表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/53

第5章:共鳴

異形の侵蝕体を倒した直後。 カイは倒れたその肉体から外れ落ちた金属片を拾い上げた。


手の中で、それはかすかに振動し、彼の指先を通して何かを伝えようとしていた。


目を閉じ、集中する。


――闇。銃声。閉ざされた扉。 『……お願い、誰か……止めて』


誰かの叫びが、記憶として響いてくる。


「……やっぱり、これは……」


カイは金属片を床に戻すと、制御室へと目を向けた。 ナナはすでに端末の前に座り、古い操作パネルを叩いていた。


「動いた。一部の通信ユニット、生きてる」


画面に映ったのは、“避難区画A-7”。そこに、かすかな生体反応があった。


「……生き残りがいる?」


「数は不明。でも、信号は本物」


一拍の間。


「行くぞ」


「わかってる。あたしたちが行かなきゃ、誰も来ない」


カイは金属片を再び手に取り、ポーチにしまう。


「……この声、無駄にしない」


制御室を後にして、ふたりは走り出す。


まだ誰かが生きている。 まだ、守れる命がある。


カイの能力は、ただ戦うためのものじゃない。 それは、“声なき想い”を拾い上げる力でもある。


――失われた声を、刃へと変えて。


鋼の記憶を背に、ふたりは再び闇の中へと踏み出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