03.夢の中で
《さあ急ぎましょうー》
いつもと違うケンが俺の目の前にいる。
「....ケ「話は後です!早くこちらへ」
近くから大きな爆音が聞こえた。
ケンが走り出し、俺も跡をつけていくしかなかった。
『....うわぁーん』
....何だ?
男の子達が何かを....人を蹴っているのか?
丸まった男の子の背中を間髪いれず蹴り続けている。
『ぎゃはははコイツめー』
あれは....何なんだ....? あっ助けに....
『やめろよお前ら。卑怯な奴らだな』
....!!
木の物陰から男の子が出て来た。少年は男の子の近くへ駆け寄って行く。
『な、何だよ!行こうぜっ』
そいつらは去って言った。
『大丈夫か?』
手を差し伸べられ、男の子は泣きながらその手を取った。
『ぐすぐす....』
あれはー
ー..と
「魁斗!」
目を開けるとベッドの上にいた。
「ケン?」
いつも知ってるはずのケンの姿がそこにはある。
今までのは夢、だったのか?
何だ....よかった。
「気付いてよかった。走っている途中でお前がいきなり倒れたから、背負ってここまで来たんだ。大変だったんだぞ?」
ケンは溜息を吐いた。ケンの話してるすぐ横で、茶色の古汚い鞄が目に入った。
夢じゃないみたいですね。
「こ、ここは?....」
ゆっくり起き上がって周りを見渡した。
真っ白なベッドとは対照的な、木製の天井に木製の床、個室ぐらいの狭さの部屋。
部屋の中にタンスも入らないくらい狭い。
「一番安い部屋を借りたんだ」
ここはどこって聞いたんだけど質問の答えになってねー....
俺が失笑していると、ケンは立ち上がって俺に何かを手渡した。
「何だこれ?」
「”鏡指輪”だ、指につけろ。一定時間”相手”に見えなくなる。これでお前を運んで来た」
「??」
「相手に見つかったらやばいんだ。絶対つけておけよ」
ケンはそう言うと、そこで飲み物でも買ってくると部屋を出て行った。