魔王城 魔王の冠
皇国の皇女の朝は早い。
まだ夜の名残を残した空気はひんやりとしていて、窓の外には薄く朝靄が漂っている。東の空の向こう、世界の果てからゆっくりと光が滲み出し始めていた。
他に、皇女はいないので他の人は違うのかもしれないけれど。
静寂を破るように、
朝、一の地の刻の鐘の音が厳かに響いた。
澄んだその音は、王宮の高い天井と長い回廊を伝い、静かに世界の目覚めを告げる。
その音と共に起床。
まだ少しだけ温もりの残る寝具から身体を起こし、足を床に下ろすと、磨き抜かれた石の冷たさが素足に心地よい刺激を与えた。
顔を洗って身支度を整えて、ダイニングへ。
そこには大体の場合、もう既に身支度を整えたお父様とお母様が待っている。
二人はいつも先に来て、私を待っていてくれるのだ。
「おはようございます。お父様、お母様」
そう言って一礼すると、お父様の表情が柔らかく緩んだ。
「おはよう。いつもちゃんと時間を守るのは良い事ですね」
穏やかな声。
政務の場で見せる厳格な皇王としての姿ではなく、一人の父としての優しさがそこにはあった。
「もう少しゆっくりしていてもいいのだぞ。
兄上など火の刻あたりまではいつも寝ているのではないか?」
少しだけ苦笑を含んだ声音に、胸の奥がくすぐったくなる。
お二人は褒めて下さるけれど、お母様はともかく日ごろ政務で忙しいお父様にちゃんとご挨拶するにはこの時間に起きるしかない。
この時間、この瞬間は、私にとって何よりも大切なものだから。
「…ま、…ゲシュマック商会の頃は水の刻には起きて、朝食の支度をすることが多かったですから、皇女になって大分寝坊させて頂いております」
そう言うと、お父様は少しだけ驚いたように目を見開き、それから優しく微笑んだ。
「そうか。
働き者だな。其方は」
わざわざ立ち上がり、頭を撫でて下さったお父様の手が大きくもくすぐったい。
その温もりが、頭のてっぺんから胸の奥までゆっくりと染み込んでいく。
この優しい手の意味を、私は誰よりも知っている。
「マリカ。今日の予定は?」
「午前中は実習店に行って新しい留学生の受け入れ確認をしてまいります。
午後はシュライフェ商会の方が旅装と新しい礼装の仮縫いに着てくださるそうなので。
館の応接間をお借りしていいでしょうか?」
「かまいません。シュライフェ商会には私も用事があるので仮縫いには後で顔を出します。
それから、孤児院の方で新しい子と職員が入り、報告をしたいとのことです。
概略は私が聞いて確認、許可を出してありますが、直接話したい事もあるでしょう。
時間が空いたら行っておあげなさい」
「ありがとうございます。では、明日にでも行くむね連絡を致します」
「貴族区画を出るときはリオンを連れて馬車で行けよ。最近孤児院の近辺は物騒らしい」
「解りました」
そんな話をしているうちに、朝食が運ばれてくる。
銀の蓋が静かに持ち上げられ、温かな香りが空気の中に広がる。
少しずつ『新しい食』が広がってきているアルケディウスでも朝昼晩、三食しっかりと出るのは皇王家と孤児院と、あとは魔王城くらいだろう。
「いかがですか? マリカ様。
今日の朝食はマリカ様のアイデアで作った『ヨーグルト』です。
色々と試作研究を繰り返して、これならかなりマリカ様の言っておられたものに近付いたかと思えたのですが」
透明な深皿に入れられたとろりとした白い乳清。
朝の光を受けて、表面が淡く輝いている。
真ん中にはふんわりとオレンジの花のようなジャムが垂らしてある。
ふんわりと焼かれた丸パンにヨーグルト、まるで向こうの世界の朝ごはんのようだ。
遠い遠い、もう戻れないはずの世界の記憶が、ふと胸の奥で揺れる。
「とっても素敵で美味しいです。カルネさん。
ヨーグルトは一歩間違うと腐っている、って思われかねないのにこんなに絶妙のバランスで作って頂けて嬉しいです」
「ほほう。これは面白い味だな。爽やかな酸味と、濃厚でとろりとした乳の風味が絶妙だ」
「少し酸味が強い気もしますが、オランジュのジャムと混ぜると甘やかで食べやすくなっていいわね」
「ヨーグルトは妊産婦の身体に必要なものが多く含まれているそうです。ミルクの出が良くなるかもしれません」
