1話。見捨てられた僕は決心する。
目を開けると、最初に感じたのは重い空気だった。
「学校行きたくないなぁ。。。」
今日もいつも通り、つまらない日々が始まった。。
と、朝までは思っていた。
「ただいま。。」
今日は期末テストの結果が返ってきた。
いつも通り、僕のテストはボロボロで学年で最後から数えた方が早い順位だった。
どうせ、また親に怒られるだろうなぁ、と思いながら自分の部屋へ向かった。
「お帰りなさい、あなた。ちょっと後で話があるからリビングに来てちょうだい。」
話ってなんだろう?と思いつつ、頭のどこかでテストの説教だと確信していた。
そして、バックを机に置いて僕はリビングへ向かった。
「話って何ー?」
「突然で悪いけど。あなたとは縁を切らせてもらうわ。」
「そんな冗談やめてよ、お母さん。」
「冗談じゃないわ。勿論この家からも出てってちょうだい。出来損ないは我が子じゃないわ。」
「...........」
想像を遥かに超える話で、僕は頭が真っ白になり、言い返す事ができなかった。
“そして、次の日僕は家を去った。。“
学費も払う事できないは、必然的に働くという選択肢しか無いと思い、仕事を探していたら、ボロい旅館を見つけた。
「すみませんー。」
「うちは1泊5000円で泊まれるけど、水道は出ないしかなりボロいからあまりおすすめはしないわよ。ぼっちゃん。」
「ここで働かせて下さい!」
そこでは70歳は超えたお婆さんが、営んでおり客は1日1人くるかどうからしい。
そしてこれまでの経緯を全て話し、とりあいず1週間住み込みで働かせてくれる事になった。
「ありがとうございます。。」
「いいのよ。実はね、うちの旅館、お客様が少なくて来週潰れるの」
「そんな。。」
ここで僕は決心した。絶対潰させねぇ!と。
決心した瞬間僕の心の中の何かが動いて燃えるように熱くなった。
「僕。この旅館を続けさせる為頑張ります!」
「気持ちだけで結構よ。。ありがとね」
何をしたらいいかも分からないけど、今の僕なら出来る気がする。
いや、できる!!!!
その日の夜、僕はぼろぼろの旅館の中を歩き回り、何かできることはないかと必死に考えていた。
お婆さんが言っていた通り、確かに客はほとんど来ないし、設備も古くて水道さえも出ない。
だけど、このまま潰れてしまうのは、あまりにも惜しい。
「どうすればお客さんが来るんだろう…」
僕は自分が知っている限りのことを考えた。
例えば、広告を出すわけでもなく、豪華な設備があるわけでもない。
だが、何か一つ、この旅館の良さを伝える方法があるはずだ。
僕は決心した。
翌朝、まずは掃除を始めた。
普通の掃除では足りない。
僕は部屋一つ一つを丁寧に清掃し、さらに古びた家具を少し手を加えて新しい風を感じさせるようにした。
水道が使えなくても、外に小さな池があり、そこから水を汲んで使うことができることに気づいた。
それを使って庭を整備し、周りを少しでも明るく見せることができた。
次に、食事を作ることを考えた。
お婆さんが作る料理は素朴で味わい深いが、少し手を加えて見栄えも良くすることで、より魅力的にできるはずだ。
僕は料理を少し学んだことがあったので、それを活かして料理に工夫を凝らし、地元の素材を使って特別感を演出した。
そして、SNSを駆使して「隠れ家的な旅館」として、地元の食材を使った美味しい料理や、のんびり過ごせる空間を前面に出して、少しずつ宣伝してみることにした。
もちろん、広告費をかけることはできなかったので、無料で宣伝できる手段を使った。
その結果、驚くことに、数日で沢山のお客さんが来た。
口コミで「静かな場所でのんびりできる」「地元の食材が美味しい」と評判になり、客足が増えていき、お婆さんは信じられないという顔をしながらも、少しずつ元気を取り戻していった。
そして一週間後、奇跡的に旅館は倒産を免れた。
「こんなにお客さんが来るなんて、あなた、本当にすごいわね。」
お婆さんの言葉に、僕はただ嬉しくて胸が熱くなった。
その瞬間、僕の心の中で新たな力が湧き上がるのを感じた。今の僕には、何でもできる気がした。
そう。昔からの夢である、誰もが無謀だと思っていたこと。
『今の僕ならホテル王。。にだってなれるかも』
僕の新しい戦いが、今、始まった。