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鋼の記憶-メモリー・オブ・メタル  作者: 風光Maybe
リミッターズ編
51/53

第51章:記録の外側で

戦場に、一時の静寂が訪れていた。


ユナが涙を拭い、再生を止めた記録装置をそっと胸元にしまう。 義肢の腕が微かに震えている。 けれど──もう、目は逸らしていなかった。


「……私、ずっと怖かった」


カイたちを見据えて、ユナが言った。


「記録を止めたら、自分の存在が崩れてしまうって。  でも……あなたたちを見てたら、わかったの。  過去を抱えていても、前に進めるんだって」


カイは静かに頷いた。 「お前が“今”を選んだから、俺たちは一緒に進める」


ユナが小さく笑った、その時。


「──感情の再構築を確認。精神安定度、向上」


無機質な音声が響いた。


クロウが、ユナを見据えたまま呟く。 「君の能力リフレクション……ようやく“本来の仕様”に近づいたようだ」


「……どういうこと?」


リンが警戒を強める中、クロウは淡々と告げる。


「《リフレクション》は本来、  “他者の記録を再生する”だけの力ではない」


「それは……」


「“想いの層”を重ね合わせ、再構築する。  記憶と記録の境界を溶かす力──  君の心が安定したことで、ようやくその本質に到達した」


ユナの手が僅かに震える。


「つまり……私は、記録だけじゃなく、“誰かの記憶”そのものを……?」


「その通り」 クロウが歩み寄る。


「それこそが、君の《リフレクション》が持つ最大の価値。  だからこそ、僕は君を必要としていた」


カイが前に出る。


「もう、こいつは“お前の道具”じゃない」


「道具ではない」 クロウの声は淡々としていた。


「ただ、“選ばれた力”だっただけだ」


次の瞬間、クロウの周囲が歪む。 鋼の粒子が集まり、彼の背後に巨大な構造体が現れる。


「──君たちが“意志”を選ぶなら、僕は“記録”を完遂する」


再び、戦場が動き始めた。

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