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TS転生ド田舎ネクロマンサー聖女  作者: どくいも
第2章 神様と死霊術師
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第29話 新人冒険者達

盗賊団壊滅作戦から早数日。

作戦の後処理は滞りなく行われた。

攫われていた人質の治療や世話、盗賊がため込んでいた盗品や戦利品の仕分けや処分から。

盗賊の処刑や、被害者の葬式まで。

そこそこにいいことも悪いこともあったが、それでもギャレン村やその周辺にとって今回の盗賊討伐は非常に有益なものになったのは間違いない。


「というわけで、ようやくお前らにちゃんとした報酬が支払えるってわけだ!」


さらに言えば、冒険者である私達にもそれなり以上に報酬が支払われることになり。

無駄に銀の皿や魔法の武器まで、もらえることになった。


「私としては、それよりも家の拡張を頼みたいんだけど」


「おう!それに関しては、この辺を支配していた盗賊団が滅んだからな。

 誰かさんの妨害もない今なら、ちょっとした誘致ですぐに近くの村から大工を呼び寄せることぐらいできるだろうな」


やったぜ!

どうやら、件の盗賊団が滅んだことで、この周辺そのものの治安がさらに向上。

村から村への行き来がしやすくなり、さらには王都や地方大都市などの他都市からの人材を呼び寄せやすくなったからとのことだそうだ。


「そして、目下の目標であった、冒険者の数を増やす目標もとうとう達成できたぞ!」


おお!それは目出度い!

でも、冒険者なんて所詮半分はならず者だから、どんな人が来るかいろんな意味で不安ではある。

シルグレットの話によると、すでに新しい冒険者はこの宿にいるそうなので、さっそく挨拶をしに行くことにした。


「あ、こんにちわ司祭様。

 新しく冒険者になったアヤです」

「……ロシ」

「クロだ」

「ヨークですよ~よろしくお願いします~」


そしての冒険者ではあるが、こちらを見ると素直に挨拶してくれた。

何人か口数の少ない人もいるが、それでも名前を名乗ることぐらいはするし、何よりも初手セクハラをしてこないため、個人的に印象は悪くない。


「えっと得意なことや、使える得物?

 ……あっ!私は馬に乗れます!」

「……ナイフ」

「喧嘩は得意だぞ!」

「一応、斧槍ですかね~。

 もっとも最近だと数えるほどしか、使っていませんが~」


うんうん、自己紹介も約半数は冒険者としてちょっとどうなの?という特技ではある。

が、それでも最低限の自己紹介をしてくれるのは、うれしい限りだ。

そして、最後に一番気になることを聞いた。


「で、それぞれ、年齢は何歳かな?」


「え、えっと10歳です!」

「……14」

「数とか数えられないから知らない!」

「36です~」


「シルグレット、正座」


「はい……」


さもあらん。


☆★☆★


「は~い、というわけで、これから君たちには、このゴブリンゾンビの洞窟でお掃除の仕事をしてもらいま~す」


さて、場所は変わってゴブリンゾンビの洞窟。

現在そこで私は新人冒険者に向けて、今からそこでやってもらう仕事について説明していた。


「とりあえず、ここのラインからここのラインまで書かれた場所はこの箒で掃除をしておいてね。

 それと並行して、蝙蝠やネズミ、それと虫の駆除もお願いしたい。

 ただし、この洞窟で取れた動物や虫を食べるのはNGだからね。

 陰の魔力で雑菌……そう、虫やら病に侵されているのが多いから、食べるとお腹を壊すよ」


なお、件の新しい冒険者は基本的に今回の盗賊討伐の際に救出された捕虜の一部であったりする。

というのも、捕虜である彼らは多くは女子供であるのに、盗賊騒ぎのせいでその親や旦那は死亡済み。

更には身内まで死んでいる人もおり、引き取る場所も身内も、仕事もないといった状態であったのだ。

だからこそ、シルグレットはとりあえず手に仕事をというわけで冒険者を紹介したらしい。


「まぁ、本当ならこの村に住む冒険者的には、森の散策や隊商の護衛辺りの仕事をできるようになってほしいけど……。

 正直、冒険者見習いの君たちに、そういう役割を求めるのは酷だからね。

 まずは私から、こういう雑用依頼を多めに出すから、それでお金を貯めて、その間に装備やら、戦い方を学んでほしい。

 そして、最終的に立派な冒険者になるのもよし、諦めて別の仕事に就くのもよしというわけだ」


まぁ、シルグレット的に交通の便がかなり安定してきたので、この村にも奴隷商という名の口利き屋がやってくるそうだ。

なので、そこで身売りをしてもらい、ここではないどこかの村で、養子入りやら嫁入り婿入り。

ここではないどこかで、幸せになってもらうルートが丸いとは言っていたが、それは言わないでもいいだろう。


「ほ~、良かった。

 これなら、私でもお手伝いできそうです!」


「うふふ、良かったねアヤちゃん。

 わたしも、これなら身売りしなくても最低限生きていけそうだわ~。

 まぁ、私くらいのおばさんを買ってくれる人もいないと思うけどね」


なお、ヨークやアヤといった新人女性冒険者達からは安堵と感謝の声が上がった。

それはそうだ、そもそも彼女らはなりたくて冒険者になったわけではないのだ。

それに、アヤは馬を扱えるそうなので、馬を貸せば簡単な荷運びの仕事もできるだろう。

将来的には、運び屋系の冒険者としてそれなりに大成できるかもしれない。

あとヨークさん、あなたの美貌と体なら、個人的には全然問題なしです。

むしろ精神年齢的にも割とストライクなんだよなぁ、同性を言い訳に手を出しちゃダメ?ダメっすか、そうですか。


「……地味」


「そうだ!俺はこの地方にいる盗賊や悪党をすべて退治するために冒険者になったんだ!

