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第11章:閃光と残響

ゼロが崩れ落ち、工場の中に静寂が戻った。


カイは荒い息をつきながら、槍をゆっくりと地に突き立てる。 燃えた装甲、焼け焦げた床。残されたのは戦いの痕跡だけだった。


「……終わった、のか」


ナナが膝をつきながらも微笑む。 「さすがに……もう動かないでしょ」


リンはその場に座り込んでいた。手のひらには、まだわずかに光が残っている。


「……わたし、また……壊しちゃったのかな」


カイはゆっくりと首を振った。


「違う。あれは“守るため”の力だった」


ふたりの前で、リンは小さく瞬きをする。 その目はまだ揺れていたけれど、少しだけ迷いが薄れていた。


やがて、ナナが立ち上がる。


「とりあえず、一息つこう。あたしたち、ちゃんと生き残ったんだから」


三人は廃工場の隅に簡易の拠点を設け、焚き火を灯す。


夜の闇の中、火が揺らめく音だけが響いていた。


「リンの能力……あれって完全に無意識だったのか?」


「うん……あのとき、ただ“怖い”って思っただけ。でも、頭の中で誰かの声がして……」


「それが“記憶”だ」 カイは火を見つめながら呟く。


「金属に宿った想い。それが、お前に応えたんだ」


リンは小さく頷いた。


「……もし、その声をまた聞けるなら……わたし、もっとできるかもしれない」


カイとナナは顔を見合わせ、そして笑った。


「無理はすんな。でも……頼りにしてるぜ?」


その頃、遠く離れた監視施設では、ひとつの影が動いていた。


観測者。


冷たい視線で記録を見下ろし、口元をゆがめる。


「記録完了。対象“ゼロ”による情報取得、成功」


その手元では、新たな兵装リストが展開されていた。


「次の実験体。今度は、“覚悟”の有無を問う」


静かに、世界の深部が動き始めていた。

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