第47章:刻まれた未来
崩壊した一角の瓦礫が煙を上げ、クロウの足元に散らばった。
「君の行動原理、“意志”に基づく戦術……」
クロウは静かに呟きながら、その指先で再び空気をなぞる。
「確かに、記録の網をすり抜けた……だが、それももう“例外”ではなくなる」
周囲に散った破片が集まり、再び幾何学的な構造を形作り始める。
「こいつ……さっきの行動すら、すでに次の“解析対象”に入れてる……」 ゲンが低く呟く。
「ならば!」
カイが再び前に出る。 焔の共鳴が槍に宿る。
「こっちも、次を“選び続ける”だけだ!」
槍が疾走する。 火花が奔り、再構築された壁を切り裂いた。 だが、クロウはそのすべてを“すでに想定済み”とばかりに無駄のない動きでかわす。
「素晴らしい。実に、理にかなっている。 だが、僕は“戦場全体”で勝つ」
クロウの手が掲げられると同時に、遠方の床が崩れ、鋼の柱が突如出現。 ナナとリンが反射的に後退するが、逃げ場を塞ぐように更なる壁が出現する。
「くそっ、完全に動きを封じてきてる……!」 ナナが叫ぶ。
「私たちの行動が、戦場に“予め組み込まれてる”ってこと……?」 リンが目を伏せる。
カイは歯を食いしばる。
「このままじゃ、奴の“記録通り”になる……!」
しかしその時── ゲンが前に出た。
「だったら──記録にならない戦い方をするしかねぇだろ」
彼が取り出したのは、かつて仲間の遺した小さな鋼片。
「こいつは誰にも触れられなかった……俺しか知らない記憶だ」
共鳴が走る。 槍とは異なる、歪な刃がゲンの手に形成された。
「“記録の外側”は、まだ残ってる」
カイがそれを見て、確信する。
「そうか……“記録されていない記憶”──それこそが、突破口だ!」
火花が舞う。 カイとゲンが同時に踏み込む。
記録と意志。 構築と変革。 未来を刻む戦いが、ここに始まる──。




