


「確かに、何かありそうね」


『そして二つ目は、スレンダさん自身に問題があるということ』


「私に……やっぱりそうなんですね」


 スレンダはユウの言葉を聞き、落ち込んでしまう。

 そんなスレンダにフォローを入れたのはまさかのレイだ。


「まだ、お兄ちゃんの話、終わってない」


 ユウは「ありがとう」とレイに軽く微笑んでから、再び喋り始める。


『僕が昔読んだ本によれば、馬は臆病な生き物と書かれていた。しかし、それは普通の馬ならの話だ。僕が思うに、ストロングは特別な馬なんじゃないかな?』


「特別な馬……」


 スレンダはユウの話を聞き、少し考え始める。

 そしてあることを思い出す。


半魔馬サラブレッド


『そう、半魔馬サラブレッド。半魔馬は『モンスター』と『馬』の混合種だと言われている。どうやって誕生したのかは解明されていないけど、分類的にはモンスターではないらしい』


「でも、どうしてそんなことが分かったんですか?」


『それはストロングの朱い眼だ。人の心を読むことの出来る眼。それはモンスターの血を引く半魔馬だからこそ許された能力。それにより、半魔馬は自身に乗る者を見定める習性をもっていると言われているんだ』


「あの強さうな馬にそんな能力があったのね」


「半魔馬……良い。欲しい」


 ユウの話を聞いてどこか納得のいったような表情を見せるスレンダ。

 ミカは少し驚いたような反応を見せる。

 レイはというと、完全にストロングを狙っている目をしている。ダメだぞ、レイ。


『そしてこのことは、スレンダさん。あなた自身の話にも繋がってきます』

 来週辺りから毎日投稿が厳しくなりそうです。

 ご理解いただけると幸いです。

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