01.俺は平凡な中学生
「ふぁ〜あ....」
今日はいつにも増して天気がよかった。冬の寒さというものを吹き飛ばしてくれそうだった。
俺、戸塚魁斗中学1年生。朝から自転車漕いでます。
「魁斗君はよー!」
後ろから自転車が、凄い勢いで俺の横を通った。追風が来てすっげぇ寒い。
「はよ」
同じクラスの佐田美保だ。
「アハハッ、朝から元気ないなぁ。じゃね!」
爽やかに一言放って去っていく。
佐田は部活の朝練があって朝は早いらしい。
「おう」と返事を返したけれど、佐田の姿はもう見えない。
体育の授業はバスケットの試合だった。
「なぁケンちゃん、どう思う?」
体育館の隅で俺たちは試合の順番待ちをしていた。
「何が?」
ケンは男子の試合を見ている。
「あそこにいるさぁ、佐田美保って可愛いなぁ〜って思わない⁈」
渉はケンの横で顔を赤らめにやにやしている。変態か。
「んー....胸がデカイな」
佐田美保を見て、真顔でケンは答えた。ケンも変態なんだな。顔が怖いよ。
「えっそこ⁈顔は⁈」
渉はこけて眼鏡をずらした。
「可愛いと言えば可愛いよな」
俺も恐る恐る話に入った。渉の顔がこっちを向く。
「かっ、魁斗君まさか....狙ってる⁈」
「黙れ眼鏡」
佐田美保はバスケット部に所属している。時期バスケット部のエース候補と、同じクラスの女子達は噂している。
身長が高くすらっとしていて顔も整っていて綺麗だ。性格も明るく、女子にも男子にも平等に人気がある。
ピーッ
試合終了のホイッスルが鳴った。俺たちの順番が回ってきた。
「あっ今日帰りミ○ド行かない?」
眼鏡ことアホ渉は中指で眼鏡を上げた。
「俺パス。今日ちょっと用事あるんだ」とケン。
「ケンいないなら俺もパース」
渉はちぇっと呟いた。
「じゃあ新発売のドーナツ1人で食べるよ」
学校が終わって家に帰った。
玄関を開けると何だか空気が重々しい。何だ....?
居間へ行くと、親がテレビもつけずただ無言で座っていた。
不自然に思いながらも中へ入った。
「どしたの?父さん、母さん」
.......................
沈黙の中、父さんが重たく口を開いた。
「魁斗。今までずっと隠していた事があるんだ」
「?」
「本当はまだお前に話すのは早いと思ったんだが、そんな事も言っていられない事態になってしまってな」
「え?」
「お前は....いや、俺たち家族には、”王族の血”が流れているんだ」
ーは?....