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貸竿

 道路整備に合わせ、薬草採取と畑仕事を開始。薬草は、頂上付近なのでちょっと苦労したが、畑の方は、元、畑だった所を畑に戻す。前の家でやったことの再現なので、サクサクと熟した。

 4日頑張ると、畑の準備が出来て、道路も一通り整備が出来ると、

「よし、街に行こう!」

 キレイになった道路を徒歩で下りた。荒れ放題の所をしっかり整備して、橋とトンネルでショートカット、2時間コースが1時間を切って下りられる様になっていた。

 麓の師匠宅で着替え。九璃達は、お馴染みの制服。ヨーコは忍者風?和服テイストで動き易くアレンジした感じの服。二葉と三葉は、ポーター風。僕は勿論冒険者。山に登って来た小型のモノでは無く、皆んなで乗れる馬車で街に向かった。


 目的地は冒険者ギルト。現状、僕がEランクでヨーコが見習い、他は登録無しなので、先ずは見習いとしての登録だろう、二葉達はポーター登録かな?ギルトに到着して、受付へ・・・通り過ぎて、少し浮き気味の立派な扉に近付いた。

「あっ、お嬢ちゃん、コチラは貴族専用ですよ、あちらに並んでね!」

ギルトっぽくない貴族の執事みたいなオジさんに止められたが、師匠は全くの無視でドアノブに手を翳した。スッと開くと、

「失礼致しました!お連れの方々もどうぞ!」

応接室の様な所に通してくれた。

「はじめまして、ギルドマスターの奈保子と申します。」

ギルマス自ら対応してくれた。

 九璃達が、巻物を提出すると、ギルマスがチェック。驚いた様子で各自が書いた申請書を持って部屋を出て行った。

 30分程待つと、ギルマスは恭しくトレイをもって再登場。トレイには、金色に輝くバッジが5つと青銅のバッジが3個並んでいた。金バッジはAランクの証だが、バッジのステータスを見ると『A(マイナス)5ランク』だった。

「ー5って何だろう?」

「貴族様は、登録した時点でAランクなのさ、」

師匠は、指折りながら、

「BCDEのFと、Fランクの規制が適用されるが、Aランクと同等の特典が受けられるんじゃ。」

九璃達が勉強していた所は、国が認める貴族学校に相当していて、そこをを卒業しているので、金バッジになるそうだ。

 青銅のバッジは、ヨーコ、二葉、三葉の分で通常はバッジのない、見習いとポーターだが、貴族パーティーのメンバーでAランク特典を受けるためにバッジが支給される。僕のEランクの銅バッジにも、特典を付与して貰った。バッジ代は金が3万、青銅が3千、書き換えが千で、合計で16万ルナ。そんな現金は持っていなので、師匠に救いを求めると、

「ツケで頼む。」

一言で解決した。ちょっと気になって、ステータスを確認すると、こちらに来てからの建築資材の代金、職人さんの手間賃、調理器具、食器、食材の代金、その他諸々で3千万程、借金が増えていた。

「サッサと返せる様に、実地研修だよ!」

師匠は依頼のボードを眺め、1枚選んで

「受付に出しておいで。」

Aランク限定の鉱石採取で、凶暴な魔物の生息地に踏み込む事になるらしい。師匠が選んだってことは、クリア前提だろう。大した心配はせずに、受付に提出した。

「こちらは金バッジ限定となっておりますので・・・?失礼致しました、魔鉄鋼の採取、宜しくお願い致します。」

途中、銅バッジのステータスを見てもらうよう指差しでアピールして無事受託出来た。

「これなら、金バッジの誰かが受付て貰えば良いんじゃ無いです?」

「ああ、お主の借金払いに充てるには、お主が請けるのが手っ取り早いんじゃ、暫くは我慢せい。」

なるほど、それなら合理的?うーん仕方がないか?師匠が勝手に借金増やさなく出来るようにならないかな?チラリと師匠を見ると、

「儂が家にいても、お主等の指導が出来るように、通信用の水晶珠でも買おうか?2個ひと組で3程じゃろう、どうじゃ?」

3程って、3百万?3千万?さらなる出費は勘弁してもらいたい、(たぶん)涙目で訴えると、

「冗談じゃ、過ぎた事に拘るんじゃないよ!サッサと稼ぐんだよ!」

馬車に乗り込んで、目的の森に向かった。


 馬車で、行ける所迄行って、馬車を停めて結界で隠した。危険な魔物の出没エリア迄は歩いて3時間程。途中で日が傾いてきたのでテントを張った。大き目なのが2張りと小さいのが1張り。食事は、ポーターから1年間、何泊も夜営しているので、僕が担当した。カンタンに済ませて早めの就寝。小さいテントにヨーコと2人、寝袋じゃなくマットレスだった。今夜も下は拒まれて、ヨーコを乗せて揺れを味わい、結局夜更ししてしまった。


