第18章:目覚めのあとで
目を開けると、天井があった。
暗く、少し埃っぽい──それでも、確かに“現実”の天井。
「……戻ってきた、んだ」
かすかに体を動かすと、誰かの視線を感じた。
「おお、起きた! おーい! カイー! 生きてたー!」
ナナの声が響く。
リンが身を起こすと、ナナが焚き火のそばから駆け寄ってきた。
その後ろには、カイも無言で近づいてくる。
「心配させんなっての……いやほんとに……」
ナナがぽそっと呟いたあと、照れ隠しのようにそっぽを向く。
リンはまだ少し目を潤ませながら、言葉を探す。
「……ただいま」
カイが小さく頷く。
「おかえり」
焚き火の火が、柔らかく3人を包む。
やがてリンが口を開いた。
「あの中にいたのは、私。
逃げ出した自分と、置き去りにした自分……
でも、もう逃げないって決めた。
これからは、“私の意志”で進む」
ナナが小さく笑う。
「よく言った。でも、ほら、まずは腹ごしらえしなよ。体力戻さなきゃ、守るもんも守れないでしょ?」
「うん……ありがとう」
温かいスープの湯気が立ち上る。
リンが手にしたカップから、小さく金属の共鳴が聞こえた。
それは、微かだけど優しい音。
「それって……」
「うん、さっきの場所から持ってきた“記憶”。
でももう、痛みじゃない。……あの子の“ありがとう”だよ」
その音は、まるで未来を示す鐘の音のようだった。
そしてその頃──
街の上空、誰もいないはずの監視拠点で、ひとつの新たな通信ログが開かれていた。
《次段階:計画名【オリジン】 実験準備完了》
《対象:記憶に適応した者たち》
《交戦シナリオ開示中》
画面に、3人の顔が並ぶ。
闇の中で、何者かの笑い声がかすかに響いていた。
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