「あら、それは嬉しい事。最近は二人とも食欲旺盛でミルクを良く飲むの。
足りなくならないか心配だったから、沢山食べようかしら?」
柔らかな笑い声。
温かな空気。
朝の光に満ちた食卓。
絵に描いたように幸せな『家族』の一時。
その光景を見つめながら、胸の奥に静かな感情が広がっていく。
異世界にやってきて、こんな時間を過ごせる日が来るとは三年前は思ってもいなかった。
マリカ 十一歳
異世界で保育士魔王兼 皇女をやっています。
「あ、マリカ姉だ。おかえり!」
弾んだ声が中庭に響く。
その瞬間、胸の奥がふっと軽くなる。
「あら、マリカ様。おはようございます。
今日はこちらにお戻りの予定でございましたか?」
朝一で魔王城に戻った私を城とそこに住む子ども達を任せる私の親友にして保育士、ティーナが出迎えてくれる。
庭で遊んでいた子ども達がぱたぱたと駆け寄って来る。
小さな足音が石畳の上で弾けるように響き、朝の空気に溶けていく。
この瞬間が好きだ。
どんなに忙しくても、ここに戻って来れば、自分が帰る場所があると実感できる。
手に持った箱を床に置いて、一人ひとり、だっことぎゅーをする。
腕の中に収まる小さな身体の温もり。
柔らかな髪の感触。
くすぐったそうに笑う声。
でも、今日は長くはいられない。
目的はちょっと違う。
「ううん、そうじゃなくってエルフィリーネにちょっと用事と相談があって。
午後には向こうに戻らなきゃいけないの。夜の日にまた改めてゆっくり来るから」
「解りました。皆さま、マリカ様はお仕事がお有りようですわ。向こうで遊びましょう」
「わかったー」
「またねー」
「マリカ姉。次来た時は新しい僕が作った工作見て!」
「うん。楽しみにしてるから」
魔王城の子ども達は聞き訳がいい。
それは、無理に大人びているわけではなく、ちゃんと理解して、ちゃんと待てる強さを持っているからだ。
次の休みにはたっぷり遊んであげよう。
そう思いながら私は床に置いた箱を拾いあげた。
ティーナと共に中庭に移動していく子ども達を見送って私は魔王城に入り、大扉を開ける。
重厚な扉が静かに開き、ひんやりとした空気が流れ出す。
シャンデリア輝く豪華な魔王城のエントランスが迎えてくれる。
高い天井。
光を反射する大理石の床。
静寂に満ちた広大な空間。
ここは、私達の城だ。
子ども達は皆、さっき遊びに行ったようだから今は多分、誰もいないだろう。
「エルフィリーネ!」
この城の守護精霊以外は。
流れるような銀とも虹とも見える髪。
紫色の瞳。
存在そのものが光のような、美しさの具現。
絶世の美女よりもなお美しい守護精霊は、何もない空間からふわりと舞い降りると私の前に跪いた。
「お帰りなさいませ。マリカ様。何か御用事でございますか?」
「うん。ちょっとした質問と相談があって…いいかな?」
「解りました。ですが玄関先で立ち話もなんですので、上階に参りませんか?」
「解った。三階借りてもいい?」
「この城の主はマリカ様です。いつ、どの部屋であろうともご自由に」
その言葉に、ほんの少しだけくすぐったさを感じる。
けれど、それはもう違和感ではない。
私が守り、私が使い、私が未来を作る場所。
ここは私の城だ。
魔王城の一階は城の住人なら個人の部屋以外は誰でもほぼどこでも自由に使えるいわばフリーエリアになっている。
魔王城にはこの世界に捨てられた子ども達がたくさん住んでいるけれど、
二階以降は前の城の住人の残滓が強く残っているのでみんなには用事がない時は立ち入らないように話してある。
そう、ここは魔王城の島。
外の世界では遠い昔、世界を闇に包み滅ぼしかけた魔王が住んでいた呪いの島と城と言われている。
実際は勿論、そうではないのだけれど。
精霊国エルトゥリア。
精霊の恵み深き国と呼ばれた隠れ里であり、その国は『精霊の貴人』と呼ばれた女王によって治められていたという。
城の調度はどれも豪華で上質だけれど華美ではない趣味の良いものばかりだ。
無駄な誇示ではなく、静かな品格を感じさせる。
私も好きだな。
こういう家具を揃えたいな、と思うのはやはり、同一人物だから、なのだろうか?
