表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/53

第9章:観測者

その頃、都市のさらに遠く、廃ビルの最上階。


かつて防衛軍が使っていた監視施設。その内部で、ひとつの存在が静かに目を覚ました。


全身を黒い外套のような機構に包まれ、顔はマスクの奥に隠されている。 背後にのたうつケーブルが、床や天井の端末に接続されていた。


《記録更新:対象個体 “リン=13番” 覚醒反応 確認》


金属的な音声が、空間に響く。


《補足:カイ=03番、生存確認。ナナ=識別不能。交戦能力 高値推移》


壁面のスクリーンには、都市全域のマップが投影されている。 点滅する赤い光点。カイたちの現在地。


《因子干渉率、閾値超過。推定シナリオを再構成》


その存在――“観測者”は、ゆっくりとケーブルを外す。 立ち上がったその動きに、音も熱もない。


「予定より早いが……実に面白い」


モニターに向かって手をかざす。


《第零試作体、起動許可確認》


床下、厚い扉が音もなく開かれる。 冷却霧の中から、黒い装甲に覆われたヒト型の兵器が現れた。


“第零試作体(コード:ゼロ)”。


無感情なその存在は、命令を受けるとゆっくりと歩き出す。


「カイ、リン、ナナ。お前たちが“変数”として成立するのか──」


観測者は囁いた。


「この都市が証明してくれる」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