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鋼の記憶-メモリー・オブ・メタル  作者: 風光Maybe
リミッターズ編
43/53

第43章:記録を喰う者

薄暗い通路。敵の残した拠点跡に、静かな足音が響く。


「……この先だな」


ゲンが先頭で立ち止まり、手を挙げて仲間たちを制止する。 カイ、リン、ナナがそれに続く。


「反応、複数。まだ動いてはいないけど、配置は明らかに“迎撃用”」


リンが冷静にタブレットを確認しながら言った。


「……戦うつもりなんだ。ここで“待ってる”ってことは」


ナナが静かに銃を構え直す。


その時、壁の陰から低く唸るような声が聞こえた。


「また来たのかよ、“共鳴坊主”」


ラウルだった。


「何度やったって同じだ。記録も想いも、全部“喰って”やるよ」


その身体には、前回の戦闘で受けたはずのダメージがほとんど残っていなかった。


「……再生してる? まさか……」 カイが目を細める。


「“喰った記憶”から、自己補完してるんだよ」 ラウルが口の端を吊り上げて笑う。


「鋼の記憶ってのはさ……結構使い勝手いいもんでな。 記憶に触れれば、壊れた部分だって“再構成”できる」


「お前……自分の身体すら、“喰った記録”で修復してるのか」 ゲンの言葉に、ラウルは肩をすくめた。


「壊れても、また作り直せばいいんだよ。記録ってのは便利だよなぁ」


ナナが鋭く銃を向けた。 「けどそれ、あんた自身の“想い”じゃない……誰かの記憶を使ってるだけ」


ラウルが鼻を鳴らす。 「知ったこっちゃねぇよ。俺はただ、“強くなりゃそれでいい”」


「──だから、お前は俺に勝てない」


カイが前に出る。 槍の先が、共鳴に呼応して輝き始めた。


「俺は、記憶を“背負って”進む。誰かの想いを、糧にしてでも未来を選ぶ」


「上等だよ、坊主」


ラウルが構える。 再び、記憶と記録が交錯する戦いが始まる。

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