06.緑と暑さと
《 動き始めるのか....”彼奴”の成り代りよ...... 》
「あ、あちぃ....」
突然だが、俺は今砂漠の熱帯地みたいな場所を一人歩いている。
そうだな。かれこれもう、2時間弱は歩いているな。制服の中は汗でびしょびしょだよ。
「今の日本の気温、考えようぜ....」
まだ冬だよ!!
なんてハァハァ言いながら、先は全く見えてこない。
何故今砂漠?それはー
ー振り返る事3時間前。
「魁斗」
ケンは立ち止まって俺の名前を呼んだ。
林の中を俺とケンはただひたすら歩いていた。
「ん?」
ケンは俺の友達。
同じクラスで気の合う友達の一人なんだけど、実は変な魔法使い?だった。
こいつに貰った指輪は姿が消えたり、気配がなくなったりする魔法の指輪らしい。
話を戻すとそのケンは今無言で、俺は考え事をしながら林の中を歩いていたんだ。
「....頑張れよ」
ケンは俺に背中を向けたまま、小さく呟いた。その言葉が何を意味しているのかは分からない。
「? どういうー」
トンッ
瞬間、ケンが俺の背中を押した。一瞬にして背後に周りこまれた。
下は崖ー⁈
俺はケンに突き落とされたらしい。
「うわぁぁぁぁ!」
大声を上げながら落ちていく。
凄い勢いで落ちている。意識が飛びそうだ。
おいケン!死ぬって!
もう声も出なかった。
下も林のようだが、けっこう高さがある。本当に死ぬと思った。意識が朦朧となる中、ケンの顔はよく見えなかった。
ただ落下している俺をケンは無言で見ていただけ。
くそケン、次あったらぶっとばすー
そんなこんなで今に至る。