 それなのに、こんな地味な仕事で足を止めているわけにはいかないんだよ!」


それとは逆に、不満そうなのは男性新人冒険者軍。

まぁ、彼らの言う事もわからないでもない。

せっかく冒険者になったのに、一番初めにやらされる仕事が、洞窟にいる掃除と害虫害獣駆除なんて、華がないにもほどがある。


「……まぁいいたいことはわかる。

 それじゃぁ、代わりに薬草拾いにでも……いや、やっぱだめだな。

 野良ゴブリンやローパーがいるかもしれないし。

 普通に、子供だと死んじゃうからね」


「……」


「は~??別にゴブリンくらいやれるし!

 それに、ローパーって確か、動きが遅いんだろ?

 それなら石を投げつけるだけで勝てるだろ! 」


もっとも、彼らが本当の意味で冒険者を名乗るには、彼らはあまりにも未熟すぎた。

そもそも、ゴブリンならやれるといいながら、その体格や武器からして、どう見てもゴブリン相手に返り討ちになるのは目に見えているし、待ち伏せする植物魔物であるローパーに投石で対応と言ってる時点で、考えが浅すぎる。

ここは、少し手荒な方法でわからせる必要があるなと思い、少し死霊術を発動させることにした。


「いいよ、わかったよ。

 それじゃぁ今から君たちには、最弱クラスの戦闘相手を用意するから。

 まずはコイツに勝てたら、シルグレットに頼んで、森の散策依頼ぐらいなら、許可を出してもらうようにするよ」


「……!!」


「へへっ、そう来なくっちゃ」


自分の発言に、やる気を出す新人少年冒険者陣。

もっとも、自分としても彼らの無力さを効率的にわからせるための戦闘なので、強力なアンデッドを呼び出すつもりはない。

彼らに目に見えてわかりやすく、無力感を与え、且つ自分にとってもローコスト。

ちょうど先ほどそのための、素材を手に入れたばかりだと思い出し、それに向かって魔力を込める。

するとその遺体に込められた迷える魂も呼び起こされ、仮初の命を持って起き上がる。


「……というわけで、いけ、【骨鼠(スケルトンラット)】。

 奴らに身の程をわからせろ」


「……っむ」


「ゴブリンでもなく、ただのネズミ?

 そんなのに僕らが負けるわけないだろぉぉぉ!!!」


こうして、この2人の新人少年冒険者は、そのやや大きめな骨のドブネズミに向かって、突撃するのであった。




「……で、まだやる?」


「……ひっく、ひっく」


なお、結果は当然少年冒険者たちの惨敗。

少年冒険者は、全身擦り傷やあざまみれになっていた。


「で、どうだった?

 これが、アンデッドの中でも最弱クラスのスケルトン。

 その中でも一番弱いとされる骨鼠(スケルトンラット)だよ」


もっとも、今回ここまでできたのはあくまで私が自分で操縦したうえで、魔力を十分に補給したからだが……それは言わないでいいだろう。

それに、今回の骨鼠(スケルトンラット)は自分が呼び出したもののため、清潔であるが、もしこれが野性の骨鼠(スケルトンラット)なら、それこそ傷口から無数の毒や呪いに伝染病を感染し、明日の朝日が拝めなくなっている。

だからまぁ、脅威度で言えばどっこいどっこいだろうし。


「ご、ごめんなさい。

 もうわがまま言いません。

 だから、《《かぶり》》するのはやめて下さい」


泣きながら謝る少年冒険者たち。

なお、耳をかじられたり、ナイフを持っていながら暴れた自傷ダメージのせいで、ズボンに血と小水による染みができているのは、見ないふりをすべきだろう。


「わかればいいんだよわかれば。

 それに、君達はまだ成長期だから」


「……ん」


「ちょっと訓練やら経験を積めば、すぐにこの程度の相手は倒せるようになるから!

 だから、ちゃんと今は簡単な依頼から、そして装備を整えてから森に挑むようにするんだよ?

 いいね?」


「……はい!」


こうして、新人年少冒険者は、骨鼠(スケルトンラット)のわからせにより、無事素直に。

新人冒険者による無謀な冒険を未然に防ぐのには成功したのでしたとさ。


「……とりあえず、戦力になる冒険者が来るのは、まだまだ先になりそうだなぁ」


「あ!それなら私も、そのネズミさん退治に挑戦してみてもいいですか~?」


「え?」


それはそうと、ヨークさんが骨鼠(スケルトンラット)と戦ってもらったところ、彼女は一撃で骨鼠(スケルトンラット)を粉砕。


「えへへ~、私はもともと傭兵をやっていたんですよ~。

 一応家庭に入って引退していたんですが……旦那も殺されちゃいましたからね。

 この機会に冒険者デビューしちゃおうと思ったんです☆」


「あ、はい、そうですか」


「あ、でも私も新人冒険者と同じ対応でお願いしま~す☆

 なんだかんだ、私も冒険者としては新人で間違いありませんし……。

 この子たちを放置するとすぐに死んじゃいそうですからね!」


そして、思わぬ所からすごい人材が出てきていたことに驚愕。

やっぱり、思ったよりも冒険者の質は上がっているかもしれないと、考えを改めるのであった。





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