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第39話 「なにが起きてんの?」

 邪神はかつて英雄によって封印された。邪神の肉体が閉じ込められている「封印の祠」。

 それが今、目の前にある。


「この中に入れば邪神ってやつを見れるのか」


「なにをワクワクしてるんですか。絶対そんなことしちゃ駄目ですからね。それに、お父様も祠への入り方知らなかったので、多分誰も入れないと思いますよ」


 王様でも分からないってどうしようもないな。

 俺の中の冒険心が駆り立てられたけど、仮に中に入っても変なことして邪神復活なんてことになったら洒落にならない。


「それで、なんで俺をここに連れてきたんだ?」


『英雄様が言ってたんだよ』


『いつか戻ってくることがあれば連れて来いって』


『だけど、開かないね』


『不思議だね、不思議だね』


 妖精が悲しそうに肩を落としている。


「期待に応えられなくて悪いな。……それで、こんなことでお礼になったのか?」


『もう大丈夫だよ』


『これを確かめたかったんだ』


『まだ時期じゃないだけだよね』


『いつ開くのかな』


「開けなくていいと思うけどな。それじゃあ俺たちは戻るよ。改めて、この剣ありがとな」


 妖精たちに頭を下げてから俺たちはアルマジール大森林から出る。



「……どうしたんですか? カイリ様」


「またここに来るような気がするんだ。理由は俺にも分かんねえけど」


 きっといつか、またここに来る。いや、来なくちゃいけない。どうしてか、そんな気がする。



 街に戻ると、俺たちの目に映ったのは街の広場にできた長い行列だった。


「同じような光景を見たことあるな……」


 王政の状況を調べるために、俺たちは街の人の話を聞いた。

 その時も同じような行列ができてたっけ。結局イオリ主役の握手会になってしまったけど。


「それにしても、なんだこの行列。いつもこんないっぱい人いないだろ」


「あ、あそこにポスターが貼ってありますよ!」


 ナナが指差したのはギルドの壁。そこにデカデカと貼られたポスターにはこう書いてあった。


『新人アイドルのお話会! 五分間自由に話すことができるぞ! 追加料金で延長もできる! しかも今なら大人気アイドル、イオリさんとのコラボも開催!」


「へぇ、イオリもいるのか」


 コラボとか書いてあるし、イオリのアイドル仲間かそんなところだろう。


「カイリ様、見に行きませんか? お仕事頑張ってるイオリさんを応援しましょう!」


 確かに、ちゃんとアイドルしてるイオリを見たことはないな。

 いつも冒険者としての姿しか見てないから。


「ちょっとだけな。買い出し終わってるなら確認しなきゃだし」


 俺たちは行列の先にいる、イオリを見に行く。


 そこには――シャルとカナとソニアの三人組がいた。


「ソニアちゃん、今日の曲よかったよ!」


「あはは……ありがとね」


 まるでアイドルみたいな衣装を着た三人が行列に並んだ客から褒められている。


「……あー、うん」


 そういや新人アイドルとか書いてあったな。

 イオリとコラボする新人アイドル。そこには豪華な衣装を纏ったパーティーメンバー。



「――俺がいない間になにが起きてんの?」



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