表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/81

第45話 「厄災戦」

「魔物の数が、減ってる……。すごいよカイリ!」


 褒められてるはずなのに……アリシアだから、素直に喜べない。


「カイリ殿、その力は……?」


「それ、わたしの時と同じですね!」


 神の力……のはずなんだけど、やっぱりどうして解放されているか分からない。


「ナナとフィオナ……いや、考えてる暇はないな」


 今はとりあえず厄災の討伐だ。周りの魔物はさっきの矢でほとんどいなくなってる。


 そして、厄災がいくら空を飛んでるって言っても、弓があるなら大した問題じゃない。


 狙いは一点。翼の付け根を狙い――


「行け――っ!」


 矢が空中で分散し、幾つもの矢が狙い違わず翼に着弾する。


 翼を失った厄災が地上に降りてくる。


「地上に降りてきたなら、いけるぞ! ナナ、フィオナを任せた! それとイオリ、お前は厄災の攻撃を見切ってくれ!」


「らじゃー! イオリちゃんにおまかせを~!」


 イオリを抱えるまではしないけど、隣で支えてくれるだけで頼もしい。


 厄災がどう攻撃してくるかさえ分かれば、イオリを守りながらでも戦える。


「そんでアリシア……討伐隊の方の様子を見といてくれ! 俺に死んでほしいってのは分かってるけど、俺以外を殺さないために協力しろ! それだったら問題ねえだろ」


「……うん、私が私情を出すのは、まだだしね」


 ひとまず、俺を殺しにこないってことで良いのかな。

 アリシアは無差別殺人者ではないし、快楽殺人鬼でもない。

 殺すというのはあくまで自分が苦痛を覚えるための手段に過ぎない。


 神器をデュランダルに入れ替え、厄災に接近する。


 厄災の太い腕が襲い掛かる。デュランダルで迎撃するが、威力を殺しきれずに吹き飛ばされる。


「神器でも打ち勝てねえってことかよ……」


 そういえば、神様も言っていた。力を使いこなせていない状態では神器でも厄災に勝てないって。


「だから、アレが……」


 そのために、俺はアレを取りに行ったんだ。神様曰く、厄災を倒すために必要な武器。


 ――「魂喰い」。肉体じゃなく、生物の魂そのものにダメージを与える英雄の武器。


「これなら、いける――っ!」


 厄災が口を開け、炎のブレスを吐き出す。俺はそれを避けて接近。そして、「魂喰い」を厄災に突きつける。


 キィン! という甲高い音を立てて厄災に突き刺さ――らなかった。


「…………なんで?」


 厄災の鱗に弾かれた「魂喰い」を見つめながら、俺はつぶやいた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