見習いデビュー
1年程経過。畑からは豆やイモ、ニンジン、ダイコンが採れるようになり、ひもじい思いをすることは無くなった。弓の腕も上がって、ワナとは別に狩って来れるし、ワナを仕掛けるコツも掴んで、1日おき位で、食料の心配せずに、修行に打ち込める日が取れるようになってきた。
その時間の多くをを剣に充てた。ゲームの設定ではそれぞれ特徴的な剣を操っていたが、全員が短剣を習っている。町中で提げていても問題ないからとの理由。短剣と言っても、刃渡り30センチはあるので、アッチの世界なら当然銃刀法違反だろう。派手な武器を取り上げられて丸腰になることを回避する作戦だ。剣の扱いに慣れてくると、魔法を纏わせる方法を学んだ。弓の時はリリースのタイミング等気を使う事が多かったが、剣はずっと触れていられるので、サクサクと覚えていった。
早起きして、食料を集めて、修行して寝る。3年繰り返し、ダブダブだった道着がピチピチになった。上は合わせの部分が減ったのと長袖が7分袖になっくらいでなんとかなったが、下はパツパツで動いたらパンと裂けてしまった。仕方がないので裂いて布にして、フンドシの様にして、下半身露出の最悪の事態を回避した。
それから少しすると、八絵のズボンが裂け、また数日で九璃、七歌も裂いてしまった。上がまだ少し余裕なので、マイクロミニにはなっているが、動く度に中身が見えてしまう。因みに下着は、とうに千切れちゃったそうだ。それを有り難く思うほどはロリコンじゃ無いが、気になる事に間違い無い。
フンドシ風を薦めたがキモチ悪いと却下、影の師匠に相談すると、
「見飽きるまで凝視すれば、気にならんくなるじゃろ。」
取り敢えず、気にしないことにして、修行に打ち込んだ。
しばらくすると、フンドシにしていた布が裂け、九璃達が要らないという裂けたズボンを貰ってしめていた。その辺自分達より僕の方を気にしてくれるのは、性の感覚がコッチの人なのかな?アッチの世界での僕が8、9歳の頃って、中学生の従姉をえっちな目で見てたよな。もしかして、今、そんな風に見られてる?いや、考え過ぎだろう。
マイクロミニがチュニックにしかならなくなった頃ようやく5年が経過した。倉庫を出ると煉瓦の家は5年前と同じように建っていて、ちゃんと色が着いた師匠とヨーコが迎えてくれた。
風呂の仕度が出来ていて、
「ひとっ風呂浴びてくればいいっしょ!」
久しぶりに湯に浸かって手足を伸ばす。記憶の中の15歳と同じように、成長していて、身長は180に迫り、ツルツルだった所には毛が生えていた。バタバタバタバタと九璃達が入ってきた。薄っすら膨らみ掛けてきた七歌も含めて全員フルオープン。やっぱりコッチの感覚なのかな?気にしないようにして、皆んなの背中を流した。
風呂をあがって、ヨーコのゴハン。二人は食べる様子が無く不思議に思って聞いて見ると、
「さっき、腹ごなしに行って来いっていっだろ?」
僕等は5年経っているけど、ここは、数分だったようだ。しっかりゴハンを食べて部屋に?そう言えば部屋割り、どうなってるんだ?
東側の4部屋はシングルベッドを入れた3部屋に九璃、八絵、七歌、ダブルの部屋に六姫と五姫。西側の2部屋にそれぞれシングルとダブル。ヨーコが人形だったら、それぞれ師匠と僕だと思うけど、うーん、師匠とヨーコでダブル?