来客用のエリアであるという二階をすり抜けて三階に向かう。
足音が長い廊下に静かに響く。
ここは正真正銘の前城主のプライベートエリア。
女王の私室と寝室がある。
その女王の私室に入り、私はエルフィリーネと一緒にパタンと扉を閉めた。
外界から切り離された静寂。
空気が、ほんの少しだけ密度を増したように感じる。
「これ、見てくれる? エルフィリーネ」
私は持ってきた箱を取り出して机の上に置いた。
パカッと開けると薄青のきらめきが部屋を照らし出す。
柔らかな光が、静かに呼吸するように揺れていた。
「これは…」
「私が拾われた時に産着の中に入っていたもの、なんだって。着服していた大貴族がね、新年開けて直ぐに返しに来てくれたの」
『本当に申し訳ございませんでした』
深く、深く頭を下げるその姿を、私は不思議なほど冷静に見つめていたのを覚えている。
怒りでも、恨みでもなく、ただ一つの区切りとして。
私はこの世界では捨て子であったという。
私は、異世界で保育士をしていた北村真理香二十五歳の記憶を持っているけれど、転移では無く多分、転生。
その記憶は夢のように曖昧でありながらも、確かな輪郭を持って今の私の中に息づいている。
この世界で生まれ、八歳まで育った記憶も朧げにある。
断片的で、ぼやけていて、けれど確かに存在していた過去として。
使用人として厩で寝かされ、名前も与えられず働かされていたものだけれども。
でもそれはもう、遠い遠い昔の、夢のような感覚だ。
今の私にとっては過去の自分と、現在の生活の方がよほど鮮明で、現実で、そして意味のあるものだから。
『私』が目覚めたのは八歳の時。
意識が繋がった瞬間、世界の見え方が変わった。
今の『父親』ライオット皇子に極悪環境から救われ、この魔王城に連れて来られ、そこでリオンとフェイ、アルに出会ってからの事だ。
あの日を境に、私の世界は完全に変わった。
それから三年。
本当に色々なことがあった。
立ち止まって振り返る暇もないほど、忙しく、目まぐるしく、けれど充実した三年だった。
私は同じように極悪環境から救い出された子ども達を守る為に魔王城で保育士を始めた。
最初は手探りだったけれど、やるべきことは明確だった。
子ども達が安心して眠れる場所を作ること。
安心して笑える場所を作ること。
そして、自分の足で未来へ歩いて行けるようにすること。
二年かけて、子ども達が自立できるようになったので、去年からは外に出て多分、故郷であるアルケディウスで世界を変える環境整備をしている。
やることは山ほどある。
むしろ、やるべきことしかない。
何せこの世界は、全ての人間が不老不死で永遠に生きられる。
それは一見、理想のように思えるけれど、その歪みはあまりにも大きい。
でも、子ども達はその『永遠』に加えられず良くて放置、下手すると現実世界の虐待真っ青の奴隷生活を送らされているのだから。
それは仕組みの問題だ。
個人の問題ではなく、世界そのものの構造の問題。
だから私は、世界を変えると決めた。
