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Xpoint-クロス・ポイント-  作者: 織間リオ
第二章【蘇る正義】
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7、対なる翼、煌めかせ

 ジャスティスは、腰に装備した剣を抜き放った。鞘に収められていた剣の刃は、そこいらにある剛鉄ではない。光り輝いているのだ。

 ジャスティスたちがこの五ヶ月の間に新たに開発、追加した武装の一つ、ビームソードパーツである。光の剣は、潤から振り下ろされた剣とつばぜり合いになる。激しいスパークを制したのは、ジャスティスの方であった。潤の剣を振り払うと、脚部に装備したレッグビームを発射する。潤がぎりぎりでシールドを掲げ、そのビームを受け止めるが、反動で大きく後退する。ジャスティスは、翼に取り付けられた銀色のウイングウエポンパーツに取り付けられている八つの刃を分離し、それを自らの周囲に待機させる。体の各部に取り付けられたレーザー兵器が、充填を開始する。

 その間にも、潤は体勢を立て直す。剣を両手で持ち、頭上まで振り上げ、それを胸の前まで一気に振り降ろす。それと呼応するように、紅い翼からは、光が溢れ、瞬く間に光の翼を展開する。剣を構え、こちらに急速接近してくる。

 ジャスティスは、充填の完了した兵器の砲口を全て潤へと向ける。だが、殺しはしない。敵であっても、守られる命であるからだ。

「もうこれ以上!!」

かくして、ジャスティスの砲火は放たれた。


 三人の青年達の出現により、戦場は混乱を極めていた。しかも、クリエイター側の主力たる潤が、突如現れた蒼い翼の青年に向かっていったため、クリエイターの戦力は著しく低下し、完全に流れはサイコスト側にあった。

 しかし、その流れも完全ではなかった。青年と少女が、こちらに向かって攻撃を開始してきていたのだ。しかも、青年の方は、秋人に引けを取らない速度で攻撃してくる。一方の少女の方は、まだ戦闘には不慣れなのか、動きがぎこちない。闘也にしてみれば、軽くいなすのは難しくなかった。しかし、少女はそれを補うかのような武装を搭載している。背面に装備した武装からは、ありとあらゆる近接武器が現れ、距離を取れば。極太の粒子砲が襲い掛かる。基本は接近戦だろうが、遠距離でも、ある程度は戦えるようだ。

「的射! 遠くから援護を!」

「了解っ!!」

的射が援護射撃を行ってくる。少女は、的射の精密な射撃を、シールドでしのぎ、闘也へとその攻撃を集中させてくる。由利はクリエイターの相手をしており、乱州と秋人も、あの速い青年との戦闘に手一杯であった。唯一の救いは、潤が翼の青年と戦い、こちらが眼中にないことであろう。

「もらったっ!!」

少女が剣を掲げ、闘也の頭上から振り下ろしてくる。しかし、闘也は敢えて避けず、ツインソウルソードを作り出して、待ち構えた。闘也の頭に食い込む直前、剛鉄の剣が宙を舞う。こちらへの攻撃に気を取られた少女は、的射の放った銃弾に気がつかなかったのだ。

「動きが・・・・・・甘いっ!!」

 刹那、少女が腰に携行していた四つの剣は斬りおとされる。そのまま背後に回りこんだ闘也は、ツインソウルソードを振るい、少女の背面のソードポッドへと振り下ろした。

 しかし、少女はすぐさまこちらに向き直ると、ソードポッドに収められている剣の二つをジョイントし、薙刀の形状をした剣を握る。勢いよく振り下ろされた剣を、闘也は易々とかわし、ツインソウルソードをそれぞれ投擲しながら後退する。一つ目をかわし、二つ目を弾くと、少女は真っ直ぐに闘也へと向かってきた。闘也は、ソウルスティックをつくり、薙刀の少女を迎え撃つ。二つの剣の間で火花が起こる。

