魔王城 ティーナ視点 魔王城の休日
朝、私は窓の外で囀る小鳥の声に、目を醒ましました。
そう言えば、今日から木月。
冬も終わり、春です。
身体を伸ばして窓を開けると、少しひんやりしていながらも、どこかあたたかな光を孕んだ風が気持ちよく部屋へ吹き込んできました。
窓の外の木では、先ほど歌っていたのであろう小鳥たちが、仲良く身づくろいをしています。
魔王城は、精霊の恵み豊かな場所。
小鳥や動物たちもよく訪れますが、傷つけられることはないと解っているのでしょう。
私が動いても、逃げ出す様子はありません。
「……ふぃ……あ……」
「あらあら、リグ。目が醒めたのですね」
すんすんと鼻を慣らし、ぐずり始めたリグ。
私は素早く身支度を整えると、そっと抱き上げました。
私はティーナ。
十八で不老不死を得て、丸二年。
今年の春で、三年になるところでした。
去年の秋に不老不死を返還したので、また年齢による成長が戻ってきていますが――身体的には十九歳、精神的には二十一歳、といったところでしょうか。
私は孤児で、金髪の外見を買われ、とある子爵家にお仕えしておりました。
下働きから始まり、ご主人の側仕えに、そして……手が付き、愛人へと。
孤児としては有りえぬ幸運であったと言われますし、私自身も、そうであったと思っておりました。
ご主人様も、厳しくはあれど私を可愛がってくださっていましたから、そのままお仕えすることに疑問もありませんでした。
それが一変したのは、私の身体に子が宿ってからのことです。
世界中、すべての人間が不老不死を持つ世の中。
女性が子どもを身ごもることは、かなり稀だと言われておりました。
宿したとしても、何か月もの間、身体に負担がかかり、体形も崩れる妊娠と出産を厭う方が多い。
殆どの方が術で流すため、貴族で出産が行われた記録は、過去数百年を遡らないと見つからないほど――と、後でご主人から伺いました。
ただ、それほど稀なことであっても、ご主人は私に子を産むよう命じられたのです。
ご子息の放蕩が目に余る、との仰せでした。
『もう、あれには耐えきれぬ。
私は育て方を間違えた。もう一度やり直す』
ご主人のその言葉は、ご子息の怒りを買い、私は命を狙われることとなりました。
そして館を抜け出し、逃げた先でガルフ様に助けられ、ここ――魔王城の島に辿り着いたのでした。
不死のこの世界に、死後の約束された天の国、などという概念はありません。
ただ、神々に選ばれた者だけが辿り着ける幸せの国――『シュロノスの野』というものがあると、聖典には書かれていました。
であれば、こここそが、私にとってのシュロノスの野。
私は今、生きてきた中で一番の幸せを噛みしめながら、毎日を生きています。
「ティーナ姉さん。入っていーい?」
トントン、と外から軽いノックの音が聞こえてきました。
「はい、どうぞお入りくださいませ」
リグの授乳を終えた私が声を返すと、扉が開き、何人もの子ども達が入ってまいりました。
「おはようございます。ティーナお姉さん」
「おはようございます。皆さま」
入って来たのは、魔王城の中でも特に小さい子達でした。
私の住まう魔王城には現在、十五人の子どもが住んでおります。
歳に差はありますが、子ども達を纏める最年長の子が四人。
年長の子が四人。
年中の子が三人。
そして年少と、さらに小さい子が二人ずつ――。
今は年中の子達が、自分より小さな子を連れて来てくれたようでした。
「じゃあ、姉さん。ジャックとリュウ、おねがいします。おれら、きょうのおやすみはやりたいことあるんだ」
最年少の二人をそっと押し出すようにしながら、クリス様が頭を下げてくださいます。
「はい、もちろん。お任せください。
ジャック様、リュウ様。今日はよろしくお願いしますね。
私やリグと、たくさん遊んでくださるとうれしいです」