転生した私も、この世界の子どもの多分に漏れず虐待されていたのだけれどもどうやら、普通の子どもとは違った様で変わったアクセサリーを持っていたという。
で、私を拾った人物はそれを着服していたのだ。
ライオット皇子や助けてくれる人達と一緒に、私は一年間外の世界で頑張って、皇女の身分を手に入れた。
そして私を拾い、アクセサリーを着服していた貴族からそれを取り戻すことに成功したのだ。
「ねえ、エルフィリーネ。
このアクセサリーを知っている?」
机の上で静かに輝くそれを見つめながら問いかける。
「はい」
私の質問に彼女は驚く程素直に頷いてくれた。
その迷いのない返答が、この品の意味を何より雄弁に物語っている。
「これは間違いなくマリカ様のものでございます。
『精霊の貴人』
エルトゥリアの女王の額を飾るサークレット」
その言葉は、静かに、けれど確かな重みを持って空間に落ちた。
それはエルフィリーネの言う通り、とても美しいサークレットだった。
白金とカレドナイト、青くて美しい希少金属の合金で、優美で繊細。
細く絡み合った極細の線が蔓のように絡み合い、まるで生きているかのような有機的な曲線を描いている。
見ているだけで、うっとりしてしまう。
中央の宝石は紫水晶。
澄み切った深い紫。
エルフィリーネの瞳と…もしかしたら私の瞳の色と同じでもある。
光を受けて、静かに輝いている。
「やっぱりそうなんだ…」
予想していなかったわけではない。
けれど、実際に言葉として示されると、胸の奥に静かな実感が広がる。
この世界でサークレットは花嫁と女王、もしくはそれに準ずる存在しか付けられない特別なものだと聞いている。
だとしたら私を産んだ母親がどういう過程でこのサークレットを手に入れたのかは知らないけれど、私は最初から『精霊の貴人』として生まれた存在だということなのかもしれない。
異世界転生者で、この世界の『精霊の貴人』の生まれ変わり。
なんてなんだかややこしいけれど。
けれど、今の私がやることは変わらない。
「これ、付けて大丈夫?」
そう言いながらも、視線は自然とサークレットに引き寄せられる。
その美しさは、理屈を越えて惹きつける力を持っていた。
「大丈夫? とは?」
「付けたらバーン、と記憶が戻っちゃうとか、私が今の私じゃなくなっちゃうとかは、ない?」
とっても綺麗だから身に着けてみたいなあという女心は正直ある。
けれど同時に、慎重でなければならないとも思っている。
この三年『精霊の力』には沢山助けて貰った。
助けられ、導かれ、守られてきた。
けれど、それは同時に、この力が世界の根幹に関わるものだという証でもある。
「…そういう事をご心配でしたら、今は身に着けず、保管して置かれるとよろしいかと思います。
マリカ様に害になることは決してありませんが、今のマリカ様にはご負担になるやもしれません」
念のために、って聞いたのにそんなにあっさり、大丈夫じゃない、の返事が返って来るとは思わなかった。
あっぶな!