「もうこれ以上・・・・・・」

闘也はきつくソウルスティックを握り締める。

「やらせてたまるかぁぁっ!!」

闘也のソウルスティックが、少女の薙刀を弾く。間髪いれずに、闘也はソウルスティックを突き出し、少女の腹部に押し込む。少女のくぐもった声が聞こえる。

「これでっ!!」

闘也は、ソウルダブルソードに切り替え、少女に向かってそれを振り下ろした。


 ジャストは、目の前の二人の少年との激しい戦闘を繰り広げていた。彼らの名は、戦闘内である程度把握していた。

 乱州が腕を伸ばし、こちらに拳を突きつけてくる。ジャストは、それを持ち前のスピードでいなすが、見る間に秋人が接近し、殴りつけてくる。そう、見事なコンビネーションと、秋人の素早さに、ジャストは苦戦していた。

 乱州が腕を変形させ、剣を振り下ろしてくる。ジャストは、それをクロウパーツで受け止めると。呻きながらも呟く。

「くそ・・・・・・早くジャスティスやエクロの援護に・・・・・・!」

その時、右目に装着しているセンサーに、仲間の危機を知らせるセンサー音と共に、脳内にエクロに剣が振り下ろされる映像が送られてくる。

「邪魔だっ!!」

ジャストは、乱州の腕を弾くと、高速でエクロへと向かう。振り下ろされた直後、剣はジャストの発生させたクロウ・フィールドに弾ける。

「何っ!?」

「やらせん!」

少年を弾き飛ばすと、わき腹に装備しているレーザーガンパーツを手に取ると、その銃口からビームを連射する。五ヶ月の間に、レーザーの出力を極限まで高め、最新のビームサイクリングシステムを導入させたことにより、威力は一気に高まった。更に、前術のシステムにより、どんなに撃ち込んでも、オーバーヒートを起こし、使用不能になるということはなくなったのである。

「何をしているエクロ! 攻撃を再開しろ!」

「え・・・・・・あ、はいっ!!」

我に返ったエクロが、胸部の砲口、キャストレーザーを発射する。高出力の集束型のビーム砲は、威力がレーザーガンとは段違いだ。

 エクロの放ったビームが、少年へと襲い掛かるが、少年はどうにかそれをやり過ごし、再びこちらに接近してくる。

「相棒に・・・・・・闘也に触れるなっ!!」

 更に乱州がこちらに接近してくる。エクロが、ソードツールパーツに収められた剣を抜き放って受け止めるが、力の差は大きい。援護に回ろうとしたが、その前に秋人が攻撃を仕掛けてくる。クロウ・フィールドを展開して、鋭い翼を受け止めるが、反動で一気に吹き飛ばされる。そして、間髪いれずに、上空から少女が銃弾を撃ち込んで来る。正確な射撃だ。風力、風向、湿度、こちらの動きまで予測しての射撃だ。クロウ・フィールドを展開していなかったら、間違いなく被弾していた。

「くそ・・・・・・連携に乱れがない。こちらが追い込まれる!」

ジャストは、真正面から突撃してきた秋人の動きを見切ると、すれ違いざまに翼を切り裂く。少しでも位置や攻撃のタイミングがずれていれば、こちらが頭部から切り裂かれていた。秋人のうめき声が聞こえる。ジャストはすぐに距離を取り、レーザーガンから、ビームを発射する。しかし、そのビームは、秋人の目前に割り込んだ乱州に受け止められ、ビームは虚しく消散する。

「きゃっ!!」

ジャストが秋人への対応に気を取られている間に、エクロの剣がまた一本弾き飛ばされる。残った一本の剣も、闘也と呼ばれた少年によって、柄から斬り飛ばされた。

「エクロ! 立て直せ!」

「あ、はいっ!!」

エクロが、胸部のビーム砲を放ちながら後退する。その間にも、エクロはパーツの呼び出しを開始している。ジャストは、それまでの時間稼ぎをすればいい。

「ちくしょぉっ! もう下がれっ!!」

ジャストは唸り声を上げながら秋人へと突撃した。


 ジャストのビームを防いだ乱州は、すぐさま少女の方へと攻撃を開始する。先ほどの会話から、この少女が「エクロ」、あの蒼い翼の青年が「ジャスティス」であることが予測できた。エクロは胸部のビーム砲を発射し、乱州の接近を許すまいとしていたが、すぐにその距離は縮まり、乱州は腕を巨大化させて振り下ろす。しかし、エクロはすでに回避行動を行い、攻撃範囲外へと逃げていた。

