表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鋼の記憶-メモリー・オブ・メタル  作者: 風光Maybe
リミッターズ編
42/53

第42章:歪んだ共鳴

激突の余波で、地面が割れる。 カイとラウルのぶつかり合いは、瞬間的にその一帯の空気を変えた。


「──っ、やるじゃねぇか!」


ラウルが笑いながら後退する。 拳の表面に、薄く焼け焦げた痕が浮かび上がっていた。


「……想いを喰って力にするなんて、最低だ」


カイが静かに言う。


「お前に共鳴されるような記憶は、残したくない」


その言葉に、ラウルの笑みが深まる。


「いいねぇ、そういう反応がいちばん“味”あるんだよ。やっぱお前……最高だわ」


だがその時、不意に空気が変わった。


リンが顔を上げる。 「……精神干渉、来る!」


次の瞬間、視界が揺れる。


ナナが一瞬、銃を取り落としかけた。 「な……? なに、これ……頭の中に、誰かの……!」


瓦礫の陰から、すっと現れるひとりの女。 無表情のまま、義肢の腕を下ろして歩いてくる。


ユナだった。


「……あなたたちの記憶。とても鮮やか」


声は感情を欠いているのに、どこか優しい響きを帯びていた。


「再生できる。何度でも。あなたたちの“痛み”も、“決意”も」


その言葉と同時に、カイたちの周囲に映像のような“記憶”が投影される。 レオの最後。 リナが微笑んでいた最期の瞬間。 実験棟での出来事。


「やめろ──!!」


ナナが叫ぶ。 銃口を向けるが、ユナの姿は揺らいでいる。


「これが“リフレクション”。私の能力」


ユナの視線が、カイと交錯する。


「あなたの“共鳴”と違って……私は、過去に囚われてるの」


一瞬、ユナの表情に“苦しみ”が走ったように見えた。 だがすぐに、それは波紋のように消えていく。


「私は、妹の“記録”を見続けなければ、壊れてしまう」 「だから、あなたたちの記憶も、私の中で“再生”される」


「やめて……」 ナナの声が震える。


「人の痛みを……そんな風に使わないで……」


だがユナは答えない。 そのまま霧のように記憶の群れを残し、姿を消した。


ゲンが低く唸るように言った。 「……あれが、“もうひとつのリミッターズ”。」


カイは強く槍を握った。 「共鳴は……決して、誰かを傷つけるためにある力じゃない。俺は……あの力を、否定する」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