「うん! いっしょにあそぶ!」
「リグともいっぱい!」
嫌がる様子もなく、すっとこちらへ来てくださいましたので、クリス様たちも安心したご様子でした。
今日は、魔王城の休日。
城の中で自由に好きなことをして過ごしてよい日――と、マリカ様に言われています。
マリカ様は、この城を統べるお方。
決して子ども達に無理な仕事をさせたりする方ではありませんが、生活のけじめや、集団生活の約束や作法には、しっかりとした躾をなさいます。
だからこそ、その枠から少し離れて好きに過ごしていい日は、子ども達にとっても楽しみな日なのでしょう。
「それじゃあ、よるの四刻ころにむかえに来るから!」
「行くよ。ギル」
「じゃあね! ジャック、リュウ。ティーナ姉さんのいうコト、よくきくんだよ」
皆様を見送ってから、私は改めて二人へ向き直りました。
「それでは、ジャック様、リュウ様。朝ごはんは終わりましたか?」
「「まだー」」
「私もまだなのです。では、大広間でご飯を食べましょう。
それから、少し遊びませんか?」
「はーい」
「やったー。ごはん!!」
私はリグを抱き上げ、籠を持ち、二人と一緒に大広間へ向かったのでした。
大広間には、今日のお休みの食事にと、パンにおかずが挟まった『サンドイッチ』という料理と、ピアンのジュースが人数分用意されておりました。
そしてテーブルには、私達と同じように食事をされているミルカ様とエリセ様、そしてジョイ様がおられました。
「あ、おはよう。ティーナお姉さん。ジャック、リュウ」
「おはようございます。ティーナお姉様」
「おはようございます。エリセ様、ミルカ様」
ジョイ様とは、さっき挨拶をしたばかりです。軽く会釈をすると、にっこりと笑い返してくださいました。
他には人がいません。
サンドイッチはいくつか減っているので、先に食べたか、外に持ち出された方もいるのかもしれませんが――いつもは私を含め、十六人が一緒に食事をするので、なんだか閑散として寂しい気がします。
ジャック様とリュウ様の食事の準備を手伝っていると、エリセ様がサンドイッチを飲み込んでから、声をかけてくださいました。
「あのね、ティーナお姉さん。
夕ご飯もマリカ姉がサンドイッチ用意してくれてるんだけど、お昼はね、私とミルカお姉ちゃんでビスコッティを焼くの。
うまくいったら食べてくれる?」
「ビスコッティ、というのは焼き菓子のことでしたか?」
確か、カエラ糖作りの時にマリカ様が、
「頑張ってくれる、みんなへのご褒美」
と焼いてくださったのがビスコッティ、という名前でした。
ミクルの実がたくさん入っていて、歯ごたえが香ばしく、とても美味しかったことを覚えています。
「お二……三方でも、もうあのように複雑なお菓子が作れるのですか?」
二人、ではなく三方――と言い直したのは、ジョイ様も一緒だからです。
ミルカ様とエリセ様はマリカ様に教えていただき、料理を学んでおられます。腕前はかなりのもの。
マリカ様が倒れられた時には、みんなの食事もしっかり担当されていました。
「そこまでむずしくはないんだよ。でも、マリカ姉がいないところで作るのははじめてだから、ちょっとドキドキ」
「美味しかったら、感想など聞かせてもらえると嬉しいです」
「解りました。楽しみにしております」
私が言うと、嬉しそうに頷き、お三方は食器を片付け、台所の方へ向かわれました。
今日のお休みは料理の勉強をする――とおっしゃっていましたから、準備をされるのでしょう。
魔王城の島に来るまで、食事を一日三食しっかり味わうことなどありませんでした。
それも甘味も含む、至上の美味を毎日など。
「昼が楽しみですね」
私はジャック様とリュウ様の口元を拭きながら、心からの思いを口にしたのでした。
朝の食事を終えてから、私達は少しの間、大広間で遊んでおりました。