 放たれたビーム砲を受け止めている間に、エクロに変化があった。

 胸部の砲塔パーツを固定していた鎖のようなものが、いとも容易く断ち切られ、砲塔を囲んでいた八つの突起のうちの一つが伸び、まるで剣の柄のような様相になったのだ。エクロはそれをためらいなく握り締め、胸部からその砲塔を取り外す。柄の役割を担っているもの以外の七つの刃は、どこに触れても傷をつけそうである。しかし、乱州が驚愕したのはそのことだけではなかった。

 七つある刃のうち、柄に最も近い二つの刃が、円盤型の砲塔から分離し、こちらにビームを放ってきたのだ。乱州は寸でのところでバリア・フィールドを発生させて受け止める。しかも自在に飛びまわれるときた。第二次超能力戦争の時にも、似たような武装を、乱州は知っていた。

 カスタマーのエリート集団、「虹七色」の一人、銅石剛柔が使っていた、髪を分離させての攻撃「サイコ・ヘア」。

 仲間として戦った紅蓮も、金属製の爪を空中に飛ばすことによる攻撃、「サイコ・クロウ」を持っていた。

「だが、この程度!!」

乱州は放たれるビームの間を縫って、刃に接近する。眼前で発射されたビームを、シールドでやり過ごすと、間髪入れずに、すれ違いざま、その刃を切り裂く。刃は半ばから爆発の炎を上げ、すぐに消える。背後に迫った刃も、軽々と回避すると、シールドごと体当たりする。電子回路がショートしたのであろう刃は、制御不能になり、その隙をついてすぐさま切り捨てた。

「これで終わりじゃないわ!! 行けぇっ、サイコ・イーグル!!」

先ほど刃が分離した箇所から、今度は八つもの刃が出現し、こちらにビームを浴びせかけてくる。乱州は、そのビームの狭い隙間を縫って飛び回り、近づいてきた一つの刃を切る。しかし、それで攻撃が止むわけがなく、先ほどとほとんど変わりのない攻撃に襲われる。

「だからってぇぇぇっ!!!!」

乱州は一気にムゲンを開放する。その瞬間、彼を貫きかけていたビームは、虚しく空中に四散する。そう、乱州は量子化したのだ。


 華麗なまでに、またもビームをかわされる。必死にジャスティスの動きを見切って攻撃を仕掛けるが、例え直撃したように見えても、眼前に掲げたシールドによって、ビームは弾け、すぐに消えてしまう。

「なんで・・・・・・なんで当たらないんだっ!?」

潤は歯噛みしながら、ジャスティスに向かって突撃する。ジャスティスがビームの二丁拳銃を半ばから結合させる。瞬く間にその銃口が臨界し、太いビームが迸る。潤はすぐに上空に飛び上がって避難し、ジャスティスへと踊りかかる。ジャスティスの掲げたシールドごと、ジャスティスの左腕の肘から先を持っていく。しかし、間髪入れずにジャスティスもビームを放つ。ゼロ距離の射撃がずれることなく、潤の左肩を貫く。

 ジャスティスが拳銃を後ろに投げ捨てると、背部に取り付けられている円盤から無数の刃が分離し、襲い掛かってくる。

「サイコ・イーグルっ!」

ジャスティスの叫びとともにビームが刃の先より発射され、潤へと向かってくる。潤はその熱線の網を潜り抜け、後退するジャスティスに接近する。

「逃がすかっ! ジャスティス!!」

振り下ろした剣を、ジャスティスが光剣を抜き放って受け止める。押し込もうとしたところに、先ほどかわした刃がビームを放ってきた。潤は回避を優先させ、すれ違うようにジャスティスの後ろへとまわる。振り向きざまに横薙ぎに剣を振るう。しかし、ジャスティスは一旦の急降下によって、斬撃をかわすと同時に、刃がこちらへと突進してくる。

