第3話:覚醒の雷撃、覇者の一撃
1. 延長戦の緊張
浮遊アリーナの空気が震えていた。岩塵団との大陸予選2戦目、3ピリオド終了で4-4同点。サドンデス延長戦――最初にゴールを決めたチームの勝利。観客のドラゴンと精霊が息を潜め、X風の魔法スクリーンに実況が乱れ飛ぶ。
「ストームクロウズ、奇跡の同点! カイの風シュート、NHLってマジ何!?」
カイはリンクの中央でスティックを握りしめる。マナゲージはほぼゼロ、魔法は使えないはず。だが、心臓の鼓動が速い。NHLの名場面がフラッシュバックする。2011年スタンレーカップ、ボストン・ブルーインズの逆転優勝。あの「諦めないフィジカルと戦略」が、今の自分を支える。
「みんな、生き残れ! 俺が決める!」
チームメイトが頷く。火フォワードのレオは炎をチラつかせ、氷ディフェンダーのユキはリンクを凍らせて足場を固める。石ウィンガーのガンは体を張り、風ゴーリーのハヤテは風シールドを張る。
対する岩塵団のリーダー、グラムは巨体を揺らし、雷オーブを手に笑う。
「雑魚ども、雷オーブの力で灰にしろ!」
雷オーブ――禁断の元素。炎帝団も使っていた超破壊力のオーブが、リンクを青白く照らす。グラムの目には狂気が宿る。「この力、呪いだよ…だが、勝つためなら!」
延長戦開始。グラムが雷オーブを撃ち放つ。稲妻がリンクを走り、ストームクロウズのゴールを狙う。
2. 雷の脅威とチームの連携
カイは咄嗟に動く。NHLの「フォアチェック」をイメージし、敵のオーブを奪う勢いで突進。だが、雷の衝撃波がカイを吹き飛ばす。
「ぐあっ! これ、NHLのヒットよりきつい…!」
レオが火球で反撃。「カイ、立て! 俺の火でカバーする!」炎が雷を相殺するが、グラムの石魔法が加わり、重力でリンクが歪む。ユキが氷魔法でリンクを修復。「みんな…がんばって!」震える声だが、シールドがチームを守る。
ガンが石球を投げつけ、「おらっ、ぶっ飛べ!」グラムの巨体を押し込む。ハヤテは風魔法で雷の軌道を逸らし、「冷静に…ゴールは守る。」NHLのTim Thomasのセーブを彷彿とさせる鉄壁防御。
魔法スクリーンに書き込みが殺到。「ストームクロウズの連携すげえ!」「グラムの雷、チートすぎwww」
カイは立ち上がる。マナゼロのはずが、体に熱いものが湧く。「これ…オールエレメントの適性か?」転生時に与えられた力。火、氷、石、風――全元素が体内で渦巻く。
「今だ、みんなの力を借りるぜ!」
カイはNHLの「サイクルプレー」を応用。チームのパスワークでオーブを回す。レオの火球をユキの氷で加速、ガンの石で重みを加え、ハヤテの風で軌道を変える。
「これが、NHLのチームプレイだ!」
3. 覚醒の瞬間
グラムが本気を出した。雷オーブを巨大化させ、「サンダークラッシュ!」リンク全体を雷雲が覆い、24のゴールが揺れる。ストームクロウズのメンバーが次々倒れ、マナが尽きる。
「終わりだ、雑魚!」グラムの笑い声。
カイの視界が霞む。だが、NHLのGretzkyの言葉が響く。「君は氷上で何をするかじゃない、何を感じるかだ。」カイは感じる――チームの鼓動を。レオの情熱、ユキの勇気、ガンの力、ハヤテの冷静。
「俺は…一人じゃねえ!」
その瞬間、カイの体が輝く。オールエレメント覚醒。火、氷、石、風が融合し、新たなオーブが生まれる――「ミックスオーブ」。虹色の球体がカイの手に宿る。
「なんだそのオーブ!?」グラムが驚愕。
カイはNHLのSidney Crosbyのビジョンを発揮。ミックスオーブをスティックで叩き、360度シュート。オーブが分裂し、火球が赤ゴール、氷球が青ゴール、石球が灰ゴール、風球が緑ゴールに同時殺到!
「これが、俺たちの逆転だ!」
グラムの雷が襲うが、ミックスオーブのシールドが防ぐ。観客のドラゴンが咆哮し、スクリーンに「カイ覚醒キター!!」と実況。
ミックスオーブの一つが、岩塵団のゴールに突き刺さる。サドンデス終了――ストームクロウズの勝利!
4. 勝利の代償と秘密
アリーナが沸く。ストームクロウズ、初勝利。スコア5-4(延長含む)。カイは膝をつき、チームメイトに囲まれる。
「カイ…すげえよ!」レオが肩を叩く。
「…勝った、ね。」ユキが涙目で笑う。
「ハハッ! 雷オーブなんか、ぶち抜いたぜ!」ガンが吼える。
「よくやった。」ハヤテが珍しく微笑む。
だが、グラムが倒れたまま動かない。カイが近づくと、グラムは呟く。「雷オーブの呪い…体を蝕むんだ。勝つため、家族のため…使わざるを得なかった。」
カイはNHLの精神を思い出す。敵も味方も、氷上で戦う同志。「次は、呪いなしで勝負しようぜ。」グラムは頷き、友情の芽が芽生える。
控室に戻り、カイは覚醒の余韻に浸る。ミックスオーブの力――転生の理由が少し見える。「NHLの魂が、この世界を変えるのか…?」
魔法スクリーンに、精霊の書き込み。「ストームクロウズ、優勝候補!」「カイのミックスオーブ、チートすぎw」
次の試合は炎帝団との再戦。雷オーブの秘密と、カイの転生の謎が深まる。
エピローグ
夜のエレメンタリス。カイは星空を見上げ、NHLのジャージを思い浮かべる。「Gretzky、Crosby…お前らの魂、借りてるぜ。」
チームの絆が強まる中、影で誰かが囁く。「オールエレメントの召喚者…大陸の覇権を握る鍵だ。」
ストームクロウズの冒険は、まだ始まったばかり。




