表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/17

プロローグ 燃える村。兄の死。そして、妹は詠う。

 新作です!

 無知なりに、3人称を意識して書いてみました!


 稚拙な文ではございますが、最後まで読んで頂けると嬉しいです!


 感想、ご指摘お待ちしております。





 燃え盛る炎が家屋を焼き尽くす。赤い、紅い、朱い、炎に意思などない。だからこそ、無慈悲に何もかも焼き尽くす。


 少年――いや、それよりも幼い男の子が赤子を抱えて、燃える村を背に歩き始める。この子供の様子は実におかしい。

 その年齢としでこれだけの惨劇を受け止めることが出来るのか? いや、無理だろう。まず助からない。

 なら如何して生きているのか、ここまで冷静な様子でいられるのか。


 答えは子供であって、子供ではないから。肉体が子供でも、魂が子供ではないから。もっと正確に言えば、転生者としての記憶を思い出したから。


「お母さん、お父さん……さようなら。レイは僕が絶対に守るから……」


 子供から大粒の涙がこぼれ落ちる。その涙は抱きかかえている赤子――レイと呼ばれていた子に音を立てて落ちた気がした。

 悲しみ、憎しみ、不安、恐怖、あらゆる負の気持ちが溢れ出るように、涙に変わる。

 子供の顔はクシャクシャに、子供らしかぬ顔に崩れていた。


 きっと踏み出す足が重いのだろう。村から進んだ距離は酷く短い。皮肉にも村の炎が暗い道を照らしている。

 しかし、子供は一度たりとも止まらない。振り向きもしない。それは割り切ったとか、そんな簡単なことではないことが子供の瞳から感じ取れる。


 子供は決意したのだ。絶対に生き残ると、何があっても抱きかかえている赤子を守ると。

 少なくとも、その気持ちだけは誰でも見て取れる程に子供の瞳は力強かった。


 ***


「わぁあああん、おにぃいいいちゃぁあああん!!!! じなないでぇえええ!!!!!!」


 デスペルタル村の外れにある、この小さな家の一室で一人の少女の泣き叫ぶ声が響く。

 少女が縋りつくベッドでは青年が横たわっていた。

 とっくに少女の声は潰れているはずなのに、その泣き叫ぶ声が止むことはない。


「レイちゃんっ! もう止めて! ユウはもう……もう、死んでしまったのよ……うっ、う……」


 泣き叫ぶ少女――レイを止めようと女性が駆け寄るも、彼女自身もまた彼のことを想い泣いてしまう。

 この場に笑顔はない。あるのは悲しみだけ。

 誰が悪いわけでもないからこそ、ぶつけることの出来ない想いは涙に変えるしか他ならない。


 死んでしまった青年の名はユウ=ハーデス。その妹の名をレイ=ハーデスという。

 名前なんて、今更聞いたところでどうにもできない。確かにそうだろう。

 だが、この二人の名前は覚えていて欲しい。せめて、この二人だけは……。


「なんでよ! なんでおいていくのよ……ユウぅ……」


 彼女は兄妹とは違う、家族になる……いや、正確には妻となるはずだったユウの大切な人の一人だ。

 名はミカ=エールという。

 彼女もまた、ユウを大切に想っていた。


 レイは急に立ち上がり、壁に立て掛けてあった杖を手に取る。

 その長さはレイの身長と同等。ちなみに、レイの身長は140センチ程度なのでやはり長いと言えるだろう。

 その表情は先ほどまで泣いていたとは思えないくらいに、鬼気迫る顔をしていた。


 突然だがここで一つ、この世界の有名な人物を一人紹介させてもらおうと思う。


 『最恐の死霊使いアブソリュート・ゼロ


 齢15歳にして世界に君臨した少女。


 彼女が纏う空気はあらゆるものを凍てつかせてしまいそうな程に冷たい。

 千万無量の死者の魂を操り従えるその力に、敗北の二文字はないとさえ思わせる強さをもつ。

 世界最強の【死霊使いネクロマンサー】。


 しかし、皆は彼女を恐れない。

 『最恐』は敬意を込めて皆がそう呼ぶだけ。本来の姿は弱きものを救う英雄だ。

 死者の声を届け、国の脅威を退き、悪しき者を絶つ。


 そんな存在に少女たちは憧れた。


 もちろんレイもその一人だった。

 彼女の物語を読んでは真似をし、読んでは真似をする。それを永遠と繰り返すのだから、当然と言ったら当然だろう。


 背丈に合わない杖を掲げ、レイは詠唱を始める。その姿はどこか物語で語られる、あの最強の【死霊使いネクロマンサー】を思わせるような気がした。

 それもそのはずだ。レイがしようとしていることを考えれば自然と行き着くであろう結論。

 レイは何度も繰り返し真似してきた。今ではうたうようにうたえる。


『冥界に眠りし魂へ願う。我、縛られし(チカラ)を解き放つ者なり。冥界の門は開かれる。その(チカラ)、今こそ我の下に集いて、示し給え!』


 レイの纏う空気が変わる。

 張り詰めた緊張感と畏怖してしまいそうな冷気がこの場を支配する。

 刹那の静寂。


 そしてレイは自身の想いを込めて言い放つ。


「レイのところに来て――お兄ちゃんっ!」

 誠に勝手ながらではございますが、しばらくの間はこちらの作品をメインに執筆していきたいと思います。


 『魔法陣を描いたら転生~龍の森出身の規格外魔術師~』の更新もしていきます!

 お付き合い頂けたら幸いです。


 1/7修正(誤字脱字)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