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鋼の記憶-メモリー・オブ・メタル  作者: 風光Maybe
リミッターズ編
40/53

第40章:侵入者の残響

第七支部──かつて実験棟と呼ばれていた場所は、瓦礫と化していた。

鋼材がねじれ、焼け焦げ、崩れた天井の隙間からは灰混じりの陽光が差し込む。


「……静かすぎる。嫌な予感がするわね」


リンが周囲を警戒しながら、崩れた足場に目を向ける。

空気がよどんでいた。何かが、ここで起きた。けれど、その“痕跡”だけが不自然に整っていた。


カイは、倒れたスピアの破片にそっと手を伸ばす。

指先が触れた瞬間、微かな震えが走った。


「……これ、“想い”が残ってる」


共鳴。

鋼に刻まれた意志が、カイの中に流れ込む。


──突入。

──命令。

──沈黙する部隊。


「誰かが……ここで戦って、そして……」


言葉の途中で、カイは拳を握った。


「ここにいたのは、“俺たちと同じ”リミッターズだ。

 ただの敵じゃない。“想いを刻んで、戦ってた”」


ナナが歩み寄り、スピアの根本を見て息をのんだ。


「この傷……“使用者ごと折られてる”。

 兵器じゃなくて、これは“誰かの武器”だった。……そして、最後の武器でもある」


「敵が、リミッターズ……?」

リンの声に、ゲンが低く呟いた。


「つまり、俺たちと同じ異能を持つ連中が、組織的に動いてるってことだ。

 単独行動じゃない。明らかにチームで、戦術を組んでる」


そのとき、風が止んだ。


カイが顔を上げる。

――見えた。崩れたビルの影から、ゆっくりと姿を現す黒いシルエット。


仮面の男。

その隣には、無表情の女。金属の義肢が太陽を反射して光る。


ナナが銃に手をかけた。


「誰……?」


カイの手に、鋼の破片が再び反応する。


「共鳴が……微かに。でも、狂ってる……“記録”が乱れてる」


その一言で、リンの表情が険しくなる。


「異常な共鳴反応。……彼女、ただの敵じゃない。何かに“囚われてる”」


「……あの女が“ユナ”かもしれないな」

ゲンの声には、確信めいた響きがあった。


敵の《リミッターズ》チーム。

彼らとの戦いが、これから始まる。


だが、カイの心には、一つの疑問が刻まれていた。


──“この鋼に刻まれた想い”は、果たして敵のものなのか?

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