「くそっ・・・・・・」

迫り来る刃のうち一つを撃ち落とす。だが、それでも攻撃が収まることはなく、立て続けに刃が襲い掛かる。潤は、すれ違いざまに刃の一つを斬り落とすと、振り向きざまの一射で、もう一機の刃を撃ち落とす。

 潤ははっとして、ジャスティスの方を見やる。すでにかなりの距離を取られている。逃げられたのだ。

 潤は、動きの鈍くなった刃を全て破壊し、個人的な戦いから、公的な戦場へと戻っていった。


 放たれたビームをかわし、反撃の銃弾を、闘也は浴びせる。しかし攻撃は当たることなく、宙を直進し、やがて青く光る水面へと激突する。ジャストが接近攻撃をしかけてくる。秋人と同じほどの速さ。闘也は、ジャストの背面に背負われた加速兵器、そして、それによって生み出される速度をものともしないジャストの運動能力に舌を巻く。

「後ろ!?」

正面からの攻撃と思われたが、それをあっさりと裏切り、ジャストはすでに闘也の背後へと回り込んでいた。秋人との戦闘とまるで違う。ちゃんとこちらの動きを考えての行動だ。完璧なまでの頭脳系だ。戦略を事前に細かくチェックしている。しかも、よく訓練されている。

 なるほど。運動能力は生まれながらの才能だけではないってことか。

 ジャストが爪を振り下ろそうとしたところに、的射の援護射撃が来る。闘也はそれによってできたジャストの隙を見逃すことなく、攻撃に転じる。

「ソウルハンマーッ!」

ソウルソードを、ソウルハンマーに切り替え、ジャストの装備している爪へと叩きつける。間違いなく直撃している。爪はその先から欠けていき、半ばまできて大仰な音を立てて拡散する。闘也は、飛び散って襲い掛かる破片を、ソウルラージシールドで受け止める。

 ソウルシールドは、闘也が第二次超能力戦争終結後に、新たに開発、習得した「武器」である。防御に特化した通常の片手型のソウルシールドの他、たった今使用した、前方からの一切の(強力なものを含めた)攻撃を防ぐ、両手持ちのソウルラージシールド。ソウルブーメランをヒントにして習得した、ソウルシールドブーメラン。これの淵は、鋭い刃になっている。手元に戻ってくる習性を利用し、離れた位置の味方への攻撃を防ぐことも可能である。そして、盾の中央部を高速振動させることで、衝撃波を飛ばしての攻撃が可能な、ソウルソニックブームシールド。闘也は、この短期間に、これほどまでの能力を習得したのである。

 ジャストの方は、破片によるダメージが見受けられた。これは好機と見るべきだろう。闘也は、ソウルラージシールドの裏から躍り出ると、ジャストに向かって剣を振り下ろす。剣は何かに拒まれることなく、ジャストの右腕、右足、左手を立て続けに切断し、ソウルスティックへと切り替える。殺傷能力のないソウルスティックを、腹部に真っ直ぐ突きたてる。ジャストが遠くへと吹っ飛ぶ。だが、間を空けるような愚を、闘也は犯さなかった。すぐに接近すると、両手を堅くコーティングしたソウルグローブを身につける。剛鉄の拳が、ジャストの腹部にめり込み、一気に吹き飛ばした。

 ほどなく、ジャストは退却を始めた。逃げるのであれば、わざわざ追撃する必要はない。よっぽどの恨みでも抱いていない限りは。

 エクロとの戦闘を続けている乱州の姿が見える。闘也は、すぐにそちらへと飛翔していった。



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