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白い森の使者  作者: ゆきおんな
第三章
32/36

北の端の花屋

 ぞろぞろとアロンの街は北の端にやってきましたグルメな御一行。

 その通りにはこじんまりとしたお洒落な店が立ち並んでいる。



 「へえ、お洒落な通りだね。知らなかったな、こんなところ」


 「そうでしょそうでしょ。あの店なんか、ほら、可愛いよねえ」


 お洒落な通りに感心するエルにフランデルが嬉しそうに、得意げに、胸を張る。

 そして、


 「なによ、フラン。ここは俺の庭だ、みたいな顔しちゃって。あなた関係ないじゃない」


 「そういやさっき最近全然来てないって言ってたな」


 「おいおいフラン…」


 「わあああ!」


 袋叩きにあった。








 「まあ、それはどうでもいいから花屋だね」


 「エルぅ……」


 一連の流れをエルに軽く流され、一同は花屋を探し歩き始めた。涙目のフランデルの足元にミントが擦り寄る。


 「ニイ」


 「ミント…愛してる!」





 「フランー何やってんだー。置いてくぞー」


 「待って、待ってー!」


 


 








* * *



 そうして一行がたどり着いたのは、一軒のこじんまりとした花屋。小さな鉢植えがたくさん飾られている。


 「フラワー・ベル……ここか」


 「…………」


 「可愛い店ね……ってエル、どうしたの?」


 「いや…、なんでもない」


 「そう?ならさっさと入りましょう」


 マリアの言葉に急かされ、リックが店の扉をゆっくり開けた。





 「いらっしゃいませー」


 「どうも…」


 出迎えたのはストロベリーブロンドの美人さん。ぞろぞろと入ってくる一行を見ると少し驚いた顔をしつつもにこやかに対応する。


 「団体さんですか?どうぞどうぞ、見ていってくださいな」



 


 「わあ、すごいね。お花だらけだあ」


 「そりゃ花屋だから花だらけに決まってるだろう」


 「…むう」


 「見て見て、この花わたしにぴったりだと思わない?ほら!」


 「こっちのほうがいいんじゃない?」


 「それもいいわね」


 滅多に花屋に来る機会のない一行は物珍しさやらなんやらでわいわい盛り上がる。






 「この花なんかもおすすめですよ……ん?」


 バージルに白い花を勧めていたストロベリーブロンドの店員の足元にミントが寄っていく。靴を前足でつついた。


 「ニイニイ!」


 「!ニコちゃん!」




 「ニコちゃん?」


 店員の言葉にエルたちが振り返る。目線の先にはミントを抱き上げてじゃれ合う店員がいた。



 「もしかして、このニコちゃん皆さんの…?」


 「うんそうだよ!僕たちの仲間。ミントっていうんだ」


 店員の言葉にフランデルがにっこりと答える。


 「ミント…ぴったりな名前ですね」


 「そうでしょ?」


 「美味しそうね…」


 うっとりとミントを見つめる店員にフランデルが慌てる。


 「ちょ、ちょっと食べちゃダメだからね!ダメだよ!」


 「やだ、食べるわけないじゃないですかあ」


 






 「……二人で盛り上がってるところ悪いんだけど」


 リックの言葉にフランデルと店員が同時に振り向いた。



 「ミントに花輪作ってくれたのってあなたですか?」


 首をかしげたエルに店員が頷いた。


 「はい、私です。あんまりにも可愛いからつい。…ご迷惑でしたか?」


 「いやいや、ミントも喜んでるし、可愛いし、むしろありがとうです」


 「ほんと?よかった。似合っていたでしょう?花冠とか私の力作です」


 「ニイ!」


 「可愛いー!」


 店員は悶えながらミントに頬ずりする。








 しばらくミントと戯れていた店員だったが、ふと思い出したように一同に目を向けた。


 「あ、ごめんなさい。ミントちゃんが可愛くてつい夢中に…。私、ここの店主のヴェロニカ・ベルといいます。よかったらお茶でもいかがですか?」


 





 ミントに花輪を作っていたのは店主のヴェロニカだったと判明。

 一行は簡単に自己紹介を済ませ、フラワー・ベルでお茶をご馳走になることになったのであった。

 






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