「何ブツブツ言ってるんだい?明日も早いんだからさっさと寝なさい。」
師匠はスタスタとシングルの部屋に入って、ガチャンとドアを閉めた。
残った部屋にに入ると、いつの間にかヨーコはベッドで寝息を立てていた。一緒に寝るためのダブルだよね?良いのかな?うーん、やめとこ。倉庫と同じように毛布に包まって床に転がった。
柔らかく心地の良い手触りで目を覚ました。いつの間にか一緒の毛布に包まっていたヨーコは僕の腕の中にスッポリ、確認できる限り、何も身に着けていなかった。驚いて、そっと離れようとしたが起こしてしまった。
「お、おはよ、ゾロ。」
つい、離せずにいた手のひら引っ込めると大きな肉塊がプルンと揺れた。
「大丈夫、襲ったりしないよ、ウチ人形だから、添い寝が落ち着くんだわぁ。あっゴハンの仕度しなきゃ!」
膨らみを堪能していたことには触れず、手際よく着物を纏って部屋を出て行った。
「ハイ、新しい着替え。」
師匠が、リュックサックを放って来た。中身は下着と作業服。またポーターかな?取り敢えず朝ゴハン。(感覚的に)5年前買ったテーブルに着くと、九璃達が制服(風)で降りてきた。ゲームキャラの設定で高1だったので、10歳か11歳。ハードな修行と、取り敢えず羽織った道着のせいで感じなかったが、5年分の歳月は、すっかりレディに変身させていた。同じブレザータイプだが、ただサイズが大きくなっただけではなく、若干ウエストを絞って大人っぽいシルエット、首元のリボンもやや小振りで、幼さが薄れていた。
食事を済ませ山を下りた。5年前(実際は昨日)に乗せて貰った乗り合い馬車を予約していたので、順調に街に到着した。前回同様、九璃達が学ぶ学校っぽいところで降りて、ギルドまで歩く。1日で5歳の成長は不自然なので、三の兄、二と名乗り、見習い冒険者として登録する。手続きをしていると、
「坊や、いつから働けるんだい?」
聖子が再現フィルムのように話しかけてきた。
「あら?ポーターしてる弟くんいない?」
「あ、はい。ちょっと都合があって旅に出ています。」
「あら、残念。でも、君が居るから良いわ!明日のダンジョン、連れてってあげるわ。」
お兄さんが止めようとしたが、
「弟から、色々聞いています。是非ご一緒させてください。」
取り敢えず、あすの仕事はゲットした。元の部屋、表向きには、弟が使っていた部屋にそのまま入ることにして、薬草を売りに行った。
「おお、その姿だと、2つ目を使ったんだね?」
魔女風のお婆さんにヨーコが集めていた薬草を買ってもらった。5万程になったので、当面の間は懐の心配は要らない。
寮に戻っても仕方がないので街を散策してみた。歩く度にナンパされ、モテた気分を堪能した。調子に乗って裏路地を歩いていると、いきなり視界が奪われた、気付くと馬車に押し込められているようで、3人組の女はズボンのベルトと戦っていた。結界の応用でロックしているので、たぶん外せ無いだろう。彼女達を鑑定しても大したレベルじやなかった。
「えっ?もう目を覚ました!千菜もっかい眠らせて!」
腹の上に跨ってベルトと闘っていた女が振り返って、呪文を唱え始めたので雷魔法を弱めに、スタンガンにして呪文を遮った。
「万菜、闇だよ!」
「OK!百菜!」
2人が魔力を練り上げる前に、スタンガンのビリビリを飛ばし、眠ってもらった。身体の動きが良くないので、痺れ薬でも飲まされたかと思ったが、どうやら、結界で拘束されていたらしい。魔力が弱いし単純なので動きの邪魔をする程度にしか効いて無いらようだ。ちょっと動くと外れてしまったので軽くストレッチしてすっきり。ワナで培った結界の技術でしっかり拘束してからヒールを掛けた。
寝顔(?)がソックリな3人は、目覚めてもソックリだった。百菜、千菜、万菜の三つ子は、殆ど同じ顔で、縮小した様に小柄な百菜、横に伸ばした様に太った千菜、ヒョロっと縦伸ばしの万菜。魔力はかなり弱めの19歳。一応冒険者登録をしている様だ。ステータスを嘘発見器代わりにして尋問。初犯で未遂だったので、ギルドへの報告は勘弁して、普段師匠やヨーコに聞けずにいた事を聞くことにした。
「そりゃあ、押し倒した時に直ぐデキるでしょ?アンタのベルト程じゃなくても、脱がせにくい男が多いのよ。」
極端なミニと、結構な確率でその中に何も着けていない事を聞いた回答だった。妊娠の心配を聞くと、避妊は魔法で完璧との事。いつ何時妊娠しても自分の子供だと判る女性は積極的で、安定したパートナーじゃないと、自分の子供がどうか判らない男性は慎重になっている。下が開けっ広げの割に上の露出が無いのは、胸に対する感覚はアッチと似ていて、コッチの男性達は中々固くならないので、合意での行為の時は乳房を与えて臨戦態勢を待つらしく、そのために普段は封印しているそうだ。因みに、一方的に跨がる場合は、魔法か薬を使うそうだ。温泉なんかは、殆どが混浴だが、女性は上に、男性は下にタオルを巻くのが一般的のようだ。最後になぜ僕を狙ったのかを聞くと、
「だって、上のボタン外して鎖骨見えてるんですよ、そんなの見たらムラっとくるじゃないですか!」
その他も色々聞くと、コッチの男性は、アッチでは絶滅危惧種的なカッチカチに貞淑な御令嬢並みの貞操観念を持っていて、さっきの僕は、ガッツリ露出して盛り場を彷徨くみたいな感じに見られていたようだ。
「アンタ、他所の世界から来たでしょ?」
あまりにもコッチの習慣を知らないので、隠しようが無かった。
「アタシ達の専属になりなよ、絶対に稼がせてやるからさ!」
取り敢えず、明後日見習いで付いてからと返事にして、
「寮まで送ってくれる?」
「いや、止めた方が良いよ、アタシ達の馬車で帰ってきたら、寮は大騒ぎだよ。」
近く迄送ってもらい、あとは徒歩で帰った。