木の積み木がお気に入りで、お二人は一緒になって積み重ねたり、並べたりされています。
絵と基本文字が描かれた積み木は、字の勉強になるようで、お二人は、
「おはな」
「セフィーレ」
などと言いながら遊んでいます。
この歳で基本文字をすべて覚え、読めるというのは――本当に驚くべきことだと感心します。
「ふわああ。ねすごした……」
そう言って大きなあくびをしながら入って来たのは、アーサー様でした。
「おはようございます、アーサー様。
ずいぶん、ごゆっくりでしたね。お疲れですか?」
「おはよう、ティーナ姉さん。べつにつかれたわけじゃないけど、一度、だれにも起こされないでねてみたかったんだ」
照れたように笑いながら、アーサー様は食事の席に着きます。
今は午前の六刻。もうすぐお昼です。
いつもは食事の時間も決まっていますから、これも休みの日の贅沢というものでしょう。
「そういや、アル兄やリオン兄たち。あとマリカ姉に会った?」
「いいえ、今日はまだ」
「そっか。昨日、アル兄、夜もどって来なかったみたいで、朝も早くからいなかったからさ。
なんかあったのかなあって、思っただけ」
「そうなのですか……」
そういえば、食事も手を付けられていないようです。
今も四人分のサンドイッチが残されています。
昨晩は、勉強会の後にお部屋へ戻られたのは見ていましたが――思い返せば、マリカ様以外のお三方は、何かを話していたような。
確かに、一番規則正しい生活をされている上の皆様が、この時間まで姿も見せないというのは少し気になりますが……。
「まあ、部屋でしらべものするって言ってたし、四人そろってなら何かしてるのかもしれない。
大丈夫だよ。きっと」
サンドイッチを早々に食べ終えたらしいアーサー様は立ち上がり、私達の方を見ました。
「おれ、外に遊びに行ってくる。
ジャック達も来るか? はらごなしに外でかけっこでもしようぜ」
「おそと! いく!」
「そうですね。そろそろ外に参りましょうか?」
日も大分上がってきました。
そろそろリグを外に出しても良い時間帯でしょう。
私達は積み木を片付け、外へ出ることに致しました。
魔王城の中庭は、とても広い空間になっています。
中央には麦畑が仕立てられ、芽がかなり育っているのが見えました。
壁沿いには花壇があり、ロッサなどの花が葉を広げ、蔓を伸ばしています。
萌える緑の数々に、やはりもう春なのだな――と実感する中、アレク様のリュートの響きが届き、私は本当に心地よい気分になりました。
「あ、みんなも来たんだね」
クリス様が楽しそうに私達へ目を向けます。
中庭にはクリス様、アレク様の他に、クロトリを連れたヨハン様。ヤギと遊ぶギル様がいました。
ジャック様とリュウ様は、中庭で寝そべっていたリオン様の飼い犬――オルドクスを見つけて走って近寄り、甘えているようです。
「げ、クリスもいたのかよ。それじゃあ、かけっこつまんねえじゃん」
「かけっこ? いいよ。ホンキださないであげるからやろうよ」
「うそつけ。すぐにホンキだして、つっぱしるくせに」
「じゃあ、おおかみごっこー」
「おるどくすがおおかみー」
「おもしろそうだね。ギルもいってくる?」
「うん」
皆様、楽しそうに遊び始めます。
私はそんな様子を見ながら、木陰にリグの籠を置き、そっと建物の壁に背をつけました。
はしゃぐ子ども達を見ながら、あたたかな日差しの中、我が子と過ごす。
穏やかで豊かな、最高の幸福です。
こんな幸せがこの世に存在するなど、一年前の私は、とても考えられませんでした。
一年前の今頃は、まだ主人にただ弄ばれる日々。安らぎなど感じたこともありません。
「リグ。げんき?」
「おー、よくねてんな」
時々、皆様がリグの様子を見に顔を覗かせてくださいます。
リグは人の気配がしても、まったく目覚める様子はありません。
