第19章:オリジン
夜。
無数の監視衛星が、空から都市の廃墟を見下ろしていた。
《オリジン計画──第3フェーズへ移行》
《対象:共鳴因子適応者群》
《生存データ同期開始》
冷たい光が、遠くから都市に降り注いでいた。
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カイたちは、高架下の簡易シェルターにいた。
リンは眠っている。ナナは外で見張り中。
カイは金属片を手のひらに転がしながら、考えていた。
この街に生き残っている者はどれほどいるのか。
そして“自分たち”が何をされてきたのか。
そのとき、通信端末が突如起動する。
古い軍用波――誰かが発信していた。
『応答せよ。適応者がいるなら、至急この信号を追ってくれ。
ここで、何かが始まっている』
「……誰だ?」
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一方その頃。
都市第一区画、かつての研究タワー跡地。
観測者は中央の記録装置に手をかざしていた。
「記録とは因果。生存とは結果。
ならば、“彼ら”がどれほどの因果を越えてきたのか、見せてもらおう」
その背後。
鋼の球体が浮かび、無数のラインが都市全域へ広がっていく。
《対象の生体データを基に、再構築エリア生成中》
《記憶干渉エリア・レイヤーB、起動完了》
観測者の声が響く。
「ようこそ、“記憶の起源”へ」
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翌朝。
カイたちは信号を追い、地下鉄の封鎖路へと向かっていた。
そこには──見たことのない光景が広がっていた。
かつて自分たちが見たことのない、
**“記憶の中にしか存在しないはずの世界”**が、目の前に再現されていたのだ。
「これ……俺の……家?」
カイは言葉を失った。
でも、それだけじゃなかった。
ナナが歩くと、遠くに“かつての仲間”の姿が見える。
リンは、もういないはずの妹の声を聞く。
《これは、あなたたちが捨てた記憶。
そして、越えるべき“過去”だ》
記憶の中に入り込み、再構成された世界で、
カイたちの“最も痛い記憶”が試練となって襲いかかる。
――ここからが、本当の「オリジン計画」だった。
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