第45章:戦場、構築される
空気が震えた。
クロウの指先が払われると同時に、周囲の瓦礫が再構築されていく。
鉄筋は槍へ、ブロックは刃へ──規則正しく、まるで何かの“陣形”のように。
「……自動で戦場を“設計”してるのか」
カイが息を呑む。
「違う、これは……」 リンの目が鋭くなる。「私たちの戦術に“対抗”するように、即興で構築されてる」
ナナが一歩前に出る。「記録を読んでるって、そういうこと……私たちの過去の戦いを、構造に反映してるの?」
「無論」
クロウが静かに言葉を落とす。
「人の戦術には癖がある。反射のタイミング、仲間との連携、意識の置き所…… その全てが“過去の行動”に表れている」
「……それを読んで、地形ごと“罠”に変えてるってことか」 ゲンの表情が引き締まる。
その瞬間、足元から鋼の杭が飛び出した。 カイが反射的に飛び退る。だがそれすら、計算されていたかのように次の壁が迫る。
「こいつ……予測が“現実”を先回ってる……!」
クロウはまるで、ただの“動作”として手を振るう。 だがその一挙手一投足が、地形そのものを動かし、戦場を再構成していく。
「彼我の情報差は、致命的だよ」
静かな声。だが、揺るがぬ“確信”があった。
「人の記録を読み、戦術を組み替え、確実に制圧する。 それが──僕の役割だ」
その言葉を、誰よりも静かに聞いていたのはカイだった。
「だけど……俺たちは、“今”を戦ってる」
カイが踏み込む。 共鳴が爆ぜ、鋼が槍へと変化する。
「記録じゃ、俺たちの“意志”までは読み切れない!」