安心しているのでしょう。
……この城に入ることになって、不老不死を失うことになりましたが、それを悔いたことは本当に一度もありません。
むしろ、外の世界には決して戻りたくないと、日々思うのです。
私はこの城に来て、初めて一人の人間として尊重されること、そして生きるということの喜びを知りました。
それを与えてくださったマリカ様と、この城の皆様に本当に感謝しています。
できるなら生涯をこの城で、我が子と、マリカ様や皆様と共に、こうして穏やかに過ごせたら――そう思うのですが、マリカ様のお考えはとても深く、城の外へもすでに目を向けておられるご様子でした。
外の世界で苦しむ子ども達を救いたい。
そう願いを語ってくださったことを、私は覚えています。
すべての子どもが、この魔王城に住む子のように尊重され、自分の道を進んでいけたなら。
それは、どんなに素晴らしいことでしょうか。
「あっ!」
走り遊んでいたギル様が、足をもつれさせて転んだようでした。
「いたいよー」
泣き始めたギル様を取り巻く皆さんのところへ、私は急いで向かいました。
見れば、膝が地面に当たって擦れたのでしょう。血が出ています。
私はいつも籠に入れている小さな瓶から湯冷ましの水を取り出し、ハンカチを少し濡らしました。
そして傷口についた汚れや草を拭い、そのままハンカチで傷口を縛ります。
こうすると血止めになると、マリカ様に教えていただいたのです。
「もう大丈夫ですよ」
私が言うと、ギル様は手当てをされた安心感からか、涙を止めて微笑んでおられました。
そしてまた、元気に遊び始めます。
私は外に行くことはできませんし、そうしたいとも思いません。
ですが、こうしてこの城で子ども達を守り、育てることはしたいと思います。
マリカ様の一番の心配は、城の子ども達。
置いて外に行くことなど決してしない――とおっしゃっておられました。
まだまだマリカ様の代わりなど務まりません。
それでも大人として子ども達を見ることで、少しでもお手伝いができるのなら。
頂いたものを、ほんの少しでもお返しできるなら。
そして広い世界へ飛ぼうとしているマリカ様が、翼を広げる手伝いができるなら――。
私はそうしたいと、心から思うのでした。
思いっきり外を駆け回った皆様が、遊び疲れて城内に戻った頃には、二の一刻が大分過ぎていました。
ジャック様やリュウ様は、もうお疲れの様子で、眠い目を擦っておられます。そろそろお昼寝の時間でしょう。
「あ、ティーナお姉さん。丁度良かった」
エントランスに戻った私達へ、台所から戻って来たエリセ様が声をかけてくださいました。
「これ、あさ言ってたビスコッティ。うまくやけたから、おひるねのあとにみんな食べて」
「ずっとお料理を手伝ってくれたのですが、ジョイも眠いようなので、一緒にお昼寝させてくださいますか?」
「解りました」
「あと、シュウは部屋でずっと工作してるから、お部屋に戻るならこのビスコッティ持って行ってほしいんだけど、持てる?」
「大丈夫ですわ」
「ありがとう」
私はエリセ様から預かったビスコッティの籠を、リグの籠の足元にそっと入れました。
「マリカ姉様も、まだ出ていらっしゃいませんし、リオン兄様達も起きていらっしゃいませんね。まだ寝ておられるのでしょうか?」
「アーサーじゃあるまいし。でも、心配だから台所の片づけ終わったら行ってみようか?」
エントランスから住居棟に戻り、私は一番小さな子ども達の部屋に入りました。
身支度を手伝い、ベッドに促すと――皆さま、やはりお疲れだったのでしょう。すぐにすうすうと寝息を立ててしまわれました。
私はまだよく眠っているリグの籠をそこに置き、ビスコッティの皿を持って部屋を出ました。
隣のシュウ様の部屋の扉を叩き、作業に没頭されているシュウ様の机にビスコッティを置き、外へ出る。