 翌朝は、早くから移動。朝のお楽しみはお預けでミッションに挑んだ。1時側程歩いた辺りから魔物が出没し、それぞれの魔法や武器を試しながら進んで、採掘場に到着した。


 坑道にも魔物がいて、狩りながらドンドン潜る。途中に、剣や、鎧が落ちていて、更に進むとポーター用のリュックが、落ちていた。拾い集めて調べると、金バッジ2つ、銀3つ、武器と防具が5人分とポーターリュック。5人パーティーにポーター1人って構成だろう。骨は見当たらない。剣は錆びていないので、それ程古いホトケさんじゃ無さそうだ。拾ったものをポーチに詰め込んで更に潜った。

 次に目にしたのは、剣を構えて立つ冒険者。探索能力を駆使して調べると、既に死亡してから数ヶ月経っていて、剣に埋め込まれた魔石の防御力で、生前の形を保っているようだった。剣の柄から緑色の魔石を外すと、見る見る間に白骨化し、地面に散乱した。埋葬のために拾い集めようとしたが、何処からか湧き出た鼠(系の魔物?)の群れが、バリバリと片付けてしたまった。剣と鎧と金バッジを拾って先を急いだ。

 採掘現場まで降りたが、さっきの冒険者を倒したと思われる魔物には遭遇しなかった。魔物の習性から、上層に移動することは考え辛いので、刺し違えた可能性が高いだろう。魔物への警戒を緩め、採掘にウエイトを移した。探索能力は、魔鉄鋼の含有量も判るので、質の良い所をガンガン掘っていく、そのままポーチに突っ込もうとしたら、師匠が制止、

「こうやってな・・・」

ソフトボール位の塊を手の平に乗せてブツブツと呪文。ピンポン球位の黒い球になった。精製してから持ち込むと、10倍で売れるそうだ。精製方法を習って、黒光りする塊をドンドン作っていった。


 魔鉄鋼インゴットをギルトに納める。沢山集めたけど師匠の指示でほんの少し。

「えっ?一泊二日でこんなに?しかも精製まで出来るんですか?」

受付のお兄さんは声をひっくり返して驚いていた。

 拾ったバッジも提出、行方不明者リストから6名が死亡者リストに移動する。遺族がいる場合、預託金がこの時点で返金されるので、少しは役に立ったかもしれない。


 次の依頼を物色、ボードとにらめっこ。今回が難易度B+だったので、同程度で、ワリといい仕事を吟味していると。ギルドに不釣り合いな女の子が、

「お兄さん、貸竿なら、一杯稼げますよ。あたし達のパーティーに来ませんか?」

清楚なお嬢様キャラに、元の世界の性欲か復活しそうになったが、

「お生憎様!」

ヨーコが密着、脚を絡め、首にぶら下がって窄めた唇を突き出した。なんとなく、流れに乗るべきかと思って唇を重ねると、ねっとりと舌が絡んで来た。

「あら、残念ね。気が向いたら、あたし達の所にいらっしゃい、『ネクスト・ウインドウ』は、高待遇をお約束しますわ!」

お嬢様が去って、ヨーコの密着も解けた。

「アレってパーティーの勧誘?カシザオって何?」

目があった九璃が視線を逸らしてうっすら赤面しているので、どうやらシモネタらしい。

「ゾロのお郷では、ソレのこと、『竿』っていう?」

やはりシモネタだった。

「あ、うん、そうだね。」

「竿を貸すって事は、パーティーメンバーなんだけど、夜のお相手がメイン業務って事なの。」

ヨーコの説明に深く頷いていると、

「もう少しコッチ世間に慣れた方が良さそうじゃな、アレ取っておくれ。」

師匠の指示でボートから剥がしたのは、男性だけのパーティー『ラパン・ノワール』の求人だった。

 早速受付にもって行くと、

「そろそろ、成果報告に来る時間です、直接お話ししたほうがよろしいかと。」

受付のお兄さんは、男性専用の待合室を薦めてくれた。師匠に話してそこから別行動になった。

 程なく『ラパン・ノワール』のメンバーが帰って来て、採用面接。と言っても、ほぼほぼ即採用の見込みだったので、顔合わせって感じだった。


 メンバーの4人は、男性にしては魔力強めでランクもC、最近まで女性中心のパーティーの補助メンバーだっそうだ。

「男だって活躍出来るって証明しようぜ!」

意気込みの裏に、これまでは貸竿か、それっぽい待遇だったことが想像できた。

 明日から参加という事で解散、師匠の家でまで馬車で送って貰った。

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