安易に身に着けなくて良かった。
エルフィリーネの言葉に、私は背筋がぞくりと泡立つ。
ドーンとか、バーンとか変な事になるかもしれなかったんだ。
って何が起きるか解らないけど。
今は、聞く気も無いけれど。
この三年間異世界で生きてきて、解ったことが在る。
この世界は『星』と星が生み出した『精霊』が支えている。
今はその『星』の力と権利を奪い取った『神』が世界を支配しているけれど。
そして精霊達は『星』の意志に従い、人間達を守り、助けてくれる。
けれど『星』と同じ力を持つ『神』に精霊達は基本逆らえず、『星』の命令で秘密などについては言えない事もある。
私が転生した理由とか『精霊の貴人』とか『星』の秘密は『言えない事』つまりは教えては貰えない事なのだ。
いつかは教えて貰える日が来ると信じて待つか、自分で答えを見つけ出すしかない。
「解った。じゃあ、エルフィリーネ。
これ、預かっててくれる? 私に必要になる時まで」
そう言いながら、私はもう一度サークレットを見つめた。
淡い光を湛えたそれは、まるで意思を持っているかのように静かに輝いている。
手を伸ばせば届く距離にあるのに、今はまだ触れるべきではないと、本能のどこかが理解していた。
箱のふたを閉める。
かすかな音と共に、その輝きは静かに封じられる。
未練がないと言えば嘘になる。
身に着けてみたいという気持ちも、確かにある。
けれど、焦る必要はない。
必要な時は、きっと自然に訪れる。
今はまだ、その時ではないだけだ。
私はサークレットの入った箱をエルフィリーネに渡した。
「解りました。お預かりいたします」
彼女は両手で丁寧にそれを受け取る。
その所作には、この品の価値と意味を理解している者だけが持つ、深い敬意が込められていた。
守護精霊としてではなく、かつての女王に仕えた存在として。
「お願い。じゃあ、私は向こうに戻るから。
お昼過ぎからお客さんが来るんだ」
今日もやることはたくさんある。
皇女としての仕事。
商会の仕事。
そして、未来を作るための準備。
どれも、私にしか出来ない大切な仕事だ。
「解りました。お気をつけて行ってらっしゃいませ」
エルフィリーネの声は、いつもと同じ穏やかさを持っていた。
けれど、その奥に、ほんの僅かな別の感情が混じっているような気がした。
それを確かめる間もなく、私は踵を返す。
城の廊下を歩く。
足音が静かに響き、広い空間に溶けていく。
エルフィリーネは私を外の世界の転移門まで送ってくれた。
「行ってくるね。後のことと、子ども達の事をお願い」
「お帰りをお待ちしております。
それから、アルフィリーガの事を宜しくお願いします」
「え?」
その言葉は、あまりにも不意だった。
いつもの見送りとは違う、エルフィリーネの言葉に私は驚いたけれど、発動した転移陣は止められない。
アルフィリーガ。
それは、リオンの本当の名。
どうして、今、それを――
問い返そうとした瞬間、転移陣が光を放つ。
床に刻まれた紋様が淡く輝き始め、光が足元から立ち上る。
空間が歪み、視界が白に包まれていく。
いつもの転移。
何度も経験している感覚。
けれど、今の言葉だけが、心の中に引っかかっていた。
エルフィリーネの表情。
その眼差し。
言葉にされなかった、何か。
問いかけるより先に、転移は完了する。
気が付けば私は、魔王城と繋がるもう一つの転移陣。
ゲシュマック商会の書庫に立っていて。
見慣れた本棚。紙とインクの匂い。
静かな空間と現実に包まれていた。
「な、なんだったの、さっきの…リオンの事をお願い?」
誰もいない書庫の中で、小さく呟く。
さっきのエルフィリーネのもの言いたげな眼差しをぼんやりと思い出す。
あの守護精霊が、ああいう言い方をするのは珍しい。
基本的に私がリオンの世話になることはあっても、リオンに何かしてあげられる事ってそう多くない気がする。
それでも言わなくてはならない何かがあったのだろうか?
何かが起きるのだろうか?
それとも、もう始まっているのかもしれない。
解らない。
けれど。
今の私には、やるべきことがある。
守るべき人がいる。
進むべき未来がある。
だから――
私は一度だけ小さく息を吐き、気持ちを切り替えた。
書庫の扉へと足を向ける。
忙しい一日は、まだ始まったばかりなのだから。