時間にしてほんの僅かの間だったと思います。
バタン、と扉が開き、閉じる音がして――
「あら?」
「!」
気が付けば、そこにリオン様とフェイ様がおられました。
「おはようございます……は、もう遅いご挨拶ですね。
御用はお済みですか?」
「……ああ。ちょっと昨日はバタバタしててな。休みだと思ってのんびりしてしまった」
「もう昼過ぎですか。気が付きませんでしたよ」
苦笑するお二人を見て、私は心の中で首を捻っておりました。
この住居棟はかなり長い廊下があり、部屋数も多く、男子棟と女子棟に分かれております。
お二人のお部屋は男子棟の最奥。
私が出て来た年少の方々や、シュウ様達の部屋のさらに向こうにあります。
けれど、お二人が立っておられるのは女子棟――しかもマリカ様のお部屋のすぐ近くでした。
どこか別のお部屋で作業されていたにしては、廊下に気配が無かったような……。
「チビ達の面倒を見て貰ってすまなかったな、ティーナ。
マリカは昨日、なんだか頑張りすぎて疲れている様子だから、まだ声をかけず寝かせておいてやってくれ」
「解りました」
「僕達は、今からの時間は部屋にいます。何かあったら声をかけて下さい」
慌てたような口調で歩き出すお二人に、私は頭を下げようとして――ふと、リオン様と目が合いました。
途端に、胸が不思議な音を立てたことに気付きます。
リオン様は、これほど美しい方だったでしょうか?
いえ、リオン様は元々、精悍で整った顔立ちの、美しい少年でした。
しかも勇者の転生であるのです。
強く、賢く、元々から人の中にあっても目を引かずにはいられない――と解る方ではありました。
けれど、何かが違う。
一晩で、まったく別の何かに変わったような。そんな印象を受けたのです。
……けれど、それは私が聞く必要のないことでしょう。
必要であれば、マリカ様やご本人から告げられる機会もあるはずです。
私は静かに頭を下げ、お二人を見送りました。
微かに――お二人から安堵の思いを感じながら。
夕刻の食事も本来、時間は自由であったのですが、不思議なことに全員が同じ時間に集まり、食卓を囲むことになりました。
夕食は、ソーセージを挟んだサンドイッチに、エナのスープ。
それにエリセ様達が作られた砂糖菓子――ファッジというのだそうです。
これもミクルが入っていてとても甘く、美味しいものでした。
「これもガルフの店で出したら売れるかな?」
「間違いなく人気となると思います」
私が頷くと、マリカ様は嬉しそうに微笑んでくださいました。
「そういえば、マリカ姉、どこに行ってたの? 昼過ぎにおへやにいってもいないんだもん」
「ごめんごめん。書庫で調べ物に夢中になっちゃって」
「……?」
あら? 昼過ぎと言えば、お二人が『まだ寝ている』とおっしゃっていた頃のような……。
「あ、このファッジは美味いな。エリセも料理の腕が上がっている」
「ホント。リオン兄にほめられるなんてうれしー」
微かな動揺。
リオン様とマリカ様――両方からそんなものを感じた私ですが、そこで感覚を遮断しました。
たとえ、お二方の間に何かあったとしても。
それは私が知る必要のないことです。
今、こうして過ごす魔王城の生活が幸せで、得難いものであること。
自由に遊び、過ごしても、戻ってきたいと思うのは皆と一緒に過ごす、この時、この場であること。
それだけで、本当に充分なのですから。
「ティーナ。今日は子ども達を見てくれてありがとう」
「いいえ。私も本当に楽しく、幸せな時間を過ごさせて頂きました」
こうして魔王城の休日の一日――新しい一年の最初の日は、穏やかに、静かに、幸せに過ぎていきました。
当たり前の日常こそが一番、尊く得難いものだと、私は知っています。
こんな日がずっと続けばいい。
私は心から、そう思ったのです。




